【レースレポート】東海シクロクロス2018-2019 第1戦 平田リバーサイドプラザ C3
ついに私にとって2018-2019年シーズン開幕戦にあたる東海シクロクロス第1戦がやってきました。結論から言うと、「色々準備不足」という残念な結果になってしまいました。しかし、人一倍失敗の多い私としては、気合いを入れ直す良い機会となりました。
◼︎事前の準備
トレーニングについては昨シーズンの東海シクロクロス新城ステージ後から、ほぼ毎週56Cyclesに通い、パワーに関しては過去最高の脚に成長しました。食事制限が猛烈に苦手な私は体重も大いに成長してしまいましたが…
また、成長したパワーを活かすべく、ペダルを更新しました。ごく一部で話題のXTRショートアクスルです。
これが思った以上に調子よく、踏面が広く、かつQファクター(自転車の中心軸からペダルまでの距離)が狭いため、まっすぐ脚を下ろしやすく、大変踏みやすいのです。
過去最高に成長したパワーと、それを伝えるペダル。それを備えながらまだ考えが甘いのが私。重要なタイヤの準備まで頭が回っていなかったのでした。
◼︎レース前日
体重以外のコンディションは最高の状態で挑みたかったので、レース3日前に56Cycleでトレーニングした後は高負荷はかけずサイクリング程度。食事はしっかり補給をしました。
レース前日の晩御飯は妻の実家からもらった里芋をたっぷり使って芋煮(私の父方の実家は山形県のため、醤油だしに牛肉がメインです。味噌と豚肉は認めない)を作り、
これまた山形県名産の傑作漬物「晩菊」
をおかずにご飯をしっかり食べ、しっかりカーボローディングして22時に眠りに着きました。
「晩菊」があると息子共々あっという間に白米がなくなります。
◼︎レース当日の朝
5時に起床、5時20分に自宅を出ました。雨がぱらついていて、少し憂鬱です。木曽川が近づいてきたところでコンビニに入り、ビニール傘を買いました。コンビニの駐車場で荷物を確認して気がつきました。「着替えのパンツが無い」。
ズボンの下は着替えの手間を省くためにビブショーツ。外は雨。ずぶ濡れになるのは確定なのに着替えのパンツが無い。着替えを持たないシクロクロッサーは幸せになれません。さらに荷物を弄ると心拍計がありません。靴下だけ余分に3足も入っています。準備不足にほどがあります。気を取り直して6時45分には会場入りして、受付を待ちました。小雨がぱらついています。
朝食は、固形食をとりません。味の素のアミノバイタルゼリー2個とスポーツドリンク1リットルをちびちび摂取します。さらに水を補給するとこの後決まって便通があるので、胃に固形物を溜めず、空腹感も無い状態がキープできます。今回もうまくいきました。
◼︎朝の試走
今回、タイヤはIRC SERAC CX EDGE。センターヤスリ目のハードパック向けのタイヤです。試走を始めてすぐにタイヤチョイスが失敗だった事に気がつきました。
今シーズンの東海シクロクロス第1戦は、東海地方の自転車競技者にとっては聖地とも言える「平田リバーサイドプラザ」。昨シーズンは台風、昨々シーズンは積雪で中止になったこの会場は、芝生に隠れた凸凹が大変バンピーで、かつ水分を含むと猛烈にスリッピーな路面に変化していくのです。凸凹を走ると衝撃が激しく、必要以上に増大した上腕二頭筋がブルブル震え猛烈な疲労感です。さらに、朝の小雨で泥が浮き始めていた路面は路面抵抗が低下し猛烈に滑りやすくなっていました。体重が重い私は、空気圧を1.9に設定しました。周りでは1.5気圧とか話しているのが聞こえますが、そんな低圧だと私の場合はタイヤが外れます。チューブラータイヤが使ってみたい…
でも実際どこまで空気圧を下げられるのかしっかり検証したことはないですね。これは実験が必要かな。
◼︎ウォーミングアップ
朝の試走は時間をフルに使って路面を確認しましたが、全然うまく乗れる気配がありません。自分のタイヤチョイスのミスとテクニック不足を痛感しました。公園で8の字走行の練習をしても、レーシングスピードで追い込まないとタイヤの限界がわからないのです。
試走時間が終わって、CL3、U15のレースが始まりました。私が出走するC3まで随分時間があります。とりあえず応援に集中する事にしました。応援の合間に激しい雨が降ってきます。体を冷やさないように適宜車に退散、10:30頃からウォーミングアップに備えてアロマオイルを脚に擦り込みました。
すっかりお気に入りのイナーメのCXオイルです。たっぷり使いたいので今シーズンは100mlを注文しました。脹脛、太腿、尻、背中にたっぷり塗り込みます。香りがとても良い。車の中がフローラルな香りでいっぱいになります。
ローラー台アップの前後に、今回は味の素の「アミノバイタルショット」を食べてみました。
昨シーズンは東海シクロクロスではおなじみの「アスリチューン」を食べていましたが、今回は入手性が良いものにしてみました。結論なかなか調子良かったです。
◼︎レース本番
降ったり止んだりの変わりやすい天候。C3のレース前から、また雨足が激しくなってきました。体を冷やさないように気をつけていたのですが、ローラー台アップの効果はあり、体は十分あったまっています。今回防寒具としてユニクロのウインンドブレーカーを使ったのですが、中々調子がいい。薄手で撥水ですし。
補給もうまくいっているようで、空腹感は全くなく、鼻っ柱に血が集まる感覚があります。血糖値もしっかり高まっている気配です。昨シーズン後半でC3に昇格した私のボディNo.は25で4列目。前に並ぶ選手は層が厚く、さらに第1コーナーに目を向けると土が浮いています。
ビビリが入りました。
スタート直後に前走者に絡んで落車、第1コーナーをオーバースピードで侵入して落車のイメージが頭に浮かびます。本当に久しぶりのシクロクロスに恐怖を覚えました。号砲から一斉スタート。C3は勝ち上がってきた選手ばかりだけに、スタートミスはほとんどなく、集団でホームストレートを進みます。「ここで落車したら…」密集度に恐れをなした私は、ズルズル後ろに下がってしまいます。おそらく最後尾で第1コーナーに侵入しました。
平田リバーサイドプラザのコースは、芝生に隠れた微妙な凸凹がライダーを消耗させるなかなかハードなコースです。第1コーナー進入後から激しく体が揺さぶられます。第2コーナーに入ると前後輪とも滑り出し、私のテクニックでは制御不能になってしまいました。前後に隊列が長く伸び、後続集団から脱出できなくなっていきます。直線に入ると踏めるのですが、コーナーに進入する度に前後輪が滑り、その度に体が反応して、歩くより遅いスピードでコーナーを曲がります。まるで止まっているかのようです。時が止まっているのではない。俺が止まっているんだ。
Photo by Kikuzo ライバルの庄司店長が後ろに迫る。
さらに平田リバーサイドプラザの鬼門であるコース中央部の舗装路。猛烈に砂利が浮いており、どこで滑るのか全くわかりません。本当に「コワイ!」と叫びながら走りました。タイヤには全く接地感がありません。氷の上をスニーカーで歩いている感覚です。この間に一度抜いた選手からもズバズバ抜かれます。長く伸びた隊列では、後ろに下がると私の走力では全く前に出れません。少なくともスタートダッシュは決めて、前の方に出ておくべきでした。
雨は降っていますが気温は高く、全く寒くありません。脚も疲労感はなく、しっかり動きます。しかし踏み込むと後輪が滑り、トラクションが全くかからず、ブレーキをかけると前輪が滑ります。滑る度に体が硬直し、もうなんというかてんでダメな状態になってしまいました。
追い上げてきたM2の選手に抜かされ始めたところで前輪が滑り左側に落車。「マジかよ!」と言いながら避けてくれたM2の選手に感謝です。ホント申し訳ない。
見事に擦りむきました。
結局その後もペースを上げられず、ゴールスプリントだけ頑張ってゴール。全くパッとしないレースになってしまいました。走り終わってみると背中と腰は痛いけど脚が全く疲れていません。喉の奥に血の味もしない。高まってきた己のパワーを全く出しきれないモヤモヤしたレースになってしまいました。
◼︎レース後
着替えのパンツを忘れてきた事を思い出しました。持ってきていたフェイスタオルを越中褌的に股に挟んでパンツ代わりに。歩くと股間がそよぐ粋な爽快感。ダメな大人感が自分を苛みます。
レース後は定番のBUCYO COFFEEで昼食です。トマトクリームパスタはアップデートされ、標準でウインナーが添付されました。脚を使い切っていなくても飯は美味い。
雨に濡れた身体にBUCYO COFFEEの愛が沁みます。
今回は妻子を置いてレースに来ていたので、自分のレースが終わったら早々に帰宅する予定だったのですが、結局全部のレースを観戦してしまいました。全てのレースの展開が面白く、自分のミスが何だったのか考えさせられました。次のレースにこの反省を活かしたいです。
帰宅後は晩御飯に舞茸をたっぷり入れた豚コマの生姜焼きを作りました。
レースのモヤモヤをフライパンにぶつけて気持ちを落ち着ける作戦です。美味しくできました。
◼︎リザルト
カテゴリ:C3
順位:34/38位(89%)
タイム:28:03(+2:57)
◼︎まとめ
・タイヤチョイスは完全に失敗。ノブが高いタイヤもあらかじめ用意しておくべきだった。ホイールセットとしての用意がベスト。
・レーシングスピードでのコーナー進入の感覚が無くなっている。回数を重ねるしかない。
・脚は疲れなかったことから 、走力は上がっている。走力を路面に伝えるテクニックが必要。
・着替えのパンツを忘れるな。
Photo by Youkan_0045 脚は育ってきている。
私にとってもはやライフワークとなってきたシクロクロス。
今シーズンは諸所の事情から東海シクロクロスのみに絞っていますが、今シーズンも何らかの成果を出したい。まだ始まったばかりなので、ここで腐らず次の各務原アウトドアフィールドにつなげたいと思います。
【書評】獣の奏者 著:上橋菜穂子
個人的な理由で、最近長い新幹線の旅をしました。
旅のお供は、Amazonプライム会員なら格安で買えるKindle Fire HD 8です。電子書籍である Kindle本を読むのには正直重たく、今回長時間使ってみて、7インチ版が欲しくなってきました。まず読んだのが最新のハヤカワSF短編賞を受賞した「天駆せよ法勝寺」です。「佛理学」で宇宙を駆ける九重塔を描いた「佛教スペースオペラ」というハンパない内容で、万人にはオススメできないが、刺さる人には絶対刺さる素晴らしい作品でした。
天駆せよ法勝寺-Sogen SF Short Story Prize Edition- 創元SF短編賞受賞作
- 作者: 八島游舷
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2018/06/29
- メディア: Kindle版
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…話がそれすぎました。
今回の本題は、「天駆せよ法勝寺」を読んだあとに読み始めた、和製ファンタジーの傑作と誉れ高い「獣の奏者」です。
外伝まで含めて計5冊。3日かけてまさに貪るように読みました。間違いなく傑作と言えましょう。ジャンルとしてはファンタジー小説に属すると思うのですが、ファンタジー小説でここまでハマったのは、25年近く前、広井王子が書いた「蜃気楼帝国」以来でしょうか。読んだのは中学生の頃なので、もはや手に入らないでしょうけど・・・
蜃気楼帝国 文庫 全5巻完結セット (角川文庫―スニーカー文庫)
- 作者: 広井王子
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
- 発売日: 1993/03/01
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さて、「獣の奏者」は講談社の青い鳥文庫でも出版されていることから、ある程度児童文学の要素を持っているのかと思いきや、しっかりした読解力を求める全年齢向けでした。過酷な人生を背負った主人公エリン(名の由来は作中では山リンゴの意)の少女時代からその生涯を描く大河ドラマです。
物語のキーとなるのが「闘蛇」と「王獣」という強い力を持った獣です。人にはなつかず、強大な力を誇る「獣」。犬笛のような超音波を発生する「音無し笛」でしか人はそれを御することはできません。しかし、同じく過酷な運命を背負い、若くして亡くなったエリンの母は、その獣を自在に操る術を持っていました。娘を守るために「大罪」とされるその術を使った母の影響で、エリンはどんどん過酷な運命に飲み込まれて行きます。
注目したいのが、ストーリーの面白さもあるのですが、物語の主要な謎である獣の正体に挑む主人公エリンのアプローチが、大変「科学的」であることです。あとがきからも伺えましたが、間違いなく相当綿密な取材に基づく描写で、エンジニア目線でも納得がいくところです。
予定では2巻で終了だったそうですが、読者からの強いプッシュで4巻まで書かれ、さらに外伝が出版されたとのことですが、世界観の完成度が高く、全く破綻を感じさせないストーリーでした。よく、優れた作品はキャラクターが自然に動き出し、物語を紡ぐと作家は言いますが、まさにそんな作品なのだと感じます。
読んだ人相手にはいくらでも語りあえそうな奮を覚えましたが、ネタバレはしたくないのでぜひ気になった方には読んでいただきたい。本作はKindle版で購入しましたが、書籍でも購入してリビングの本棚に置く事が決まりました。おそらく読むたびに発見があるでしょう。
上橋菜穂子先生の長編小説では、「鹿の王」というこちらも名作の誉れ高い作品が控えています。これからすぐにでも読みたい作品がすでに控えているのは幸せです。SF小説ばかり読んでいる私でしたが、結局面白ければジャンルは問わないということがよく分かりました。さらに読む範囲を広げてみたいと思う今日この頃です。
【自転車実験室】KONA HULA 24インチ 2018を10速化した話
私は、この秋はドロッパーポストを買おうと思っていたんです。MTBに本格的に乗り始めるとほしくなるのがサドル高を自在に変えられるドロッパーポスト。また来年になりました。
個人的に微力ながらお手伝いさせていただいている「INABU BASE PROJECT」。愛知県豊田市の稲武地区で山を切り開き、MTB用のトレイルを開拓して、将来的に有料のMTBツアーに繋げようとする試みです。
その一環として先日、2018年の8月末に子供向けのイベントが開催されました。私はスタッフとして妻子を連れ参加してきました。
結果は上々で、妻子共に大いに楽しんで貰えて、イベントとしては成功だったと感じています。ですがここで前々から気になっていた問題が浮上してきました。
「息子の走りがアグレッシブ過ぎて、チェーン落ちが激しい」という問題です。
息子の自転車はKONA HULA 24" の2018年モデルで、オフロード寄りの子供向けクロスバイクです。街乗りやちょっとしたダートを走るぶんには何も不満が無いのですが、トレイルで跳ね続けると、頻繁にスプロケットのインナー側にチェーンが落ちてしまう問題が浮上してきました。KONA HULA 24" の2018年モデルの変速機は、Shimanoの7速グリップシフト、スプロケットがボスフリーです。
浮上した問題点は
・段差を越えた際のリアディレイラーの暴れが激しく、チェーン落ちしやすい。
この通り暴れまくりです。
チェーンが7速用で分厚く重いこと、RDのテンションが弱いため今にも外れそうな勢いでチェーンが暴れます。これはガチのトレイルでは外れることも納得です。
・インナー側の「皿」を取っているせいで、ボスフリーのスプロケットのインナー側にチェーン落ちした際に微妙に復帰しづらい。
チェーンのアウタプレートが、スプロケット裏側のピンに干渉する位置に落ちているのがわかるでしょうか。
新車についているインナー側の「皿」ですが、自分で自転車をいじるようになってからは全部はずしています。チェーンがインナー側に落ちても復帰はそんなに難しくなかったので。ですが、ボスフリーのこのスプロケットの場合、「皿」がないと、チェーンが落ちたときにこの隙間にチェーンが入ってしまい、知恵の輪的に取り出せなくなってしまうのです。かなり頑張らないと取れないし、手も汚れまくるしであんまり嬉しくありません。
・ボスフリー用の工具を持っていない。(使用頻度低過ぎ、というかほぼ無い)
しかし、ここは息子からの訴えで初めて理解したのですが、
・グリップシフトだと、登坂中に不用意にシフトアップしてしまい登り切れない。
という発見です。
オフロードの登りでハンドルをしっかり握りながら漕いでいると、グリップシフトに触れてしまい、不用意にシフトアップ、登り切れないという現象が発生しているようでした。シフトを避けてグリップを握ると、ブレーキに触り辛い、バランスが取りにくいとの事。
今後も息子に思うがままトレイルを走ってほしい私としては解決しなければならない問題です。
結論としては、
「スタビライザー付きのリアディレイラーを導入しチェーン落ち率を低下させると共に、ラピッドファイヤー化で不用意な変速を防ぐ」というものです。ここから、「シマノの10速MTBドライブトレインの導入」という考えに至りました。我が家の主な自転車のドライブトレインは、シマノ10速もしくはシングルスピードなので、妥当な選択肢でした。また、11速にするとチェーンが薄くなるため、初期状態のチェーンリングにチェーンが合わなくなる可能性があります。まだ11速に手は出せない。
■用意したパーツ
・変速機:RD-M6000-GS
チェーン暴れを低下させるため、スタビライザーつきのリアディレイラーです。パーツとしては高価な部類なので、一番安いDEOREグレードです。こう見るとかっこええやん。
・スプロケット:CS-HG500 10S 11-34T
もともとのスプロケットは14-34Tが実装されていました。今回の改造でトップ側のギア比が高くなり、ロー側がきめ細かくなる感じです。
グラフ化するとこんな感じ。ギア比の上昇曲線が美しいですね。
・チェーン:CN-6701 10S
5,000km弱使った私のシクロクロスバイクのチェーンを洗って流用しました。ロード用ULTEGRAグレードです。WAKO'Sのパーツディグリーザーでしっかり洗ってピカピカ。最近チェーン値上がりしたので流用もバカになりません。切れたら新品にします。
自分の分は56cycleでデッドストックになっていたCN-6701が用意してあります。だれも10速のチェーンを買わないので、旧価格で売ってもらえました。
・リアハブ:FH-T610 36H
もともとがボスフリーのホイールなので、そのままではカセットスプロケットが実装できません。24インチのMTB用ホイールを新たに入手するのも難易度が高いので、リムを流用してホイールを組み直すことにしました。もともとのハブが36Hなので36Hです。
・ブレーキレバー:BL-T611
正直これは変えなくても良かったのですが、シマノのVブレーキレバーはシフターをレバーにマウントできる「Ispec-B」対応です。見た目がスッキリするし、もともとのハンドルバーが黒なので、ハンドル回りが黒でまとまってかっこええやろ、という考えです。完全に自己満足の世界。
・シフター: SL-M670-B-I 右のみ
ブレーキレバーを「Ispec-B」対応にしたので、「Ispec-B」対応の10速レバーは自然とコレになりました。DEOREよりも気持ちレバーの引きが軽いことを期待したい。
・グリップ:WTBの¥1,400のやつ
安価でちょうどいい、みんなの味方WTB。グリップシフトではなくなるので、右側のグリップが合わなくなるので、新たにグリップが必要です。イボイボがあるタイプは素手だと痛くなる時があるので、ツルっとしたコレにしました。
かくして私のドロッパーポスト代は息子のドライブトレイン代となりました。自転車をいじるのは楽しいですし、後悔はしていない。
■車輪組み
今回リアホイールは組み直しです。久々に車輪組のチャンスがやって来ました。
もともと使われていた正体不明の24インチリムを使用するので、ERD(有効リム径)が不明です。スポークとニップルを使ってERDを測ります。
元々のホイールをバラしてリムを観察すると、デカい切削屑が2個も取れました。もう一個あったのですが奥まったところにあり取れません。今回は諦めました。
リムがバラせたところでERDを求めるため各部を採寸します。
以下が私のERDの求め方です。
1.リムの外径を測る。・・・ A
もともとのホイールをばらしてリム単体にし、メジャーで直径を測ります。3回程度測って平均値を出します。リムの繋ぎ目や、スポーク穴を目安に測ると測りやすいです。
今回520mmでした。
2.リム外周からニップル先端までの長さを測る。・・・ B
仮のニップルとスポークをつけ、リム外周からニップルの先端までを測ります。スポークをつけておくとニップルを引っ張って測れるので測りやすいです。
25.5mmでした。
3.ニップルの長さを測る。・・・ C
ニップル先端からニップルのドライバー溝までの長さを測ります。スポークはニップル内のネジのかかりしろまであればよいので、溝のツラで測ります。
11.5mmでした。
4.計算する。
ここまで測定した値で、以下の式にすると計算できます。
ERD = A - 2 × ( B - C )
ざっくり絵にするとこんな感じです。
B - C を2倍しているのはリムの反対側も計算に入れる必要があるからです。
工夫してERD計測工具を自作している方もいるようですが、しばらく次のホイールが組めなさそうなのでまた次回にしたいと思います。
ERDが計算できたら、Excelで作ってある計算ツールでスポーク長を計算です、と言いたいところなのですが、今回使用するハブであるFH-T610のフランジ↔︎センター間の寸法が製品ページにありません。シマノの技術資料をたぐります。
2018-2019 SHIMANO Product Information Web
資料によると、フランジ間距離(Flange distance)が59.2mm、オフセット(Offset)が7.8mmとあります。この数字から、フランジ間距離を2で割って、ドライブ側はオフセット分を引き、反ドライブ側にはオフセット分を足すとフランジ↔︎センター間の寸法が出せます。
結果、
ドライブ側:21.8mm
反ドライブ側:37.4mm
となりました。
念のため実寸もします。
エンドにアルミの治具を突き当て、ノギスで測ります。アルミの治具は、以前服部製作所にお願いして作ってもらいました。クイックレバーをしっかり締めると治具が固定できるので、安定して採寸ができます。この時、スポーク穴から採寸すると、シマノの技術資料とほぼ同じ寸法になりました。資料の値で計算して問題なさそうです。
以前にExcelで作成した計算シートにこれまでの採寸結果を入力して計算します。
ドライブ側4本組、反ドライブ側6本組のヨンロク組でいくことにしました。スポーク長が計算できたらおなじみのCirclesでスポークを切ってもらいます。スポークは安価にホシの#14です。
組めました。フレームカラーが緑なのでニップルもアルミの緑にしました。
今回組み立ててみて、反ドライブ側のスポークがだいぶ長いことがわかりました。以前から感じていたのですが、首折れスポークの場合、首の部分が馴染んでくると、予定よりスポーク長が伸びてしまう印象です。このあたりの伸びを補正値として今後は計算に組み込んでいく必要がありそうです。
■自転車への組み付け
ホイールが組めたらあとはちゃっちゃと自転車に組み付けていくだけです。
組めました。
側面から見たら、写真が暗いと変化がわからないくらい見た目では地味な変化です。スプロケットが目立つかな。
ハンドル部はしっかり変わりました。
シフターがレバーの下に隠れるので見た目がスッキリです。
ライダー側から見るとこんなかんじ。
黒で統一されて、引き締まった印象です。ステアリングコラムのトップキャップは、2018年の白州の森バイクロア4でファミリークラス3位入賞の賞品です。スペシャリティある。
気にしていたチェーン暴れですが、
変更前と比べるとリアディレーラがスタビライザーのおかげで暴れないので、全然違います。チェーンリングは初期についていたものですが、現時点では外れる気配はなさそうでした。このまま行けそうです。変速についても特に問題ない印象です。
息子に実走で変速の調子を確認してもらいました。早速近所の公園の階段を乗車で下って、チェーン暴れが少ないことに満足してもらえたようです。シフトダウン時に親指をだいぶ押し込まないといけないことに少し戸惑ったようですが、全体としては問題なく変速できるとのこと。シフターの取り付け位置も微調整が効くので、ある程度の握力がついてきたら子供用自転車でもグリップシフトよりラピッドファイヤーのほうが良さそうです。
地獄の猛暑もやっと落ち着いてきたし、あとは思う存分走ってもらうだけですね。
【書評】夜は短し歩けよ乙女 著:森見登美彦
小説を読む人であれば、「食わず嫌い」ってあると思います。
私にとっては、森見登美彦作がまさにそれでした。
ベストセラー作品のなかでも「夜は短し歩けよ乙女」は、なんというかなぜか手が出ない作品だったのでした。
- 作者: 森見登美彦
- 出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング
- 発売日: 2008/12/25
- メディア: 文庫
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最近森見登美彦原作のアニメ映画「ペンギンハイウェイ」のCMが見られるようになってきて、そのSFっぽい雰囲気に私としては食指が動く感じでした。最近小説を読む時間も作れるようになってきて、私としては「ペンギンハイウェイ」を読む前に代表作とも言われる「夜は短し歩けよ乙女」を読んでおくしかないんではないか、と思い読んでみました。
読みはじめてすぐに感じたのは、「うる星やつら2 ビューティフルドリーマー」感でした。原作の高橋留美子をして 「一番きらい」と言わしめた押井守監督作品です。
森見登美彦は京都大学農学部出身で、その京都大学周辺を舞台にした甘酸っぱいラブストーリーの本作ですが、夢現のなかで過ぎ去るファンタジー感はまさに「ビューティフルドリーマー」でした。なんというか著者の大学時代の風景、もしくは思考回路を反映したのかと邪推してしまう本文ですが、対してヒロインの思考回路の現実感の無さ!妄想膨らむ青春真っ只中のオタク大学生の理想を具現化したような現実感のないヒロインですが、読み進めると「まぁええか」という気持ちになってきました。もはや突っ込むのも無粋というもの、という気配です。
このヒロインに対して女性読者はどのような印象を抱くのでしょうか。
ストーリーは徹底したご都合主義で、京都を舞台にファンタジーな世界が広がります
。登場人物は面妖な人物ばかりですが、実際「京都ならしゃあないか」と思わせる妙なリアリティを感じるキャラ立ちした人物ばっかりです。別に私は京都には縁もゆかりもなく、完全に勝手な思い込みです。
最後まで読んで、赤面間違いなしのハッピーエンドで終わるのですが、ハッピーエンドの作りよりも、作中のセリフの元ネタや、伏線回収について考えさせてしまうところがかつてひねくれた男子学生だった自分を抉ります。私は作中の「私」のような知的レベルでは生きていませんでしたが・・・
文庫版の「あとがきにかえて」の羽海野チカ先生のイラストがしっくり来ていて、山下和美先生でもしっくり来る気がしました。読み終えてから著者のWikipedia記事を読んでみると、押井守作品に特別な思いがあるようです。私が感じた「ビューティフルドリーマー」感は間違いなかったようです。
ベストセラー作品にまんまとやられた気がして悔しいのですが、「まぁこれは流行るんちゃうかな」とうそぶきつつ、すでに購入済みの「ペンギンハイウェイ」に読み進みたいと思います。
【書評】巨神計画・巨神覚醒 著:シルヴァン・ヌーベル
乱暴かも知れませんが、古より日本ではSFと言うと、もっとも一般的に知られるのが巨大な人型ロボットが主題のアニメと言えるかと思います。
しかし、人型の巨大なロボットに人が乗り込んで操縦し、戦闘に使うというのはどう考えても無理があります。巨大な質量はそれだけでコントロールが困難な代物ですし、質量が巨大だということは、少し動くだけでも巨大な仕事量となり、それを実現するには莫大なエネルギーが必要で、そのエネルギーをどこから調達するのかという問題もありますし、第一戦闘に使ったら確実に壊れるワケで、達成できる成果と製造コストと補修費が釣り合わなすぎです。結局ミノフスキー粒子が散布されても現実では人力の白兵戦になる気配が濃厚です。
でも、人々は巨大ロボットによる戦闘が大好きです。
私も大好きです。
しばらく色々あって大好きなSF小説を読む機会がなかったのですが、やっと私生活が落ち着いて久々にSF小説を読む機会がやって来ました。今回読んだのは職場付近の本屋で面出しになっており、前から気になっていた「巨神計画」と「巨神覚醒」の各上下巻4冊です。
発掘された正体不明のテクノロジーで製造された約6000年前の巨大ロボットをめぐるお話です。3部作として構想されており、来春日本語版完結編が販売される予定です。今から超楽しみ。日本の巨大ロボットアニメに知見のある方であれば、読めば著者が猛烈に日本のロボットアニメ愛好家であり、かつひねくれた性格であることがお分かりいただけると思います。
特徴的な文体で、録音記録を文字起こししたような形でストーリーは進みます。巨大戦闘ロボットが発掘され運用されるまでの流れ、そしてその戦い、バックストーリーまで、あんまり細かい描写とは言えないまでも読み手を興奮させる内容で、ぶっちゃけ大満足です。特に「インタビューワー」の存在が読者を刺激すると感じました。すっかりハマってしまい4冊買って3日で読んでしまいました。ですが、2部4冊の中でロボット同士の戦闘シーンはごくわずかで、絵面を想像すると大変地味なものです。でも個人的には納得のいく戦闘シーンでした。
第2部である「巨神覚醒」では、主要な登場人物の名前の由来が明らかにされるのですが、40歳付近のアニオタには「そこまで直球でいいの!?」と感じてしまいます。ガチのロボットアニメ愛好家の方であれば、モトネタはどこかを考えながら読んでもよいかも知れません。個人的には「ぼくらの」分も感じました。さらに結構大急ぎで伏線回収しているので、読者としてはそれなりのカタルシスは得られると思います。
細かい設定が大好きなSFオタからは雑な設定と言われそうですが、
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/ i f ,.r='"-‐'つ____ こまけぇこたぁいいんだよ!!
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な感じがエンターテイメントとしてはちょうどいい感じです。大変楽しめました。
問題点としては、SF小説はあまり売れないので単価が高くなってしまうということです。文庫版で買った私には4冊で4000円超。でも、何度でも読み返せる事を考えたら結構お得な気もしています。
久々に読んだSF小説がエンターテイメント色が強いもので良かったです。来春発売の完結編が今から楽しみです。
【雑記】マインクラフト(Windows10版)にMakeCode for Minecraftを導入した話
昨年、息子とマインクラフトでマルチプレイをするためにMac Mini(Late2012)にWindows10を導入し、Windows10版とiOS版でマルチプレイを楽しんでいるのですが、旧Mac版でできた「ComputerCraftEdu」が使えなくなり、プログラミングで遊ぶ事が出来なくなったのが不満でした。OSを切り替えればいいのですが、デュアルブート環境ではイマイチ面倒です。
そんな中、2017年の10月にMicrosoftから公式プログラミングツールである「MakeCode for Minecraft」がリリースされていた事を知り、早速インストールしてみました。
結論から言うと昨年遊んでみた「ComputerCraftEdu」よりもプログラミングしやすく、かつ高度なプログラミングが可能になっており、公式の本気を感じます。ですが、日本のマインクラフターの間ではイマイチ話題ではないらしく、Webで検索してもプレスリリースか英語の情報しかなく、個人のブログなどではあんまり紹介されていません。公式からマトモな日本語サイトが公開されていないせいでしょうか。
と言うわけでこのGWの連休で遊んでみた結果をまとめてみたいと思います。
◼︎MakeCode for Minecraftとは?
昨年は気づいていなかったのですが、「窓の杜」で以下の通りプレスリリースがあったようです。
概要を図示するとこんな感じです。
「MakeCode for Minecraft」で作ったプログラムを、「Code Connection」が橋渡しして「マインクラフト」で動作させるという仕組みになっています。後述しますが、「Code Connection」で橋渡し出来るプログラミングツールなら、他の言語も使えるようです。「MakeCode for Minecraft」はJAVA Scriptで組まれており、JAVA Scriptが使える方なら直接記述も可能です。
◼︎インストール
Minecraft(Windows10版)がインストールされたPCで、以下のサイトにアクセスして「MakeCode for Minecraft」をダウンロードします。
サイト中段にある「Download Code Connection」をクリックします。
写真1:ダウンロードボタン
ブラウザが「Edge」の場合は以下のダイアログが表示されるので、「実行」をクリックしてインストール開始です。
写真2:インストールの実行
後はWindowsアプリケーション定番のインストールの流れです。
写真3:おなじみのインストールダイアログ
そのままインストールが終わるとデスクトップに以下のアイコンが表示されます。
写真4:いかにもマインクラフトなアイコン
これで準備完了です。
◼︎マインクラフト(Windows10版)と連携する
マインクラフトを起動してから「Code Connection」を起動すると、以下のようにメッセージが出ます。書類アイコンのボタンを押すと、コマンドがクリップポードにコピーされます。
写真5:仮想サーバへのアクセスコマンドをコピーする
「Minecraft Education Edition」と書いてありますが、普通のマインクラフトWindows10版で問題ありません。
チートONのクリエイティブモードでワールドを作ります。常に昼間、天候変化なしのオプションは付けておいた方がウザくないでしょう。チャットウィンドウを開いて先ほどコピーしたコマンドを貼り付けて、Enterキーを押すか右側の実行ボタンを押します。
写真6:チャットウィンドウへコマンドを貼り付けて実行
「サーバーへの接続を確率しました」のメッセージが出ると準備完了です。
写真7:サーバへ接続を確立
接続が完了すると、「Code Connection」の画面が切り替わります。
写真8:MakeCode以外のプログラミング学習ツールが使えるようである。
ブロック積み上げ型のプログラミング学習ツール「Scratch」も使えるようです。すでに「Scratch」で遊んでいる場合はそちらでも良さそうですね。今回はエントリの表題通り「MakeCode」を使います。
先ほどの画面で「MakeCode」をクリックすると、「MakeCode」のホームが開きます。
写真9:「MakeCode」のホーム画面。すでに何件かプロジェクトを作った後です。
ここで写真9の「新しいプロジェクト」をクリックすると、新しくプログラムが作成できます。
◼︎プログラミングの基本
実際のプログラミングは、公式サイトにチュートリアルがあるので、それで試すとよく分かると思います。ここからは自分で実際に試してみた結果を示します。
「新しいプロジェクト」をクリックすると、以下のような写真10の状態に切り替わります。写真10は、画面左側の「プレイヤー」という青色のボタンをクリックした状態です。
写真10:左側のボタンでプログラムのブロックが各種選べる
赤枠で囲った大カッコのようなものが、プログラムの一括りになります。
ここからはとりあえず、「ComputerCraftEdu」でいうところの「タートル」にあたる「エージェント」の姿を拝みたいので、「エージェントを自分のところに移動させる」を実際に作ってみます。
写真10の赤枠で囲った青い大カッコをクリックすると、プログラムを記述する領域に反映されます。写真11の状態では、マインクラフト上でチャットウィンドウにコマンド "jump" を入力した時に、カッコ内が実行されるプログラムになります。
写真11:大カッコのようなものがプログラムの一括り
"jump" をクリックすると選択状態になり、文字列を書き換える事ができます。
写真12:文字列を選択した状態
"come" に書き換えました。
写真13:文字列を書き換え
今度は、左側の「エージェント」ボタンをクリックし、「エージェントを自分の位置にもどす」と書かれた短冊をクリックします。
写真14:エージェントに対する命令を選ぶ
プログラムを記述する領域に、「エージェントを自分の位置にもどす」の短冊が網掛け状態で追加されました。
写真15:プログラム記述領域に命令がコピーされる
ドラッグして、「チャットコマンド "come" を入力した時」の大カッコ内に短冊を移動します。
写真16:ドラッグして組み込み
収まりました。コレでプログラミングは完了です。
写真17:プログラムの完成
では実際にチャットウィンドウを開いて、コマンド "come" を入力します。
写真18:作ったプログラムを実行してみる
自分の足元に、「エージェント」がやってきました。写真19では一歩引いてスクリーンショットを撮っていますが、実際には自分と同じ座標に来ます。この「エージェント」を使って自分の代わりに建築をしたり、畑を作ったり色々遊べるのですが、それは別の機会にします。
写真19:呼び寄せた「エージェント」
◼︎遊んでみた
公式サイトにはサンプルプログラムが示されており、それを試しに遊んでみることにしました。写真20のプログラムは、「Chicken Rain」と名付けられた「ニワトリを、自分の上空100の座標に100羽スポーン(発生)させる」というプログラムです。写真9の公式サイトトップ画像にそのプログラムが表示されているので採用しました。他にもいろんな動物がスポーンできるのですが、飛べない動物は落下ダメージで◯んでしまいまうのでニワトリです。
写真20:「ループ」と「生き物」を組み合わせて作る
作ったプログラムを実行すると、しばらくすると空からニワトリが降ってきます。
何とも異様な光景で笑えます。
写真21:「親方!!空からニワトリが!!」
息子から、「1万回繰り返しにしたら、ニワトリは1万羽スポーンするの!?」と注文が入ったので実際に試すことにしました。実行結果は写真23の通り、100羽の時より圧倒的なニワトリが降ってきます。
写真23:一万羽のニワトリ
引きで撮影するとその異様さが更にはっきりわかります。息子は爆笑して腹が捩れそうな勢いでした。
写真24:ニワトリタワー状態
爆笑している息子と同時に、ニワトリ1万羽はMac Mini(Late2012)には負荷が高すぎるらしく、CPUファンが激しい音を立てて回り始めました。コレはあんまりよくない。せめてニワトリの動きを止めないと、と思い写真25のプログラムを作成しました。
写真25:禁断のプログラムを作る
赤いブチの卵はニワトリです。それにしてもなぜこんなプログラムが実装できるように設計されているのでしょうか・・・
なんにせよ実行します。
実行前、辺り一面に広がるニワトリと、さらに降り続けるニワトリでエライコッチャな状態だったのですが、
写真26:うわぁ
プログラムを実行するとあたり一面のニワトリは「コケーッ!」という断末魔と共に皆行動不能になり、大量の生のトリ肉と羽が残されました。まだ地上に降下しきっていないニワトリも生のトリ肉になり、地上に勢い良く落下してきます。
写真27:「私残酷ですわよ」
このまま5分程度待てば生のトリ肉と羽はみんな自然消滅し、バニラ世界に平穏が訪れることでしょう。コンピューターはプログラミングしたとおりに動く、ということを息子に示すことができましたが、果たしてコレでよかったのかは疑問が残ります。
◼︎ちょっと遊んでみた感想
プログラミングの基礎があり、マインクラフトで遊んだことがある方であれば、「簡単で楽しい」と思います。プログラミング学習教材としても、マインクラフトが好きな子供であれば、日本語でプログラミングできることからかなりとっつきやすいのではないでしょうか。また、今回は書きませんでしたが、「MakeCode for Minecraft」で作成したプログラムは、JAVA Scriptに切り替える事ができ、逆にJAVA Scriptで記述すれば「MakeCode for Minecraft」に簡単に切り替えられます。アルゴリズムの基礎がある方であれば、JAVA Scriptがわからなくても簡単にプログラミングできるでしょう。逆にマインクラフト用のメソッドがわからなくても、JAVA Scriptで記述する際にはメソッドのオートコンプリート機能もありますし、学習教材として優れているのではないでしょうか。
マイクロソフトとしては、こういう遊びを提供することで将来のソフトウェアエンジニアを育てたいという狙いがあると思われますが、日本語チュートリアルが簡単に見つけられない現状では、日本ではあまり広がらない気がします。少しもったいないですね。
そして、子供がマインクラフトに熱中している技術職の親であれば、ぜひWindows10版の環境を子供に用意してあげて欲しいと個人的には思っています。息子と一緒に「どんなプログラムを作ろうか?」と考える時間は楽しくて、とても貴重な時間に感じています。
【自転車実験室】Power Tap(多分第1世代)を導入した話
シクロクロスで少しでも強くなろうと通い始めた56cycleのローラー教室。今は週1回のペースで通っています。ローラー教室はパワーメータを使って負荷を管理する方針で、通い続けた結果パワーメータの使い方が私にも理解できるようになってきました。そして、実際にトレーニングの効果を感じています。
使い方が理解できてくると、週末のトレーニングにもパワーメータを使いたくなるのですが、安くなったとは言え私の財布の中身からするとお高いもの。そんな時に勝手にライバル視している江上商店のライダー佐藤くんから格安で「Power Tap」の多分第1世代で組まれたホイールを譲ってもらいました。私のクロスバイクのドライブトレインは10速なので使えます。「お代は使ってみてからでok!」と言われ、「格安」なのですがまだお代を払っていません…
今回のエントリでは、ここ1年くらいで私が理解したパワーメータについてのアレコレと、パワーメータを利用したトレーニングについて論じたいと思います。
◼そもそも「パワー」とは?
日本語に訳すと「仕事率」になり、これは単位時間(秒)あたりにどれだけのエネルギーが使われているかを示すものです。「力」は「フォース」で、これは物などを動かそうとする原因にあたり、「フォース」によって「パワー」が生み出される関係です。自転車に置き換えると「パワー」は「自転車を進めようとするエネルギー」と言えるでしょう。パワーメータは、ライダーがどれだけ自転車を進めようとするエネルギーを出力しているかを図る計測機器です。
注目すべきは「パワー」の重要な変数として「時間」がある事です。巨大な「フォース」もある程度の時間をかけ続けないと有効な「パワー」にならない、という事です。瞬間的にペダルに力を込めても自転車はほとんど進まず、クランクを回し続けないと進まない、というイメージに直結します。
私の理解しているサイクリストに対するパワーと速さの関係をまとめるとこんな感じです。
大雑把過ぎる気がしますがこんなもんではないでしょうか。
レースでは赤枠の状態がベスト、トレーニングではパワーも速さも上がる左上セルがベストでしょうか。
この通りに考えると、最近パワーが上がってきた私も結局体重が落ちないとトータルでは速くならないわけですが、大食漢で小デブの私に取っては体重を落とすのが1番の難題。食べる量を調節できる人は、どうやって猛烈な空腹感に耐えているのでしょうか?
◼どうやってパワーを計っているのか?
「歪みゲージ」と呼ばれるものを使って、「Power Tap」の場合はハブ軸の歪み、パイオニアなどのクランク型はクランクアームの歪みを測定して、そこからクランクの弾性係数と掛け合わせてパワーに換算しています。
「歪みゲージ」は歪みを検出すると極わずかに電気抵抗が変化する「抵抗器」です。この抵抗の変化をブリッジ回路で検出して、それを歪みの値に変換しています。この辺りは計測機器大手のKEYENCEのサイトに詳しいです。
「歪みゲージ」の変形耐久性は、高耐久性の物の仕様書を見ると100万回くらいあります。仮に「Power Tap」に耐久性100万回の「歪みゲージ」採用され、タイヤ1回転毎に「歪みゲージ」が変形したと仮定すると、700×23cのタイヤ(周長2096mm)で、走行可能距離は単純計算で
2096(mm) × 10^6(回転) × 10^-6(km換算)= 2096km
となるはずで、短すぎて使い物にならない計算です。でもこれは想定している最大負荷がかかった時。NAS規格によると「歪みゲージ」の耐久性を定義する時の負荷は±1500με。170mmのクランクアームが0.255mm伸びるか縮むかする負荷です。人力の実用領域ではこんな負荷は起きないと思われるので、実際の走行可能距離はこんなに短くないはず。流石に2万km位は大丈夫やろ。実際はどのくらいの走行距離を想定して設計しているのでしょうか?
佐藤くんは「数100kmしか走ってない」と言っていたので、屋内保管だったようですし、恐らくですがまだ十分使えそうです。
実際には、「歪みゲージ」本体よりも「歪みゲージ」を対象に貼り付けている接着剤の劣化の方が問題です。よく使われているのはシアノアクリレート系接着剤(アロ◯アル◯◯みたいなもの)で、シアノアクリレート系は実は衝撃に意外と弱いのです。そのため耐衝撃性の添加剤を入れた接着剤を使うのですが、限界があります。過大な衝撃を与えすぎると早めに接着剤側が壊れてしまう可能性があります。早めに壊れたらペダリングがガチャ踏みの可能性があるという事ですかね…
歪みゲージの貼り付けはメチャ気を使うので、パイオニアにクランクを預ける場合1〜2週間の納期は納得です。
◼パワーメータはハブ型とクランク型のどちらがいいのか
今主流のパワーメータはパイオニア製に代表(本来ならばSRMか)される「クランク型」でしょう。自分なりに特徴をまとめると、
という感じです。
自転車が複数台ある場合は、いいリムでホイールを「Power Tap」で組んだら、1番費用対効果が高いと思います。ただ、ロードとシクロクロスのように競技をまたぐ場合はタイヤ交換が面倒になります。逆に自転車が1台で、ホイールの効果を評価したいなら迷わずクランク型でしょう。私としては憧れの「ChrisKing」のハブでホイールを組みたいので、将来的にはクランク型が欲しいです。
クランク型には両足タイプと片足タイプがありますが、パワーを計るだけなら片足タイプで良いと考えています。目的は「前より強くなったか?」を計るためなので。その点ではハブでパワーを測定する「Power Tap」も目的に合致しています。他の人とパワーの絶対値を比較しても、人によって体型や体重が違うので意味がありません。プロ等限界走行中のさらなる効率を追求しないといけないレベルの人なら、迷わずクランク型両足タイプを選ぶでしょう。
個人的に注目しているのはStages PowerのFC-5800(105)の左側タイプ第3世代。
第2世代はパワーの取りこぼしなどで評判が悪かったようなのですが、次の世代での改善を期待したいことと、1番大事なのは「色」が選べることです。私は今の自転車には黒ではなくシルバー系のクランクを使いたくて、リーズナブルな値段でそれを満足できるのは現状「Stages Power」しかないのです。パイオニア等、生産数の問題とか色々あるのはわかっているのですが、黒っぽいクランクしか選べないのはちょっとツラい。パーツを黒系でまとめてあるならいいのですが、今の自転車はそうではないので。
私の理想は「White Industries」のクランク(シルバー)に目立たないパワーメータが付いたら完璧です。流石に需要がなさ過ぎて出ないと思いますが。
◼「Power Tap(多分第1世代)」の現物を確認
持っていなかった計測機器を触れるのは大変気分がいいものです。汚れを落として点検です。
リムはDT SWISSのR450の32h、ドライブ側、反ドライブ側共に4本組で組まれていました。ニップル穴は「Veloplugs」で塞いであります。「Veloplugs」は使ったことがないのですが、これを見て使ってみたくなりました。
気持ちリムがドライブ側に寄っていたので修正しましたが、振れは私の感覚ではほぼ無しでした。お見事。同好の志の技は刺激になります。私も修行を積まないと。
反ドライブ側のキャップを回し外すと、電池ホルダがあります。
つまんで取り出します。はんだ付けが少し下手なのが気になります。使用されている電池はSR44が2個。SR44はコンビニとかで売っているLR44と外形が同じですが、中身が違います。
ざっくり言うとSR44の方がLR44より長い時間安定した電力を供給できます。練習中に電池が切れたら気分がさがるので、少しお高いですがSR44を選ぶべきだと思います。個人的にはとある理由で、ボタン電池はPanasonicや三菱よりもmaxellを信頼しています。
電池ホルダの反対側には、ANT+のロゴが入った透明の樹脂ケースが見えます。
中身をよく見ると、どうやらANT規格の2.4GHz帯でよく使われている「板状逆F型アンテナ」のようです。重たそうな金属性のハブシェル、アンテナは反ドライブ側の樹脂ケースに出していることから、「歪みゲージ」に対するEMI対策(機器が妨害電波を受けた時の誤動作対策の事)とアンテナの送受信を両立させたかった設計思想のように感じます。「歪みゲージ」は微弱な抵抗値の変化を検出するので、電磁波によるノイズの影響を受けやすく、無線通信で使う場合は金属でシールドする等の対策が必要です。
シクロクロスアイドルのコッシーのブログでも「Stages Power」にアルミテープを貼ると感度が改善した、というエントリがありますが、恐らく歪みゲージ側へのEMI対策になったのだと思います。
◼Garminと接続、校正
電池を収めてOリングに防水のおまじないとして薄くグリスを塗りキャップを閉めました。私が持っているサイクルコンピュータは少し時代遅れのGarmin Edge510J。電池の持ちが良く、買ってから4年以上経ちましたがまだ現役です。メニューからパワーメータを検索するとあっさりつながりました。
接続できたら校正です。
画面の「校正」を押すと、以下のようなメッセージがでます。
振れ取り台に乗せているので無負荷状態です。このまま「校正」を押すと、
校正完了です。トルクが「0.00」を表示して変動しません。問題なさそうです。
「校正」は、いわば「ゼロリセット」です。経年劣化でセンサの値がゼロからズレてくる(オフセット)することはよくある話で、定期的な校正が必要です。ですが、校正したからといって測定値が「真の値」を出しているかは実際不明です。でも私としては致し方なし、と考えています。
「Power Tap」に掛かる負荷と、その結果を検出するには校正専用の試験装置を用意する必要があるので、メーカくらいでしか対応できません。でも、「真の値」とのオフセットを飲み込んでも、測定した結果を基準にしてそこから自分のパワーがどのように変化していったかの絶対評価は可能だと考えています。「歪みゲージ」の値はフックの法則が適用できる弾性域で使用するもので、その歪と応力の関係は比例関係にあります。
多少値がオフセットしても、その値の伸び率については比例関係と見てよいのでは無いでしょうか。
◼実走行してみた
翌日の日曜日に、久しぶりに瀬戸の難所「三国山表側」に挑みました。
走行中にトレーニングの指標となるのが「ラップパワー」です。これはラップを切った期間のパワーの平均値を表示し続けてくれる機能です。自分で「ラップパワー」の目標値を決め、それを下回らないようにペダリングします。足を止めると「ラップパワー」は下がっていき、下げないように頑張ろうとすると全く気が抜けません。1人で走るときは苦しさに負けてペースが落ちやすいものですが、数字で「頑張れてない」事を示されるので気が抜けないのです。ラップパワーの詳しい利用方法は、関連書籍を買うか56Cycleに行って下さい。
果たして結果はタイムが31:21の自己ベスト更新。この間の「ラップパワー」は286Wでした。31:21の間、平均して286Wのパワーが出せた、ということになります。昨年末に20分間の「ラップパワー」で284Wを記録しているのですが、それより向上しています。タイムについては2分以上の更新で、確実に自分が強くなったことがわかり気分が上がりました。ただ、全開走行で太ももの筋肉がズタズタになった感はハンパなかったです。
「ラップパワー」と合わせて、「パワー」も表示させておきましたが、確認している範囲では表示が「0W」になることはなく、問題なく使えているようでした。早く佐藤くんにお代を払わないと・・・
◼ローラー教室で使ってみた
自分のパワーの変化を確かめるためには、同じ測定機器を使うべきなので、56cycleにも持ち込みました。ミノウラの固定ローラーで使うためクイックレバーはミノウラのトレーナー用にしてあります。Amazonで¥500しませんでした。
結果、2セット目までは問題なくパワーを測定できたのですが、3セット目の20分間の間で10秒近くパワーが測定できない事が3回発生しました。パワーの表示が「0W」ではなく、全く表示されなくなったので、Garminとの接続が切れたと思われます。帰宅時も問題なく測定できたので、3セット目だけ電波状況が悪くなったのでしょうか?今後も使ってみて再現性を確認してみます。
サイクルコンピュータ周辺機器の接続でメジャーなANT規格は2.4GHz帯の電波を利用していますが、現代では2.4GHz帯を利用している無線局がメチャ増えていて、TDD(時分割複信)方式を採用しているANT規格にとっては、混信しやすいという点で屋内使用は不利です。今や懐かしのPHSでは、事業者を超えて時間の同期をするなど工夫していたそうですが、サイクルコンピュータ界隈では無理でしょう。私の考えでは、サイクルコンピュータのような2.4GHz帯を使う微弱無線局は、利用者が増えまくった今、FDD(周波数分割複信)方式のBluetoothに切り替わっていくのが理想と思われます。私が気になっている「Stages Power」はBluetooth対応なのでますます気になります。このあたりの通信方式について興味の有る方は、私に直接聞いていただけたらと思います。延々話し続けて鬱陶しくなることをお約束します。
◼まとめ
・パワーメータの目的は「前より強くなったか?」を計ること。
・理想はクランク型だが、「Power Tap」も十分役に立つ。
・理想の通信規格はBluetooth。
今回はパワーメータのお話でしたが、パワーが高いだけではシクロクロスでは勝てません。今の自分のカテゴリC3の自分の立ち位置を図示すると、
という領域でしょうか。パワーは付いてきましたが、それを活かすテクニックが無いと宝の持ち腐れになります。テクニックについては課題をもらっているので、テクニックも合わせて練習していきたいです。ただ、テクニックを活かすために必要なパワーもあるはずで、どちらも練習が必要だと思います。
パワーメータという計測機器が増えて、ますます環境が整ってきた私。これから2018-2019シーズンの開幕まで約半年。できる範囲で強くなりたいと思います。
長期的な目線を持てばマスターズ65+の全日本選手権まで20年以上時間がありますから。できる範囲でたっぷり楽しみたいと思います。