【自転車実験室】超ハイローフランジのハブはスポークテンション左右差是正の夢を見るのか
ホイール組みたし資金なしで悶々としている時、TNIのハブのラインナップが増えている事に気がつきました。
一撃で心を撃ち抜かれてしまいました。
ナニこのドライブ側のフランジ。ひと目でドライブ側のフランジ径を大きくして、反ドライブ側のスポークとのテンションを近づけようという目的なのがわかりますが、それにしても強烈なデザインです。これは組んでみたい。
取扱商社のトライスポーツのWebサイトにはこのハブの図面が公開されているので、これを元にホイールを設計するとどうなるのか計算してみることにしました。
■スポークパターンを考える
図面は以下の通りです。
図面から側面図だけ切り取って、実際にスポークをレイアウトするとこんなイメージでしょうか。
またもExcelでレイアウトです。フランジが特殊な形状なので、スポークの通し間違いは発生しにくそうです。反ドライブ側はテンションを少しでも上げられるように6本組としました。 イケそうな気配です。
■スポーク長とスポークテンションを計算する
反ドライブ側は通常の24hハブと計算は同じですが、ドライブ側フランジの形状が特殊なため、一般的な24hハブと同じ計算ではスポーク長とテンションの計算ができません。
考えたスポークレイアウトから、ドライブ側の1本だけ抜き出して、側面図に補助線を引いて、ドライブ側のスポーク長計算に必要な角度を計算します。
24hのリムを使用しますので、中心線の延長線上にある上側の穴から数えて4個目まの角度が 360 / 24 × 3 = 45° となります。フランジの穴は中心線から6°振られているので、
θ = 39°
となります。
これを元に、以前に作ったExcelシートを少し修正して計算してみました。
リムは愛用しているオフセットリム、VelocityのA23 OCを、スポークはストレートの#14を使用する前提です。このシートは穴数と何本組とするかでERD・PCD間の角θが計算できるように組んでいるのですが、今回ドライブ側は角度を直接入力しています。反ドライブ側は6本組の計算です。
ドライブ側の目標スポークテンションを107kgfと設定した時、反ドライブ側のスポークテンションは75.4kgfとなり、ドライブ側の70.47%になりました。
以前に同じリムで、ハブをシマノ FH-9000(11速DURA-ACE)で組んだときの反ドライブ側スポークテンションは70.68kgfで、ドライブ側比66.06%でした。単純計算でドライブ側比で4%以上テンションを上げられる見込みとなりました。うーんこれは組みやすそう。
■オフセットリムを使わなかったらどうなるの
・・・ここでふと考えました。オフセットリムを使わなかったらどうなるんだろう。
リムのオフセットを0にして再計算してみました。
・・・ドライブ側の目標スポークテンションを107kgfと設定した時、反ドライブ側のスポークテンションが55.69kgfとなってしまい、ドライブ側の52.05%になってしまいました。PCDの差が60mmもある超ハイローフランジのハブでも、オフセットリムを使用しないと反ドライブ側のテンションはダルダルになってしまいます。
つまり、リア11速化でドライブ側のフランジがよりセンターに寄ってしまった現実を改善するには、超ハイローフランジのハブよりもオフセットリムのほうが効果が高い事になります。
チューブレスレディのオフセットリムは、私が知る限りではVelocityのA23 OCとDT SWISSのRR440 asymmetricのみ。選択肢が少ないです。もうちょっとリムハイトが高いチューブレスレディのオフセットリムが増えてくれたらいいのに、と思いますが、手組みホイールはニッチな趣味ですので、簡単には増えないでしょう。
いずれロードバイクもチューブレスタイヤにしたい私は、もちろんホイールを自分で組みたいと考えています。その時のリアハブの選択肢にビシっと食い込んできたTNIのスターハブ、設計だけで随分楽しめました。早く組んでみたいけど資金が貯まるまでしばらく我慢です。
こんな事を考えていると、自分の理想のハブとリムを作りたくなってきます。そうするとホイールが組みたいからパーツを作りたいという話になって、どんどん現実から思考が飛躍していきます。実に悩ましい。
【書評】あなたの人生の物語 著:テッド・チャン
正月休みの間に読んだ小説で、特別感動を覚えたのが本書です。
SFがメインの短編小説集で、どれも面白く読めたのですが、特に表題作の「あなたの人生の物語」が素晴らしかった。エイリアンとのファーストコンタクトが設定の作品で、1回読んだだけでも十分楽しめたのですが、どうにも理解が追いつかない部分があり、結局2日間で3回も読み直してしまいました。
3回読み直してやっと話の全貌が理解でき、唸ってしまいました。
私なりの解釈として、本作のキーワードは「ものの見方」です。
何かの事象に対して、観測者が違う、または観測者が同じでも観測する方法が違う場合、その事象の「意味」は変わってきます。だから私は「真実はいつも1つ」とのたまう名探偵が嫌いです。
人類もエイリアンも同じ宇宙に住んでいるわけですが、進化した過程が違うので、宇宙に対するものの見方が違います。その違いを描いているだけで十分に面白かったのですが、物語の仕掛けには目立つのになかなか気づけませんでした。私の視野が狭い証拠ですね。
なお、本作を原作とした映画が2017年5月に日本でも公開されるそうです。
本作は映画化できそうな気がしますが、原作の良さを活かして映像化できるのか?期待はずれに終わらないことを願いたいです。これは見に行きます。
・・・ソニー・ピクチャーズのサイトの「メッセージ」という表記、「セ」だけフォントがリュウミンですね。何か意味を込めたのでしょうか。気になります。
「メッセージ」を見に行く予定の方、ぜひ原作である本書を読まれる事をオススメします。
ちなみに、ファーストコンタクト物の映画では、私は「コンタクト」が一番好きです。
冒頭のセリフ「大きな望遠鏡が欲しいわ」からのシーンの切り替えが大好きなんです。
「ものの見方」の違いを楽しませてくれるのがファーストコンタクト物の良さだと思います。探せばいろいろあるファーストコンタクト物、今年はもっと読んでみたいと思います。
【雑記】2016年を振り返って
2016年は、個人的には苦しいことも多かったのですが、思い返すと「自分に対する気付き」が多い良い年になったと感じています。
■シクロクロス
Photo By Kikuzo
私に取って重要な話題のシクロクロス。昨シーズン初めてC4で表彰台に登り、どっぷりハマってしまいました。練習量が少ないなか、どれだけ楽しんで上位にいけるかを考えるのは本当に楽しいものです。いわゆる「中年」と呼ばれる年齢になってきて、熱中できる趣味がある私は幸せものです。
・成績
東海CX第1戦:6/31位(19%)
愛知県新城市「ふれあいぱーく鳳来」(泥)
東海CX第2戦:19/47位(40%)
愛知県稲沢市「ワイルドネイチャープラザ」(砂)
東海CX第3戦:7/30位(23%)
東海CX第4戦:13/33位(38%)
岐阜県各務原市「各務原アウトドアフィールド」(芝+丸石+舗装路)
シングル順位が2/4回。少しは速くなってきたかな。
現在C4の私はなんとかC3に昇格したいわけですが、今一歩か二歩表彰台に届かない。単純な練習不足なわけですが、意思が弱い私にとってトレーニングは大きな課題です。今シーズンは東海シクロクロスのみ参戦と決めているので、残りは3戦。何か結果を残したいです。
■SF小説の良さを再発見した
2016年は、「自分が本当に好きなものは何か」について考えた年でした。その一つにSF小説があります。一時期本を読む余裕すら無い年もありましたが、今年は読むための工夫してみました。
・Kindleアプリの導入
Amazonの電子書籍システム、Kindleを昨年くらいから使い始めたのですが、これが本当に良かった。
・端末を買わなくてもiPhoneアプリで十分使える事
・ポイント還元での割引
・読みたいときにすぐ買える
・本棚を圧迫しない
・まだ息子に読ませられないものが気軽に買える(笑)
と、とにかく私にとって利点が多かったです。もちろん紙の書籍のページをめくる感覚も捨てがたいのですが、とにかく「読む」という行為の敷居を下げる事ができました。
・図書館の利用
名古屋の中央図書館にあたる「鶴舞図書館」は平日はPM8:00まで開いているため、仕事が早く終わったら帰宅中に寄ることができる事に気が付きました。通勤路からは離れていますが、自転車通勤には関係ありません。Webで予約や取り寄せができるので、書籍の購入費を下げる事ができました。借りて読んで、もう一度読みたくなったものは買いました。また、市内の他の図書館で借りたものであれば、市内のどの図書館でも返却できるので、意外と返却のハードルが低かったです。
SF小説を色々読んでみて、「とにかく読者に説明がいるジャンル」という事に改めて気が付きました。そして、自分はその「説明」が大好きだったことにも気づきました。壮大なビジュアルを文字だけで説明するその表現にしびれるのです。合わない人には全く合わないですね(汗)
■ホイール組みの面白さを知った
今年から挑戦した自転車のホイール組み。
仕事では手を動かすものを若手に任せて、自分はデスクワークの時間が多くなりました。なので、プライベートで手を動かし、トライアンドエラーができるホイール組みは職人的な感覚を養える大変楽しいものでした。2016年はシクロクロス用2.5セット、MTB用1セットを組みました。組めば組むほど多くのノウハウが蓄積され、自分のレベルアップに気づけました。来年は難易度が高いというスポーク本数が少ないホイールに挑戦したいです。
■Jeremy Sycipとの出会い
私のシクロクロス車のフレームは、アメリカはカリフォルニア州ソノマのフレームビルダー、Jeremy Sycipに依頼したものです。 今年、ライドイベント「Gourmet Century足助」に参加するために来日し、ついに会うことができました。
想像していた通りの人物で、依頼して良かったという思いが固まりました。何かを買う、ということについて、「何を」ではなく「誰が作ったもの」「どんな思いで作られたもの」を買う、ということは最終的に「自分とは何か」につながることだと感じています。オーダーフレームは確かに高い買い物です。でも、同じ金額を積んでも自分には同じものは作れないのです。作り手の技量の積み重ねを買える買い物は大きな喜びに満ちていました。
此の世は自分を探しに来たところ。
此の世は自分を見に来たところ。
物買ってくる。自分買ってくる。河井寛次郎/陶芸家
■家族でのキャンプツーリング
自転車店Circlesの企画で、フェスイベント「森・道・市場」に自転車で行く「Bike to 森・道・市場」に参加し、家族で自転車に乗ってキャンプツーリングに行くことができました。 息子の成長も実感しましたし、工夫次第でなんとかなるものだと感じました。
我が家以外にもチャイルドトレーラーで参加されたご家族もいましたし、子供が小さいうちから一緒に自転車で遊ぶ方法は色々ある事を発見しました。
幼い子どもにペースを合わせるのは難しいですが、遅さを競うロードレースだと思えば、自分の技量がそのまま結果に出るので結構楽しめます。これは来年も行きたいです。
■MTBの楽しさを知った
まさかの展開でゲットできたMTBフレームで、私のMTBは組み上がりました。シクロクロスでダートライドの魅力を知った私としては、これも本当に嬉しかったです。
今となっては時代遅れかもしれない26インチですが、そんなことどうでもいい。
シクロクロスで走れない悪路を走れることだけで、世界がぐっと広がりました。今まで走れなかったところが走れる感覚は得難い体験です。毎年年末に友人たちとシクロクロスでダートライドに行っていたのですが、今年は私もMTBがあるのでMTBライドになりました。シクロクロスではとても走れないコースだったので、やっぱりあって良かったと実感しました。なかなか乗りに行けなかったので、来年はもっと機会を増やしたいです。
走り納めは今年も素晴らしい天気に恵まれました。来年も必ず走りたいです。
◼︎まとめ
つくづくプライベートは趣味の自転車を中心に回りました。走れる環境を作ってもらっている家族や友人、ショップ、メーカー、イベント主催者のおかげです。自転車に乗っている瞬間は本質的には1人ですが、走るためには1人の力では足りません。素晴らしい環境で過ごせる事を感謝しています。
こうやって2016年を振り返ると良かったことばかりですが、仕事を含め辛いこともたくさんありました。でも、辛いことは反省して記憶の範囲に留めておいて、良かったことを記録に残していけば、それを励みにできると考えています。
2017年もきっと良いことがたくさんあると思います。素通りしないでしっかりチャンスを捕まえて、また来年末に「今年も良い一年だったね」と言える暮らしがしたいですね。
それでは良いお年を。
【雑記】シクロクロッサーの私に足りないもの
先週の東海シクロクロス第4戦を反省し、自分の地足の無さについてモヤモヤしていると、シクロクロスを始めた時期に感じたある事を思い出しました。
■速いライダーとの違いを考える。
kikuzo氏の写真を観察しながら、私の知っている速いライダー達の事を考えると....
この人も、
この人も、
この人も、
この人も!
・・・お気づきでしょうか。
ここです!みんなココの筋肉が「ポコッ」となっているのです!
正式名称は「外側広筋」ですが、友人女性が「ポコ筋」と素敵な名前をつけてくれていたので、今後はそう呼びたいと思います。
シクロクロスで速い人の脚を観察すると、ポコ筋が大変発達している事が多いのです。
対して私の脚を見てみると、
なだらかです。ぜんぜんポコッとしていません・・・
つまり、速いライダーにあって私に足りないものの一つとして上げられるのは、「発達したポコ筋」であります。
ポコ筋(外側広筋)について調べてみますと、
外側に位置し下腿を伸展しますが、若干下腿を内旋方向に回旋します。
とあります。
すると、速いライダーはペダリングで脚を伸ばす時に、若干つま先を内側に向けるように動かしている、ということではないでしょうか。何故そのようにペダリングしているのか、今の私にはまだわかりませんが、おそらくパワーが出しやすいペダリングなのだと思います。
つまり、私の脚は体重に対して必要なパワーが出せない筋力、ペダリングだと考えました。
シクロクロスで勝とうと思ったら、「テクニック」と「パワーウエイトレシオ」の両方が必要なはずです。つまりパワーが無い私は、勝てる要素の一つが単純に足りていないのです。
テクニックは自転車で悪路を走る機会を増やすしかないので、とにかくシクロクロスへ参戦することが近道。パワーウエイトレシオを上げるには、体重を減らしつつ筋力を上げる必要があります。ただ、過去の実績から体重を減らすのはかなり困難と考えられるので、狙った筋肉を強化する方向で行きたいと思っています。
効率の良いトレーニングを目指すなら、今の時代ならパワーメーターの導入ですが、そこまでの資金力が無いためレースの結果で評価をしたいと思います。高価な測定機器が無いから実験できません、ではエンジニアとしてはイマイチですし。
■今後のトレーニング目標
・自転車通勤中のペダリングを意識的に変える。
・ポコ筋を意識した筋トレ
・Runトレは今後も継続
うまく行くか、レースの結果でしか判定できませんが、次回の東海シクロクロス第5戦平田リバーサイドプラザまで約1ヶ月弱。少しでも成績が上がるように色々やってみます。
【レースレポート】東海シクロクロス第4戦 各務原アウトドアフィールド C4B
レース後、車に戻って悔し涙を流す結果となってしまいました。
1ミスが大きく響いてしまうのがシクロクロス。それを実感したレースでした。
■事前の練習
今回は平田リバーサイドプラザの反省から、普段ろくに練習できないのを改め、2週間でできうるトレーニングをしてみました。
・往復12kmの自転車通勤で、可能な限り「中腰乗り」
平田リバーサイドプラザで感じた、路面の衝撃を受けないように中腰になると足腰が持たない、というところを反省し、通勤中に可能な限り中腰で走ってみました。あっという間に太ももの前側が疲労して、継続できない。やはり体重に対して姿勢をキープする力が弱いようです。ただ、僅かなトレーニングでも2週間で少し継続時間が伸びたので、若干の効果はあったと思います。
・ラントレーニング
少しでも心肺機能を鍛えるため、22時までに帰宅できた場合、足で走ることにしました。我家は古い集合住宅の4階のため、ローラー練は困難。かと行って実走だと思いの外準備に時間がかかります。Circlesの10周年パーティで久々に会った友人から、「準備が少なくて気軽」と言われた事で思い立ち、眠っていた安いジョギングシューズを引っ張り出しました。確かに準備が少なく、一瞬で身体があったまるため、短時間で負荷をかけやすい。我が家の周辺は坂が多いので苦しかったです。5km/h程度で40分強。脚はしっかり筋肉痛になりました。今後も続けたいと思います。
■前日試走
今回も前日試走の時間を作ってもらえました。コースは、草の中に石がゴロゴロ隠れている硬い路面。コース設営は本当に大変だったと思います。岐阜車連の皆様、レースだけではなく設営もしているBUCYO、ハッチさん等主催の皆さんの力に頭が下がるばかりです。
走ってみたところ、昨シーズンより走れる感覚がありました。タイヤが良い、というのもあって、しっかりグリップして曲がれます。ただ、コーナーで脚を回していると、内側のペダルが路面にヒットしてバイクが跳ねる、という事が多くありました。なのでコーナーで脚を止めて、脱出から脚を回すことにしました。
たまたま試走中のハッチさんとタイミングが合い、少しだけ稽古をつけていただくことができました。後について気づいたのが、全然ブレーキを引きずる音がしないということです。後で聞くと「ほぼノーブレーキ」とのこと。周回カウントのクランクもノーブレーキ、ノーペダルで差を開けられてしまいました。レベルの違い、と言ってしまえばそれまでですが、何故?となるとコーナー進入前の減速と、ラインの選定、そして重心の位置に大きな違いがありました。コーナリング中に尻がサドルから浮いていて、バイクの上下動を身体が受けないようにさばいています。反対に私は座ったままのため、路面の影響で身体がぶれ、どんどん減速してしまっているのです。頭ではわかりましたが、まだまだ練習が必要ですね。
試走後に小雨が降り虹が・・・
翌日のレースの祈願をして帰宅しました。
■実際のレース
さて、虹に願いは届かず、というか自分のせいなのですが、全く良いところがないままレースは終わってしまいました。前回の結果もあってゼッケンNo.4でフロントロー。申し分なしです。
・スタートミス
左から2人目の私は明らかに出遅れ…
Photo by Kikuzo
各務原はスタート後の舗装路が長いので、フロントはアウターにかけました。リアは5枚目にかけてしまっていたのが失敗でした。号砲で後輪を滑らせてしまい出遅れ。全力で回して何とか3番手で第1コーナーに入りました。前の2名に意識が行って、路面への意識が薄まりました。
・コースアウト
スタートミスが響き、 前を走るゼッケンNo.1、2の方に追いすがるので必死になってしまい、オーバースピードで第1コーナーに入ってしまいました。結果、第1コーナー直後のコブか石でフロントがはねてしまい、制御不能になって反対側のコーステープに突っ込んでしまいました。落車しなかっただけマシですが、ここで4〜5人に抜かされてしまいました。その後の4コーナーで直前を走っていた方が落車。なんとか止まれましたが、降車してパスするしかなく、その間に2名に抜かれます。
・立ち漕ぎで加速できない!
Photo by Kikuzo
やはり「ダンシング」には及ばず「立ち漕ぎ」の領域です・・・未舗装区間を超えて舗装路に入ると、周りの方は早くなるのですが、それに着いていけない。アウターにかけて立ち漕ぎしますが、力がペダルに伝わっている感じがしないまま筋肉が消耗していきます。3周目くらいで「下ハン」と気付くのですが、ハンドルをしゃくり過ぎていてイマイチ握りにくい。少し脚を回しやすくなりましたが、前との差を詰める程ではありませんでした。Kikuzo氏の写真を見ても、何だろうこの「顔だけ」必死な感じ。
下手な立ち漕ぎで筋肉を消耗し、どんどんコーナーをさばく余裕が無くなって、結局13位。1人も抜けず、前の人が見えない状態でゴール。
レース後、今までで一番消耗していたらしく、普段は楽しみなC1のレースをほぼ観戦できないまま眠ってしまいました。ある意味出し切ったのか?
■反省点
・1ミスが響くメンタルの弱さ
スタートミスがそのまま響いて、試走では全力で飛び込んでもこなせていた第1コーナーでミス。自分史上では派手に跳ねた事もあり、頭が真っ白になりました。その後前との距離を詰め過ぎて、落車した方を避けきれず立往生。その後も心の余裕が無く、コーナーで細かくミスをしました。誰にも追いつけなかったのが辛かった…
・立ち漕ぎの弱さと、舗装路を走る力が弱い
「ダンシング」には程遠い私の「立ち漕ぎ」。全身がギクシャクしてパワーが伝わっている感じが全然しません。ポジションの見直しと、単純な反復練習が必要です。舗装路の立ち上がりで明らかに差を付けられてしまいます。また、舗装路でも差を付けられるので、パワーもペダリングスキルも足りない。伸び代いっぱいや(涙)。
■良かった点
今回は全く良かったところがない、と思っていましたが、メカトラがありませんでした。特に後輪に入れたIRC SERAC CX X-guardは、今までの私ならパンクしていたところをしっかり仕事してくれました。後輪のリムがコツコツいっていたので、何回か危ういところがあったはずです。タイヤは本当に重要ですね。
■まとめ
リザルト
出走:C4B
順位:13/33位(38%)
タイム:26:38(+1:37)
・1ミスを後に響かせない。
・単純なトレーニング不足。
・ポジション見直し。
今回のレースでライバルの佐藤氏は昇格。差を見せつけられました。
帰宅中の車内で「何も良いところが無かった」としょげる私に、7歳の息子から「まだチャンスはあるし、落車した人を踏まずに怪我させなかったんだから良いじゃん!」とありがたい言葉を頂きました。これを糧に翌1/15の第5戦、平田リバーサイドプラザに挑みます!
【書評】老人と宇宙(そら) 著:ジョン・スコルジー
面白かったので2度、3度と読んでしまう小説ってあると思います。最近また読み返して大変楽しめたのが、この「老人と宇宙」です。シリーズ4部作(一応5巻もあるのですが、それは別にいいかなという感じです)のSF戦争小説シリーズで、分別のついた大人向けの娯楽作品です。
世界観は、75歳以上の老人(!)だけが入隊を許される宇宙軍に主人公「ジョン・ペリー」が入隊し、エイリアンと戦うという物ですが、そのブッとんだ設定からも想像できる通り固さは無く、ご都合主義の読みやすい作品になっていると感じています。
私はSF小説が好きですが、いわゆるハードSFと呼ばれる「科学的に正しい」小説は、知識が無いと理解が追いつかず、なかなか読み進むのが難しい所があります。最近読んだ「順列都市」も大変面白かったのですが、コンピュータサイエンスの概念が膨大で、イメージをつかむまでかなり時間がかかりました。
対してこの「老人と宇宙(そら)」は、科学的な設定をあまり意識しなくても読める、単純な娯楽作品です。どこが面白いのか、という事を語るとネタバレになりやすいのですが、この著者の作品は、「エイリアンの描写が妙に細かい」という特徴があります。映画「MIB」シリーズをイメージしていただけると良いかもしれません。
著者であるジョン・スコルジーの作品は気に入っていて、「レッドスーツ」、「アンドロイドの夢の羊」と読んできましたが、作品の魅力としてはユーモアやジョークが目立つ所と、「上手くパクっている」という所では無いかと感じています。あとがきでもパクっている事は明言している著者ですが、元ネタを知っているならニヤニヤできる種類のパクりかたで好感が持てます。「オマージュ」とか「リスペクト」と言われる種類の物ですね。
戦争物としては、今でも年1回は見るスタンリー・キューブリックの名作「フルメタルジャケット」でも新兵の訓練パートが有名ですが、本作でも75歳とはいえ主人公は新兵ですから、訓練パートが存在します。私はちょっと「ほほぅ」となった内容でした。
4部作読んでみると、主人公の「ジョン・ペリー」という名前にも、日本人としては含みがあったのかな?とか感じてしまいます。著者は東洋文化にも詳しいようですし、意識していたのかもしれません。
長編で4部作ですので、たっぷり楽しめます。単純な娯楽作品として、本書はオススメします。
【レースレポート】東海シクロクロス第3戦 平田リバーサイドプラザ C4B
今回のレースを終えて、「立ち漕ぎ」のトレーニングを強化する事にしました。
東海シクロクロス発祥の地、平田リバーサイドプラザ。毎度お世話になっている岐阜県自転車競技連盟の本拠地と言ってもいい位、東海地方で自転車競技をする人には馴染みの深い会場です。コースはど平坦の芝、という印象を覚える会場ですが、昨シーズンでは全く走れなかった印象がありました。とにかく私の技量ではスピードを乗せられない印象が残っています。それは何故だったのか。今回のレースでやっと合点がいきました。
■事前の練習
芝で走れない自覚があったので、前回のワイルドネイチャープラザから、週一ですが最寄りの河川敷の芝で練習をしていました。自宅から往復1時間、準備と片付け20分、練習40分の計2時間の練習です。走行時間はタイマーをセットして、40分間休まず全力で走ります。速度を上げてコーナーに進入する練習と、必ず担ぎで走る事を取り入れ、心拍が高い状態で走る事を心がけました。写真の左手に見えるキャンバーを担ぎで登ったり、結構密度が高い練習ができた気がします。平日は自転車通勤しかトレーニングらしいことができないので、休日の僅かな時間が本当に貴重です。
■前日試走
今回は妻の後押しもあり、前日試走の時間を作ってもらえました。今まで試走の時はコーナーに重点を置いて、曲がりにくいコーナーを何回も練習していたのですが、今回はとにかくレースの速度を意識して全力で走る事にしました。遠くに見える人を全力で追うイメージです。
最初の連続Uターンの区間が特に厳しい路面でした。
Photo by Kikuzo
全力で走ってみてわかった事は「振動がスゴい」という事です。芝の平坦路に見えるのですが、固く締まった土が凸凹しており、速度を上げると視界がブレる振動です。長袖インナーが腕に擦れて痒くなりました。とくに写真にある第1コーナー進入直後からシケインまでの区間が強烈でした。あっという間に首と腰が痛くなり、まともに走れなくなってしまいました。これが前述した「まともにスピードを乗せられない」理由でした。当時、今よりベーススピードが低かった私は、振動が少なかったため芝に隠れている凸凹に気付かず「何でこんなに進まないんだ」と感じていたのです。
■レース当日
今回試してみたかった事として、「まともにアップをしない」というのがありました。
前回のワイルドネイチャープラザでアップの仕方がよくわからなくなってしまった私は、まず1回アップをやめて走ってみることにしました。今回のレースはAM9:00にはかなり気温が上がっており、寒い感じはありませんでした。厳冬期のレースなら身体が固まってしまうのでアップが必要だと思いますが、今回は暑かったのでナシとしました。結果、スタートまで身体は冷えず、気分良くスタートまで過ごせました。
ゼッケンNo.7でセカンドロー。スタート後の舗装路は接触して落車するのが怖いので、無理に前に出ようとせず先頭集団にピッタリくっついて、落ち着いて第1コーナーへ侵入しました。
この時点で6〜7番手で進入。
Photo by Kikuzo
ここからが苦しい凸凹路面ですが、前日の試走で尻をサドルからわずかに浮かして中腰状態で漕ぐと少しマシに進むと感じていたので、それを意識しつつ走りました。シケイン後に2人ほど抜かれましたが、ペースを崩さないように走りました。
前を走っている方を抜かすチャンスがあり、2周目の中頃で6位くらいだったでしょうか。前に、ライバル視している佐藤氏の姿が見えるではないですか。後で知ったのですが、シケインで落車して順位を落としていたようです。勝てないと思っていたのに目の前にいるので、必死に追いすがりました。ですが彼のほうが上手、コーナーの進入までは距離を詰めれても、脱出で逃げられてしまいます。
私は小さいターンが苦手なので、道幅が狭いUターン区間は降車して走り、少しでも距離を離されないように走りました。ですが4週目位で1人に抜かされ、さらに距離は広がり、その後は追いつけず。追いつけなかった理由は、心肺機能ではなく太ももと腰の痛みでした。今回アップをしていませんでしたが、以外に心肺機能はもったのです。
C2ライダーの友人から、「ダンシングはしないの?」と聞かれたことがあります。渡しの場合は「ダンシング」ではなく「立ち漕ぎ」です。下手なので基本的に避けて来ましたが、今回のレースは振動が激しく、中腰で漕がざるをえない状況でした。結果、まず太ももの前側が痛くなり、続いて腰が痛くなりました。私の脚には、中腰でペダリングを続ける力が備わっていないのを思い知らされる事になりました。そのままゼッケンNo.と同じ7番手でゴール。前には追いつけませんでした。
■反省点
・振動に耐える太腿の筋力が無い
その日4位だったライバル佐藤氏はレース後スッカスカだったのに対し、私は太腿の前側と腰の痛みが酷いかわりに心拍はすぐに回復しました。コレは出し切れていない。振動をいなすために中腰で走ると太腿の前側が痛み、腰周りが力んで痛くなってしまいました。痛みが無ければもっと出し切れていたはず。以前から立ち漕ぎするとすぐに前側の筋肉が疲れてしまっていたので、体重に対して弱いのが明らかになりました。筋トレします。
・グローブ無しが自分に向いていない
暑かったのでグローブ無しだったのですが、振動がモロに腕に来て力んでしまいました。少しでもグローブのグリップに頼ればもう少しましだったのでは。夏用のグローブは今年ストックの2着とも破れてしまい、その後買っていませんでした。平田リバーサイドプラザはもう一度あるので準備しておきたいと思います。
■良かった点
・シケインを一定のペースでこなすことができた
Photo by Kikuzo
過去に左足がペダルから離れず前転したことがあるので、今回は
1.シケイン前で左足を先に外して土踏まずでペダルに乗る
2.右足を外して降りる
という手順で降りました。結果足がもつれず毎回同じ歩数で越えることができました。
写真では躍動感が全くありませんが、背筋も伸びているし、自分としては上出来です。マウントも焦らず、気を落ち着けて乗れました。
・順位を大幅に落とさなかった
スタートは良くてもその後ズルズル順位を落とす場合が多いのですが、今回は抜かれたけれど抜き返す事もあり、少しレベルアップした感じがあります。ライバルに追いすがろうとする気持ちも後押ししたと思います。「負けへんで」のメンタルが肝心ですね。
・アップ無しでも意外と走れた
アップ無しにしたのは、子連れでレースに来ているので、子供の様子を見ながらレースまでに効率よく準備をするのが私には難しいためです。アップをするとスタートまでバタバタで心理的に余裕がありませんが、今回は余裕を持ってスタートに立てました。20分〜30分のこの時間が大きい。それでもまあまあ走れたという事は、若干は先週までのトレーニング効果があったと考えています。短時間でもキツめのトレーニングをすると少しは向上する事を実感しました。
■まとめ
リザルト
出走:C4B
順位:7/30位(23%)
タイム:28:38(+1:18)
・太ももの前側を意識してトレーニングする
・短時間でもいいからトレーニングする
・ライバルを意識するのは大事
次回は2週間後の第4戦、各務原アウトドアフィールドです。滑りやすい丸石がゴロゴロ転がっている走りにくいコース。次こそ表彰台に絡む走りをしたいです。