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技術系サラリーマンの生活実験

【レースレポート】東海シクロクロス2019-2020 第1戦 平田リバーサイドプラザ

わかってはいたが結果からすると惨敗。今までで最低の結果を叩き出しましたが、今、充足感を得ています。やっぱりシクロクロスが好きだ、そう思える一日でした。

 

'19/8/31のTXWC2019から、ダートを走るという行為が一切できていなかったワタクシ。それどころかいろんなことが重なって、ロクなトレーニングができていませんでした。レース前日まで自分の出走時間を勘違いしているというザマで、完全に過去最低のコンディションです。正直出走したくないくらいだった。ですが、とにかく走ってみれば何か変わるかもしれないと参加してみたら、やっぱり「シクロクロスはイイ!」となるのでした。私にとってやっとシーズン開幕です。過去二回大雪と大雨で開催されなかった平田ステージはすごい快晴で淀んだ私を迎えてくれました。

 

 

■事前の準備~トレーニン

何もしていない!

色んな事情があり、最近56Cycleでのトレーニングも1回/2週間行ければいいほう、という状態になってきました。かつ暴食してしまったりとか、かなりたるんだ事態に。トレーニングの時間を見つけることも考えられず、日々生きるのに精一杯だった気がします。日々のトレーニングに勤しんでいる人を指を加えて眺め、自分は何もしていないあまりよくない時期が続きました。まぁ、こういう時期もありますよね。昨シーズンの悔しい思いはどこへやら。喉元過ぎれば・・・というやつでした。

 

■事前の準備~メンテナンス

チューブレスタイヤを交換した

今シーズンは本当は昨シーズンの終わりに購入したチューブラータイヤを使うつもりだったのですが、これも準備が間に合いませんでした。ホイールを組むところまでは行けたが、タイヤの貼り付けまでたどり着けず。もともと昨シーズンまでチューブレスで使っていたホイールを組みなおしたため、今更チューブレスには戻せない。仕方なしに'19年7月に組んだR45ハブのホイールに、昨シーズン使ったIRC SERAC CX MADとSERAC CXを組みつけました。次のレースまでにチューブラータイヤを何とか貼り付けたい。

機材はそれ以外にも少しアップデートしたのですが、それはまた後程。

 

■レース当日

 試走しなかった

何かが折れていた私は、朝早く起きて試走に間に合うように出発する気力がわかず、最初から「レース時間に間に合えばいいや」という気持ちだったため、ゆっくり出発することにしていました。今回はたまたま都合があった友人に便乗してもらうことにしたので、7:00に自宅出発。いつもより1.5時間もゆっくり。

 

道中車の流れはスムーズでしたが、到着したのは8:30。朝の試走がまさに終わろうとしているところでした。会場中心部の駐車場には止めれないので、北側の指定されたスペースに停めました。

 

ジタバタしても仕方がないので、受付してのんびり準備、アップものんびり、何もかもスローテンポで進めました。エア圧は1.8barにセットしたのですが、妙にタイヤが硬い。多分エアゲージが狂ってきている気がするのですが、もはやそれを確かめるすべもなく、そのまま行くことにしました。

 

■実際のレース

昨シーズンはマメに出場していたのでゼッケンNo.8。ぎりぎりセカンドローです。招集エリアで待機していると、見知った面々が集まってきました。番号を呼ばれて順にスターティンググリッドに入っていきます。ここでNo.7がDNSということがわかり、私もフロントローに入れてしまいました。フロントロー右端。悪くない位置です。

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Photo by Kikuzo 緊張してヘルメットを直す

 

スタート3分前から、猛烈に緊張してきました。なんだろうこの緊張感。何もしてきていないのだからどうにかなるわけでもないのに、緊張するんです。ギアを確認して、スタート30秒前にガーミンの計測をスタート。20秒前にサドルに尻をかけ、ペダルの位置を確認。10秒前で前を向き、頭の中でカウントダウン。 心の中で10秒カウントダウンしてから1秒後くらいに、ホイッスルが鳴りました。

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Photo by kikuzo 意外と悪くないスタート

 

皆さん様子を見ながらだったのか、以外に静かなスタートでした。3番手くらいで第1コーナー手前からブレーキング、ブレーキ中に3人に抜かれて5番手くらいで第1コーナーに入りました。激しい振動。一気に速度が落ちてしまいました。過去2回季節外れの台風と、寒波による大雪で開催されなかった平田ステージの名物は、芝に隠れた微妙な凸凹で、これが自転車に激しい振動を与えるのです。ここで更に抜かれて8番手くらい。「まだ何とかついていけるかも」甘い考えを抱きます。

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Photo by kikuzo 甘い考えのあの頃。

 

第2コーナーを曲がったあとの木の根っこを無理に避けようとして、コーステープの杭に当たりそうになりました。急ブレーキです。

「ぜんぜんコースがわからない!」

試走していない影響がここから出てきました。第1コーナーから第2コーナーまでは例年の通りだし大きなコーナーなので問題ありませんでしたが、それ以降から急速に意味がわからなくなってきました。

コーナーのたびにビックリしてガツンと急ブレーキ、モタモタしながらシフトダウンしてペダルを踏み直す、という一番消耗するパターンに入ってしまいました。急速に心拍が上がります。コース半分くらい進んだところで「今10位!」の声を頂戴しました。「まだ何とかなるかも」更に甘い考えを抱きます。

シケイン越えは久々の割には何も悩まずできました。シケイン後の助走が長いのが難点ですが、飛び乗りは「ドシン!」という感じはなく、ペダルキャッチもうまく行きました。良かったのはここくらい。

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Photo by Kikuzo 自転車持ち上げすぎですが、動作自体はスムーズにできました。一人のシケインは寂しい。

 

1周回目が終わったあたりから、腰が猛烈に痛くなってきました。急ブレーキの繰り返しで全然スムーズに走れていないため、どんどん腰にダメージが蓄積され、足が生きているのに前に進めなくなってきました。このあたりからどんどん抜かれるようになっていきます。勝手にライバル認定している人たちがどんどん私の前へ。最終コーナーで手前くらいから声援がたくさん飛んできます。ありがたいことです。しかしヘバる。

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Photo by Masatsugu Kaneko へばっている。よく見るとタイヤがあまり潰れていません。やはりエア圧高すぎたか・・・

 

3周回目でやっとコースが頭に入ってきましたが、もはやまともに走る体力が残っていませんでした。そこからペースダウン。更にズルズル後退して、マスターズの先頭パックに追い抜かされ、その後も何名かのマスターズの方々に抜かれて後退。もはや完走することしか頭にありませんでした。

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Photo by Masatsugu Kaneko これは曲がれんやろなぁ、という写真。

 

各所で聞こえる声援は本当にありがたいです。それに答えて少しくらい見せ場を持ちたかったけど叶わず。いやーツラい。

 

■リザルト

カテゴリ:C3

順位:35/38位(92%)

タイム:33:44.5(+3:16)

Lap1:6:50.9

Lap2:6:42.0 

Lap3:6:36.0

Lap4:6:45.8

Lap5:6:49.8

 

見事に過去最低の順位でした。ラップタイムを確認すると、2周回目、3周回目とタイムが上がっていっています。前述した「3周回目くらいでコースを覚えてきた」という感覚は間違いなかったようです。しかしここで売り切れ、一気にタイムを落としています。そして単純にアベレージスピードが遅い。課題山積みです。どこから対策していったものか・・・対策と言う前に単純にもっと走れよ、という感じです。

 

■今シーズンのパーツ変更点

本当は冒頭に書こうと思っていた今シーズンのパーツ変更点です。

まずは自転車の写真をご覧下さい。

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ホイールは’19年に新しく組んだチューブレスレディホイール。タイヤは昨シーズンも使っていた「IRC SERAC CX MAD」と「IRC SERAC CX」。

そして今シーズンから東海シクロクロスシケインスポンサーである、Wolftoothのフロントシングル用チェーンリングです。少しお高いのですが、Tanpan実装時の対応がとても良かったので、いつかは使おうと思っていました。丁数は昨シーズンの38tから40tへアップ。クランクは105のシルバー、というのは変わっていないのですが、訳あって5アームのFC-5700から4アームのFC-5800に時代を進めました。更にBB、ヘッド、ハブの色に合わせてこれまたWolftoothのオレンジアルマイトのチェーンリングボルトにしたのですが・・・

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チェーンリングボルトがない!

レース中にボルトを一個無くしていました・・・

締め方が悪かったようです。整備不良がもろに出ていて、大変ショッキングな結果に。泣く泣くその場でCirclesに注文のメッセージを送付しました。

さて、わざわざFC-5800にクランクを変えた理由が以下の写真です。

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今シーズンから、左クランクタイプのパワーメータ、「STAGESPOWER G3」を実装しました。これでホイールを選ばずパワーの計測が可能になりました。

ホイール組みを趣味にしている者としては、好きなホイールを選んで走りたい。けれどもパワートレーニングを知ったからにはパワーメータも導入したい。できれば安価に。ということで左クランク型の「STAGESPOWER G3」にしました。左クランク型、かつ105グレードが欲しいのであればパイオニアからもっと安価に出ているのですが、私はどうしてもこの自転車にはシルバーのクランクを使いたかったのです。ハンドルバーとシートポストがシルバーのこの自転車には、どうしてもシルバーのクランクが欲しい。チェーンリングは黒でもいいけどクランクはシルバーがいい。なのでパイオニアは無し。

しかしSTAGESPOWERの本国サイトには、FC-5800のシルバーもラインナップにありました。だが日本の代理店にはラインナップにない。海外から直販すると、日本の無線機規格の「技適マーク」が無いはずなのでNG。しかしどうしてもシルバーのクランクにしたい。そこで直販もしている正規代理店であるインターテックに「どうしてもシルバーが欲しい」と問い合わせをしました。結果、

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インターテックは神。

私が購入した後に直販サイトから105シルバーが消えたので、一人のユーザのために準備をしてくれたようです。ちゃんとシールに技適マークの印字もありました。(写真の本体左側のシールです)パワーの受信感度も、Garmin Edge520Jで今の所途切れまくることはなく、問題なく受信できています。不満なし。今後はレースでしっかり踏めていたかが明らかになるので、効果測定がしやすくなりました。

次もクランク型を買うときはSTAGESPOWERを買います。

 

■まとめ

・やはりシクロクロスはイイ。頭に火が入る感じがする。

・トレーニングしていないのだから結果が悪いのは当然。何とか時間を確保するしかない。 

・試走は大事。次からはちゃんと朝の試走に間に合うように出発する段取りを取る。

 

久々のシクロクロスでは、昨シーズン知り合った方々との再開もあり、また久し振りの友人との再開もあり、素晴らしい時間が過ごせました。BUCYO COFFEEのサービスはますます磨きがかかり、家族で楽しく過ごせる素敵な環境です。改めて運営の皆様に感謝したいです。

帰り際、56さんに声をかけると、「もっとモガきゃあよ!!」とお言葉を頂戴しました。全くそのとおり。何とかモガく時間を作ります。

 

'19/12/1、東海シクロクロス第2戦のIRCカップ「ふれあいぱーくほうらい」は所々の都合により参戦できないため、次回は'19/12/15の「ワイルドネイチャープラザ」です。最も楽しみにしている砂のステージ、寝かせてあったチューブラータイヤを貼り付け、今できる万全の体制で挑みたいと思います。

 

 

【レースレポート】TXWC2019に参戦しました。~本番編

TXWC2019の開催地は山梨県のキャンプ場「PICA富士西湖」。

www.pica-resort.jp

どうやらもともとMTBコースのあるキャンプ場のようです。

本番は2019/8/31(土)。開始時間はAM10:00~なので比較的のんびりスタートなのですが、名古屋からは高速道路経由で3時間以上かかります。最近仕事が立て込んでいて金曜日までに体力を使い果たし、土曜日の朝起きれない中年のワタクシ。金曜日の夜から仮眠をとりつつ夜間移動することにしました。

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仕事の名目上は「みんな定時で帰宅しなさい」という日である8/29(金)にガッツリ残業でフラフラ帰宅。ここで布団に入ってしまったら間違いなく起きれない。風呂に入ってから勢いで準備して23:00過ぎに自宅を出発。結局前の週に自転車を準備してから一度も練習できないまま出発となりました。

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いきなり寝落ちは嫌なので、水なしで飲めるカフェイン錠剤「トメルミン」をキメて出発です。途中SAで何回か仮眠&軽食しながら超のんびり移動。結局AM7:00まで時間をかけて移動しました。

 

■会場到着から試走まで

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看板。

 

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会場に無事到着。すでにChromeIRCのテントは張ってありました。

写真右の女性は段ボールに駄菓子をいっぱい詰めて配っていました。チーズあられをもらう。

 

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当日は楽しすぎて写真を撮り忘れたゼッケン

ゼッケン番号は「自分で決めて」というもの。年齢と同じにしました。

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ゼッケン番号から抽選でレースを振り分けたようです。私は予選最終レースで12:00から。のんびり待つことになります。

時間があるので会場を回ってみると普段のシクロクロスとは空気が違います。

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サインにこたえるMASHのチェズ。

 

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Chromeのブースには当日配るクージー用のシルクスクリーンが。
 

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ヘッドマウントディスプレイをしたドローンパイロット。

 

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メンテ中のSquid Bikesのクルー。

 

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一番びっくりしたFIXED。6ボルトのディスクハブのディスクマウントに固定されたコグ。チェーン引きがないので「チェーンはピッタリで切る」とのこと。こんなん見たことない。

 

時間が来たので試走してみると、コースは結構ゴツゴツした岩と木の根で、パンクの恐れがだいぶありました。前後クリンチャーで来ている私としてはパンクは避けたいので、グリップを捨ててタイヤのエア圧は2.0barにセット。心配していた雨は全然降らず、路面は締まっていたので何とかなるやろという判断です。しかしコースは難しい。しばらく自転車に乗っていなくて走行感覚がわからないし、固定ギアだからペダルの位置が決められず、何度も地面にペダルがヒットします。試走してみて「サドルが高いな・・・」と感じたのでシートポストクランプのボルトを締めなおすと「パキ」と嫌な音が・・・・

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ネジをなめました・・・ 5年くらい交換してなかったけどこのタイミングでなめるとは・・・ さすがに予備のシートポストクランプボルトなんか持ってきていません。途方に暮れているとSOMAのRUSHを予備でもってきていた方がボルトを貸してくれました。まさかの天の助け!こんな幸運なかなか無いはず。ツイてる!

 

■レース予選

レース予選はル・マン式でスタート。

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全部個性的なバイクばっかり。

 

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森の中は結構タイト。

 

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倒木のシケイン

 

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 Photo by Kossy Tシャツに短パンで走りました。ジャージのライダーのほうが少ない。

かろうじて私が写っている写真は上の1枚だけですが、とにかくコースはテクニカルで難しかったです。2周目の下りで自転車が跳ねたときにチェーンが外れた時は死ぬかと思いました。ブレーキが無いからチェーンが外れたら止める手段がなくなります。うまい具合に茂みに突っ込んで助かりました。チェーンを戻している間にズバズバ抜かれます。どのみち勝ちには絡めないので楽しんで走るだけでした。

気温はぐんぐん上がり猛烈な暑さの中、何とか完走。出し切りました。

 

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出し切ってフラフラのまま休憩しているとリザルトが発表。予選10位までが決勝進出なのですが、4レース目9位で通過しています!まさかの決勝進出。走りは別にして「ワールドカップ決勝進出」の実績ができました。

 

■レース決勝

まずはWomen'sのレース。

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タンクトップ率が高い。みんなめっちゃ速くて、「勝てない・・」と思いました。

さすがのワールドクラスで、唸る走りでした。無茶苦茶盛り上がる。

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優勝したMeesh。どう見ても私よりビッグギアです。乗車率も超高い。憧れるぜ・・・

Women'sのレースは結構接戦で、めちゃ見応えがありました。しかし終始力強く安定な走りをしていたMeeshが優勝。

 

日が落ち始めてから男子決勝です。

写真には残っていないので完全に思い出の中ですが、まさかの決勝進出でスタートに並んだ気持ちは忘れられないものです。全然緊張感もなく、和やかなで賑やかなスタートでした。

結局2周でラップアウト。世界の異次元の速さを知りました。ラップアウトした後の観戦は無茶苦茶面白くて、写真を撮るどころではありませんでした。夢のような時間とはまさにこのこと。たまたまキャンプに来ていたトラッククロスを知らない家族が観戦で盛り上がっていたのが印象的でした。

レースの詳細はKossyが書いた以下の記事を参照されたい。文書うまいなぁ。

cyclist.sanspo.com

 

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2019年ワールドチャンピオンのKAZZ。マジで熱い走りでした。

 この体験は、私の表現力では伝えきれないのが悔しいです。

 

■レース以外

トラッククロスは、レース以外でも結構イベントがあって、本当にいろいろ楽しめました。

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これはロングスキッド大会。BlackSoxBicycleClubのチャンサダが圧倒的な長さで優勝。

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脚をつかないようにする競技ダービー。

こんな感じでとりあえず自転車があれば楽しめちゃう感じが最高。

 

表彰式までずっとパーティ感が続きました。キャンプインできるならビールが飲みたかった。

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表彰式前はパーティの気配。

 

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Women's表彰。

 

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オープンクラス表彰。

 

表彰式が終わってから、ゆっくり帰宅しました。

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 会場で貰ったクージー。「悪路固定」、深いわ。左は表彰式で「手裏剣」されてもらったもの、右は大会オリジナル。

帰宅したのはAM1:00頃。会場で貰ったクージー発泡酒を入れて思い出に浸りました。今回山梨で開催されたTXWC2019、来年2020年はカリフォルニア、再来年の2021年はバルセロナ開催ということを考えると、勢いでエントリした時はどうなるかと思いましたが、今年参加しておいて本当に良かった。

つくづく、大会を運営してくれた皆さんと、海外からやってきたライダー皆さんに最大限の感謝を評したいです。

 

シクロクロスを固定ギアで走るという無茶ぶりがトラッククロスなのですが、会場でSimworksのもんじゃさんと話していて思ったのが「トラッククロスは"上がり"の自転車かも」ということ。太いタイヤが入るからどこでも走れて、フリーコグでも走れるし、トラッククロスみたいな無茶な遊びもできるし、内装ギアのハブで多段化もできる。ディスクブレーキ対応ならリムも選ばずにホイールが組める。何でもできるくせして尖がっている、それがトラッククロス、そんな印象です。

 

今は自転車を増やせないですが、正直トラッククロス専用車両が欲しくなってきました。会場で来月発売と聞いた、SquidBikesのトラッククロス専用車両「So-Ez(ソーイージー)」がめっちゃ気になります。私、実は寿司ネタではSquid(イカ)が一番好きなんです・・・

【レースレポート】TXWC2019に参戦しました。~準備編

去る2019年8月5日(月)の夜、私は仕事の疲れで朦朧としたままリビングのソファに座り込み、Facebookのタイムラインを眺めていました。馴染みの自転車店Circlesがシェアしていた「TXWC2019」の情報に目が行くと、反射的にエントリしてしまいました。

「トラッククロスワールドチャンピオンシップ2019」。固定ギアの自転車でシクロクロスを走る「ちょっとおかしいんじゃないですか?」というレース、そのワールドチャンピオンシップが日本で開催されるとは。

参加資格はブレーキ無し固定ギアの悪路走行用自転車を用意すること。私は固定ギアの悪路走行用自転車を持っていません。しかし、自転車の事は後から考えるとしてコレは参加する意義があります。だって「ワールドチャンピオンシップ」やぞ。

乗るしかない、このビッグウェーブに。

 

■トラッククロス用自転車の選定

勢いでエントリしたものの、肝心の自転車がありません。手持ちの自転車を改造して何とかしたいところ。手持ちから考えられる手は

シクロクロスバイクを固定ギア化する

・通勤用のピストにシクロクロス用タイヤを履かせる

の2択でした。流石に新たに自転車を買うのは収納場所も資金も余裕なしです。前者は最近オーバーホールが完了したばかりで、ディレイラーを外すのが面倒だし、エンド幅130mmの固定ギアの後輪が必要です。

後者である私のピスト、SOMA FABRICATIONSのDELANCEY(廃版)は、写真の通りフロントホークのタイヤクリアランスが25cでこの隙間なので、33cくらいのタイヤが履けません。

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しかし後輪のクリアランスを確認すると、意外とあります。

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これは・・・いけるんちゃうか、ということで昨年のシクロクロスで使った「IRC SERAC CX」 を履かせてみると、 

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このクリアランス。で、

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エンドに対してアクスルの位置が真ん中くらい。

「イケる・・・」

後輪が入るとなったら、前輪はホークをシクロクロス用に差し替えればよいことになります。これで方針は

「通勤用のピストのホークをシクロクロス用に差し替えて対応」

に決定しました。

そうと決まればさっそく確認です。昨シーズンのシクロクロスで使ったENVEのカーボンホークはCHRISKINGのヘッド用下玉押しを付けたまま眠らせてあるので、それに差し替えることにしました。

しかしホークの差し替えには1つ懸念がありました。私のホークは、コラムスペーサなしのツライチでカットしてあるので、私のピストのにはコラム長が足りない可能性があります。測ってみると、

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ヘッドチューブ長が100mm、

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ステムのコラムクランプ長が45mmです。

対してピストのヘッドチューブ長は

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110mmでした。10mm足りません。

しかしシクロクロスもピストもCHRISKINGのヘッドパーツを使っているので、今より10mmコラムクランプ長が短いステムを使えば行けることになります。一般的なステムだとコラムクランプ長は40mm程度なので、それよりも可能な限り短いステムを使えば、今回のTXWC2019はしのげそうな気がしてきました。これはステムが重要パーツです。

 

■部品の準備

部品代にあまりお金を掛けられないので、中古部品を扱うCultureClubで部品を調達です。主な調達部品は

・コラムクランプ長40mm以下のステム

・小さいチェーンリング

です。どちらもハードル高め。

ギア比については、通勤用のピストに用意してあるギア比は最小で46t/16tの2.875。過去にギア比2.2のシグルスピードで腰が崩壊したことがある私としてはもっとギア比を下げたい。しかしピストのクランクはPCDが130mmなのでそんなに小さいチェーンリングは付けられません。ドキドキしながらCultureClubに向かうと、薄歯用だが39tのチェーンリングと、コラムクランプ長38mmでステム長80mmのステムが見つかりました。チェーンリングが39tなら、コグを20tにすればギア比1.95で良さげな気配。買いました。ステム、チェーンリング共に¥800で、合計¥1,600。これにアマゾンで¥1,500でグランジの20tのコグを買って合計¥3,100。

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妻のMTBから外されて眠っていたanswerのハンドルと、数年前にTKC productionsのテイスケさんからおまけで貰ったまま眠らせていたグリップも追加して部材がそろいました。こんな値段でワールドチャンピオンシップと呼ばれるレースに出ようとは・・・

 

■自転車の改造

部材が揃ったらさっそく工事の開始です。

もともとピストについていたスチールのホークを抜き、手持ちのENVEのカーボンホークに上玉押しを押しこもうとしました。

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・・・入らない。

どれだけ頑張っても入りません。ハンマで打ち込むのはやめました。

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私のピストに付いているCHRISKINGのヘッドは2005年製。現行のヘッドと違って、上玉押しが一体型です。現行品はある程度コラムの太さを許容できる作りになっているのですが、この時期のものはシビアでした。ENVEのホークのコラムはもともとの鉄ホークのコラムより若干太いようで、2005年製CHRISKINGのヘッドの上玉押しは入りませんでした。途方に暮れていましたが、もともと鉄コラムのホークが刺さっていた訳で、「鉄のコラムなら入るかもしれない」と思い至り、シクロクロスの鉄ホークを試してみると上玉押しが入りました。

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「イケる・・・」

こうなればカーボンホークはあきらめ、鉄ホーク対応で決定です。

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心配していたコラムクランプ長もこの通り何とかなりそうです。

結果、こうなりました。

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前輪には昨シーズン使っていたシクロクロス用のホイールに、江上商店の江上代表から譲ってもらった「WTB NANO 40c」で対応。後輪のホイールは通勤号そのままにタイヤだけ「IRC SERAC CX」に。

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ハンドル周り。

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チェーンリングは39tです。

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コグはグランジの20t。チェーンはもともと使っていたものを2コマ詰めるだけで対応できました。何とかなっちゃいました。

 

・・・何とかなっちゃってるかどうかは実際不安ですが、これで行くしかありません。

不安を抱えつつも、レース当日を待つしかありませんでした。

 

~つづく~ 

 

 

【自転車実験室】ChrisKingのR45ハブでホイールを組んだ話

ついに、このハブでホイールを組む時がきました。

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ChrisKingのR45ハブです。

 

私のシクロクロスバイクには、ChrisKingのヘッドとBBが組まれています。組んだ当初はそこが予算の限界で、ホイールは105ハブで値段を抑えて組んでもらいました。当時はまだ自分でホイールは組んでいませんでした。

「いつかはR45ハブで…」と思ったまま時は過ぎ、2018年の冬、ずっと欲しかったマンゴーカラーの生産中止を聞き思わず注文。そこから半年、その他部材の資金がやっと準備出来ました。自転車趣味で最も気合を入れたホイール組みが始まります。

 

■リムの選定

ハブはChrisKingのR45ハブ(前後28h)で決まっています。それに対するリムが悩みました。

条件は

・アルミリム

・チューブレスレディ

・タイヤの外れ止めがあること

の3点がMUST。カーボンリムは私にはまだ早いです。

 

候補に上がったのは、

Belgium Rim Brake Clincher

引用:Hedcycling.com

HED Belgium+ C2

 

頑丈でチューブレスレディ。しかし日本で調達するにはアルミリムとしては¥20,000を軽く超えてしまい、値段が高過ぎる印象。アメリカでの売価は$165です。

 

Image of R90 Rims

引用:

EASTON R90SL

 好みだが、こちらも日本での定価は税別¥20,000で値段がアルミリムとしては高く感じる。

 

引用:dtswiss.com

DT SWISS RR411

 

日本では¥10,000程度で比較的手頃で品質に定評あり。専用ニップルも付属しています。しかし、タイヤの外れ止めがないので低圧で走るシクロクロスバイクでチューブレスレディは個人的にはNG。高圧で走るロードやピストはコレで組んでみたいです。

 

悩みに悩んで結論、

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コレになりました。極端にスポーク本数が少ない見た目が特徴的なホイールブランド「Rolf Prima」の手組みリム部門「Astral Cycling」のアルミリム、「RADIANT」です。

リム高32mm、リム幅23mm、重量公称495g。

先程までのリムと比較すると以下の通りです。

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選定したAstral CyclingのRADIANTは一番重たいのですが、私が重要視しているチューブレスタイヤの外れ止めがあること、頑丈さで定評のあるHEDのBELGIUM+ C2より安く、かつ私の周辺で誰も使っていない、という理由が有りました。EASTONのR90SLよりも安い。使用目的としてはレースではなく、日常やアドベンチャーライドで使用するのが主たる目的なので、レア度と価格、重たいから多分頑丈ということも大きかったです。後輪を組む時のオチョコ率低減に効果のあるオフセットリムの設定があるのはDT SWISSだけでした。用途が限られるので、普通は採用しにくいように感じます。致し方無し。

 

今回採用を決めたRADIANTの購入情報は日本国内のWebでは探しきれませんでした。アメリカ本国のAstral Cyclingに問い合わせると、「日本のRolf Prima特約商社であるJSK Cycling Forceに問い合わせて欲しい」との回答。JSK Cycling Forceに問い合わせると、「取り寄せ可能。Rolf Prima取扱店に問い合わせて欲しい」とのこと。どちらも即日回答をくれて、大変親切な印象を受けました。

私が在住している名古屋近郊にもRolf Prima取扱店は何件かありますが、どこも馴染みがありません。そこで、シクロクロス会場で知り合った大阪の名店、「BICYCLE STUDIO MOVEMENT」に取り寄せをお願いすることにしました。

www.movement-cycle.com

タイミングが良かったのか、注文して2週間で届きました。

 

 さて、届いたリムの重量測定です。

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496gと499gでした。公称495gに対して最大+0.8%のズレ。大変優秀な作りと感じました。

 

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チューブレスタイヤビードが乗る部分に外れ止めの突起が有り、希望通りです。

穴のある「谷」の部分の突起は謎です。

 

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ロゴステッカーをよく見ると気泡があります。気泡を押し出そうと思ってもできませんでした。このあたりの作りは雑に感じます。

 

■スポーク長計算

これまで私は自分のホイールのスポークは#14(φ2.0mm)のスポークしか使ってきませんでした。新たな挑戦として「バテッドスポーク」を使ってみることにしました。

バテッドスポークは、スポークの首折れ部とねじ切り部の間が少し細くなっているスポークで、太さの変わらないスポークよりも高級品です。エアロスポークもバテッドスポークに分類されます。今回はバテッドスポークで定番のDT SWISSのCompetitionを選定。スポーク太さを#15(φ1.8mm)の前提で計算してみました。後輪の組み方はドライブ側4本組み、反ドライブ側6本組みの「ヨンロク組み」計算結果は以下の通りです。

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今回は実測ERDと公称ERDをが一致しました。リムのメーカによってERDの考え方が違うようです。今後は自分で実測したERDを基準にスポーク長を決めていきたいです。

前回の反省から、後輪のドライブ側を-2mmした補正値としました。早速Circlesに注文です。

が、今回は今までと違ってバテッドスポーク。少し懸念が発生しました。

算出したスポーク長ですが、Circlesの在庫に対して

276mm:在庫無し。要カット。

271mm:在庫無し。272mmが在庫有り。

284mm:在庫無し。283mmが在庫有り。

でした。欲しい長さに合わせてバテッドスポークを注文するのも納期がかかりそうですし、リアは目標に対して1mm違い。今回は前輪だけスポークをカットしてもらい、残りは在庫で済ませることにしました。後輪をカットしてもらわなかったのにはもう一つ理由があり、

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スポークの首折れ側に対してはバテッド加工によるスポーク径が変わる位置が同じに対して、

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スポークをカットするとなるとねじ切り部の太さが変化する位置が変わってしまうので、可能な限り出荷状態から変化が少ない状態を狙いたかった、というのが理由になります。

 

■ホイール組み〜前輪

スポークを買ってたので組み立てです。

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以前からCirclesで聞いてはいたのですが、Chris KingのR45ハブはフランジ厚みが大きく、首折れ部φ2.0mmそのままだとスポークがフランジに添いません。シマノDURA-ACEグレードのFH-9100と比較してもフランジが厚く、通しただけではスポークは全然動かず、

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写真の通りスポークが立ちます。シマノのハブならこうは行かないです。

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前輪が組めました。ヨンヨン組み、銀アルミニップルです。

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バルブ穴とロゴも合わせました。

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スポークは、バテッド部が始まる前の部分で交差しました。エアロスポークで組まれたホイールだとバテッド部で交差する印象だったので意外でした。DTのCompetitionは首折れ側のφ2.0の部分が長く感じます。

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見えにくいですが、スポーク長は狙った長さで組めました。

 

■ホイール組み〜後輪(1回目の失敗)

続いて後輪です。実はここからが試練の幕開けでした。

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後輪はヨンロク組みです。ドライブ側と反ドライブ側で組み方が違うので、スポークを通す場所を間違えないようにバルブ穴付近から通し始めます。

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仮組み出来ました。まだニップルを締め上げていないのでスポークはたるんたるんです。

 

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リム側から見るとスポークが外に膨らんでいます。

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実際には両手でやりましたが、スポークを左右からしごいてスポークの首折れ部がハブのフランジに沿うようにクセをつけます。

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スポークにクセがつきました。すでに組み上がったみたいにスポークが真っ直ぐに整いました。

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リム側から見てもいい塩梅です。ハブのフランジ厚みによるスポークの保持力がハンパ無い。さて、ニップルを回してスポークのテンションを上げていき、フレを取って行きます。が、スポークテンションが限界に近づいてきたとき、恐ろしい事態になりました。

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ドライブ側のニップルはほぼ限界(スポークのネジしろ限界)まで締めたのに、

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反ドライブ側のスポークはまだネジ山が見えています。

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なのにセンターゲージを当てるとガッツリとリムが反ドライブ側に寄っています。ここまでの事態に陥ったのは正直初めてでした。ここからリムをセンターに寄せるとなると、ドライブ側のニップルをさらに締めることになるのですが、そもそもスポークのネジしろ限界まで締めたのでこれ以上閉められません。ここから言えることは、

・ドライブ側のスポークが長すぎる

・反ドライブ側のスポークが短すぎる

の2点です。改めてスポークの長さを見直すと、

ドライブ側:272mm(計算値より1mm短い)

反ドライブ側:283mm(計算値より1mm短い)

です。お互い1mm短くしただけ。それでここまでのずれが出るのは納得いきません。

失敗したホイールを観察すると、ドライブ側と反ドライブ側でスポークが交差している部分の直径が違うことに気が付きました。

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写真ではわかりにくいのですが、ドライブ側はスポークの直径が変わるところで交差し、反ドライブ側はスポークの直径がφ1.8mmになったところで交差しています。

「これはスポークの直径が結果的に変わってしまうから誤差が大きくなったのか」

もうちょっと考えればそれだけでは無いことに気がつけるはずなのですが、高価なスポークで失敗した私は動転し、「ストレートスポークで同じ長さで組んでみよう」と結論づけ、バテッドスポークと同じ長さのストレートスポークを注文しました。さようならバテッドスポーク・・・

 

■ホイール組み〜後輪(2回目の失敗)

2回目は、バテッドスポークではなくストレートスポークで同じ長さを設定し、再度組み直してみました。今度は最初の計算値通り、補正値無しでドライブ側273mm、反ドライブ側285mmで組み直しました。

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組めました。・・・と言いたいところですが、実はこの時点でドライブ側のスポークテンションが上げきれず、たるんたるんになってしまいました。どうやら今度はドライブ側のスポークが長すぎるようです。何故だ。何故なんだ。

 

改めて観察すると、「R45ハブでヨンロク組みをしたから」という理由に気が付きました。ドライブ側の写真を見ると、スポークの首折れ部からはほぼ直線的にスポークが伸びますが、

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反ドライブ側は6本組にすると、スポークの首折れ部から数mm、スポークはフランジに沿ってからリムに向かっています。つまり、反ドライブ側のスポークのほうが湾曲する量が多いと言うことです。R45ハブの28hで組む場合、6本組はスポークの経路が想定より長くなってしまい、結果的に反ドライブ側のスポークが短い、ドライブ側が相対的に長くなってしまう、という結論になりました。

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反ドライブ側のスポークがもったいないので、ドライブ側だけ2mm短いスポークを再度注文し、ドライブ側だけ組み直しました。結論、今回のホイール組では、ERD:577mmのリムに対し、R45ハブの28hでは

ドライブ側 :285mm(6本組)

反ドライブ側:271mm(4本組)

となりました。

 

さて組み立て完了です。長かった・・・

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バルブ穴からのロゴの見え方はこうなりました。あと1個穴をずらしても良かったかな、という感じです。次回組み直し時にはずらしてみます。

 

■結線

組み上がりはしたのですが、反ドライブ側のスポークは想定通りたるんたるんです。難しい。そこで古からの技として結線を試みます。前回の反省を生かしてはんだこてとフラックスを新しく買いました。

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こてはgootのPX-201です。

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マイナスドライバーで調整できる簡易の温調機能がついています。

職場では高価なHAKKOの温調機能付きはんだこてを使っていますが、ホームユースには高過ぎる。これで十分、と思っていたのですが・・・

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一番うまく行ったのでこのレベル。正直反省しました。

電線やPCBへのはんだ付けは得意、という自負がありますが、スポークという熱を逃がすものに巻いた針金へのはんだ付けがこれほど難しいとは、改めて自分の経験不足を痛感しました。フラックスをしっかり塗っても、スポークへの熱の逃げが大きく、また鉛フリー半田で半田流れが悪く、芋ハンダと笑われても仕方がないレベルでしか仕上げられませんでした。

正直鉛入りの共晶はんだを使いたいところですが、職業柄鉛フリーで今後も挑み続けたいと思います。まだまだ精進が必要ですね。

 

 

 ■組み上がり

最初にスポークを注文してから2週間近くかかってやっと組み上がりました。

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タイヤは事前にクリアランス確認をしておいた「WTB NANO 40C ブラウンサイド」です。センターノブの形状に工夫があり、直線では転がりの良いダート向けタイヤです。チューブレスレディです。組み付けには若干苦労しました。タイヤの仕上げが理由だと思うのですが、ビードフック部からエア漏れしやすいのです。シーラントをビードに刷毛塗りすることでビードシーラとして代用し組付けました。

 

大事なシクロクロスバイクに組み付けた姿がこれです。

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カッコエエ・・・完全に自己満足の世界ですが。

生活の合間を縫って自宅でオーバーホールした自転車です。昨年度からホイール以外にも少しアップデートしていますが、それは別の機会に。

 

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前輪。フォークのエンド部の塗装が剥げているのは、服部製作所でキャリアダボを溶接してもらったためです。鉄のフォークの良さがココですね。

 

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 後輪です。今回スキュワーはDT SWISSとしました。Chirs Kingは「DURA ACEがエエよ」と言っていましたが、DURA ACEのスキュワは単体では入手しずらくなりましたし、前から気になっていたDT SWISSのスキュワにする事にしました。使ってみて感じましたが、相当しっかり締め付けできます。これはイイ・・・

 

組み上がった夜に走りに出てみました。走って数分経つとハブが馴染んできたのか後輪から独特のラチェット音が響いてきます。組み上げるまで相当の困難を伴いましたが、これから長く付き合うことになるハブです。いずれまと組み直したり、オーバーホールに挑む事になるでしょう。じっくり楽しみたいと思います。

【自転車実験室】ChrisKing のBB をオーバーホールしました

自転車でオフロードを走る人にとっての急所の一つ、BB(ボトムブラケット)。自転車の主たるベアリングの内、BBは最も地面から近く(正確にはクランク下死点のペダル軸)、ダメージを受けやすいベアリングです。梅雨時はシクロクロッサーにとってメンテナンスシーズン。私のシクロクロスバイクに組み付けているChrisKingのBBのオーバーホールを試みました。

 

■BBは汚れる

BB、ボトムブラケットはクランク軸を支えるベアリングユニットで、自転車の中で最も巨大なパワーがかかる部分の一つです。また、地面から最も近い箇所にあるベアリングなので、私のようなシクロクロッサーには泥汚れの影響等が気になるポイントです。しかし、BBは安い。DURA-ACEグレードでもAmazonで¥5,000を切る価格で買えます。シクロクロッサーならシーズン毎に交換してもいいくらい。そんな中、私のシクロクロスバイクにはChris KingのBBが組み付けてあります。

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正直高級品です。しかし、私はある一点からシクロクロスバイクにこのBBを選択しています。それは

「グリスアップしやすい」

というもの。

 

先程の写真は掃除が終わった後ですが、シクロクロスで3レースほど走った後のBBは、

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こんな状態に・・・

雨のレースや砂のレースを乗り越えると、BB周りのグリスに砂や泥が付着しトンデモナイことになってしまいます。かと言ってパーツクリーナーを吹きかけると中のグリスが落ちてしまうので通常では拭き取ることしかできません。しかしベアリングに詰まったグリスにも汚れが侵入していることは必至です。

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そこで役立つのが「BB Grease Injector Tool」です。税別7,800えん。

何ができるのかというと、「ChrisKingのBBをフレームから外すことなくグリスを再充填することができる」というものです。先程の写真の通りクランクを取り外したBBに、グリスガンに接続した「BB Grease Injector Tool」を突っ込み、グリスガンのトリガを連打するだけ。そうするとBBの隙間から古く汚れたグリスがグニグニ押し出されてきます。これが気持ちいいのです。

今までCultureClubのレンタルピットで借りて使っていたのですが、家でも作業したい、という気持ちが高まりすぎてついに購入。

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問題はグリスガンも別途買わないといけない、という事です。

 

■グリスガンを買う

「BB Grease Injector Tool」は、それ単体では使用できません。グリスを押し出すグリスガンが必要です。前項の作業風景に写っていたグリスガンは、CultureClubのレンタルピットで借りたアメリカDUALCOのグリスガン。日本では入手性はあまり良くありません。各種調査の結果、

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このグリスガンを購入しました。

大阪のグリス関連メーカ「AZ(エーゼット)」の「1ウェイ チッコイ グリースガン 品番(GF201)」です。商品名がまんま関西のノリ。利点は、近所のホームセンタで売っていて、かつ安いということ。税別¥632。

使うグリスは同じくAZのリチウムグリス。ジャバラ式のチューブ入りです。

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コッチの値段は忘れましたが80g入りで¥300弱。安い。

 

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グリスガンの先端はレンチで外せるようになっています。何故か「BB Grease Injector Tool」に最初から付いていたニップルも、このグリスガンの先端も11mmでした。11mmのレンチは所有していないので小型のモンキレンチで取り外しました。

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グリスガンの先端に、取り付ける予定のリチウムグリスを塗ります。

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取り付けました。完全固定が目的ではないので、手で回して止まる程度にしてあります。

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さらにグリスのチューブをねじ込んで完成です。グリスのチューブがブニブニして頼りない。

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数回トリガをポンピングすると、先端部から勢いよくグリスが飛び出します。ペーパータオルで覆ってから試すことをお勧めします。

AZのリチウムグリスは、CultureCulbで使っている「Sim Grease」より粘度が低く、軽いポンピングであっさりとグリスが出ます。使ってみると思った通りグリスが充填できました。ChrisKingのBBを使っている方は是非試してみて頂きたいです。

 

■結局オーバーホール

しかし、いざクランクを着けて回してみると、砂を噛んだような「シャリシャリ」音がBBから聞こえます。どう考えても東海シクロクロス名物「ワイルドネイチャープラザ」の砂がBBに噛み込んでいるとしか思えません。

コレはオーバーホールしかない。

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買ってしまいました。ChrisKingのBBの組み付け専用工具「BB CUP TOOL」税別5,500えん。今まで自転車店Circlesにお願いしていましたが、ついに自分で手を出す事に。こうやってたまにしか使わないSST(Special Service Tool)が増えていくのが整備好きの問題点ですね…20年近く使っているKTCのスピンナハンドル(9.5sq軸)に着けて使います。ねじ切り方向に気をつけてBBを取り外します。

 

取り外したBBから、シールを外します。

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Chris King本人が来日した時にBBのベアリングシールを外すところを見せてもらっているのですが、何が尖ったものがあればスナップリングとシールは外せる作りになっています。手持ちの精密ドライバで一番小さいマイナスを使ってスナップリングとシールを外します。スナップリングプライヤは必要ありません。写真で外そうとしているのが金属のスナップリング、その内側にゴムシールがあります。どちらも新品が日本国内で調達可能です。が、今回は再利用。

 

外したスナップリングとゴムシールです。

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裏側にグラスに絡んだ砂がビッシリ。

 

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ゴムシールにも同様に砂がビッシリです。コレはアカン。

 

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開けたばかりのBBです。グリスが黒い。ここまでダメージがあることがわかると、毎シーズンオーバーホールを確実に実施したい。

 

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清掃しました。パーツクリーナとスプレ缶タイプのエアダスタを使って汚れを落としました。

 

清掃後のベアリングにグリスを打ち、逆の手順でシールを元に戻します。

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戻せました。ChrisKingのBBの気に入っているところとして、この通りオーバーホールできることもあります。考え方にもよるかもしれませんが、私はこれが好みです。

 

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フレームに噛み付くねじ切り部も清掃します。何回も着け外ししてるのでスレッド部のアルマイトが剥げています。

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フレーム側のBBねじ切り部を清掃したら組み付けです。ねじ切り部に新しいグリスを塗布して組み付けです。

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組み付け完了です。

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シマノのクランク用樹脂スペーサーを入れて、

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クランクを組み付けて完了です。クランクを回した時の「チャリチャリ」音は消えました。

 

こういうベアリングとかのオーバーホールは取り掛かるまでは超面倒なんですが、いざ始めると止まらない楽しさがあります。今回BBを開封してみて、シクロクロスバイクに実装されたChrisKingのBBは、少なくとも年一回のオーバーホールが必要と感じました。シマノのBBであれば安いので、私ならシーズン毎に交換したくなりました。BBのダメージは大きい。

ChrisKingのBBは高価ですが、「オーバーホールできる」という観点で私にピッタリでした。満足しています。今後もマメに整備して行きたいです。

 

 

 

 

 

 

【自転車実験室】ヨンパチ組みで26インチMTBの後輪を組みました

私はとにかく自転車のホイールが組みたいのです。狙ったスポーク長で上手く組めると嬉しいですし、振れがだんだん取れてくる微調整がまさに振れ取りの醍醐味ですし、組んだホイールがカッチョ良く仕上がって自転車と組み合わせた時に見た目がキマったらたまらんわけです。問題はそんなにホイールばっかり増やせない事。単純に収納場所に困るし、使わないホイールに意味はありません。ホイール組みを趣味にするとここが問題になってきます。悩ましい。

 

さて、前回魔改造されたFOXの15mmスルーのフォークのために、15mmスルーの前輪を組んだのですが、今度は後輪です。前輪の15mmスルーに対して後輪は未だにQRのエンド。2010年モデルのフレームですから当然ですが、まだ買い換える気は無いのでこのままです。

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前回の状態

■スポーク長の計算

ホイール組みを自分でやってみるとすぐに気がつくのですが、多段変速の自転車の後輪は、通称「オチョコ」と呼ばれる問題のため大変組みにくいのです。カセットスプロケットが組み付くドライブ側とその反対側でハブのフランジからリムの穴までの角度が極端に変わってしまい、組み上がる時のスポークテンションがドライブ側と反ドライブ側で大幅に変わってしまうのです。そのためドライブ側のスポークテンションはカンカンなのに、反対側はフニフニ、という事が起きてしまいます。特に11速化したロードハブに顕著です。そして、それを可能な限り是正する手段としてホイールの左右で組み方を変える「異本組み」というテクニックがあるわけですが、私は普段ドライブ側4本組み、反ドライブ側6本組の「ヨンロク組み」にしています。これを反ドライブ側8本組みにしてみたら、どれだけ効果があるのか気になって来ました。

 

実験的に計算してみると、

 ロクロク組:反ドライブ側テンションがドライブ側の62.0%

 ヨンロク組:        ↑         63.8%(+1.8%)

 ヨンパチ組:        ↑         65.8%(+3.8%)

と、上記の結果になりました。ヨンロク組みよりもヨンパチ組みのほうが僅かに反ドライブ側のスポークテンションが高くなります。しかしロクロク組で組んだ場合とその差3.8%。正直やる意味無いかなとは思うのですが、実験的にヨンパチ組みで組んでみることにしました。

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計算は、前回ERDをカタログスペック通り組んだほうがよさそうな結果だったので、ERD = 540mmとし、さらに補正値としてそれぞれ-1mmずつ短くしました。これで

ドライブ側:254mm

反ドライブ側:271mm

となりました。早速Circlesで注文です。

 

■組んでみた

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組めました。ヨンパチ組み、青アルミニップルです。

 

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反ドライブ側のスポークは狙った通りの長さで組めましたが、

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ドライブ側はニップルのほぼツライチ、反駆動側と比べて1mm長かった印象です。前回の前輪の結果をもとに計算結果から1mm短くしましたが、ドライブ側は2mm短くしても良かったようです。次回に反映する事にします。

 

今回初めて8本組みも実施しましたが、結論としては「26インチ32hではやらない方がいい」となりました。

以下の写真をご覧ください。

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スポークの頭に隣のスポークが被っています。

写真手前側から通したスポークの頭に、写真奥側から通したスポークが被っています。リム径に対してフランジ径が十分に小さくないとこうなりそうです。走る分には問題ないでしょうが、スポークを1本だけ交換したい時に超面倒な事になってしまいます。それを考えると今回ローター側を8本組みにしたのは総合するとあまり意味が無かった感じです。これだったら別にロクロク組みでもいいように感じますが、どのみち左右でスポーク長が変わってしまうので、組みやすさから次の機会ははヨンロク組みとしたいと思います。

 

■自転車へ組み付け

今回の後輪はQRのため、ローターもカセットスプロケットも同じロックリング工具で組み付け可能です。タイヤも、GiantのControlTankでスムーズに組み付けできました。エア漏れはありませんでしたが、しばらくするとサイドウォールから所々シーラントがじんわり染み出してきました。

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シーラントが染み出してきました。

装着しているタイヤ「MAXXIS IKON」はノブが低めで転がりが良く、そのくせグリップも良くて軽い、という素敵なタイヤです。が、軽さゆえにサイドウォールが薄く、トレイルで引っ掛けた部分にピンホールが開きやすいようです。シーラントの効果を目の当たりにしました。

 

嬉しくなって組み上がった翌日の通勤で早速乗ってみて、近所の公園で写真を撮ってみたりするわけです。

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近所の公園にて

これで前後とも見た目が揃って引き締まった雰囲気の足回りになりました。何というか、今時(?)な雰囲気になった気がします。こういう時に差し色になってくるシルバーのクランクで良かったなと思います。ますます買い換える気がなくなりました。早くトレイルで走りたい。

今回前後とも星スポークの新作「Wing Star」を使ってみましたが、色味が気に入りました。写真だとうまく撮れませんが、太陽の下だとイイ色合いなのです。走行中に前輪に目を向けると、ちょうどスポークの残像で色が目立ち、見た目の満足度が高いです。売りの耐久性はこれから使ってみて確かめますが、もう1セットこのスポークでホイールを組んでみようと思います。

【自転車実験室】15mmスルーのハブで26インチのMTB用前輪を組みました

さて、私の手元に1つのサスペンションフォークがあります。

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チームメイトでありライバルのS君から「26インチのFOXのフォークだよ」と提供されたものなのですが、黒いフォークレッグに白いクラウン。そして1-1/8のコラム。こんな仕様はFOX純正には存在しません。これはS君によって何個イチにされたかよくわからん(後程本人より3個イチにした、と申告あり)魔改造されたサスペンションフォークで、オーバーホール(魔改造?)済みであります。彼の腕ならまぁ問題なく使えるでしょう。しかしこのフォーク、15mmスルーなのです。私のMTBは確かに26インチなのですが、15mmスルーの前輪を持っていません。悩みましたが、ちょうど元々着けていたRockShoksのフォークのリモートの部品がどこかへ飛んで行ってしまい困っていたところですし、私はこれを受け止め15mmスルーのハブで26インチホイールを組む事にしました。

フォークからホイールが生えるこの感覚、帰ってこれない所にたどり着いてしまった気がします。

 

■リムはWTB

世のMTBの潮流は29erか650b。今時都合のいい26インチのリムはなかなかありません。しかし馴染みの自転車店Circlesに、WTBの26インチリムが残ってました。

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WTB のST i23です。

お値段¥6,700(税抜き)。チューブレスレディリムとしては超お手ごろ価格。ほぼほぼ消去法でこれに決定。現在は廃盤のようです。

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リムの重量を測ると493g、公称526gの-6.3%です。私の中ではリムの重量公差は±10%以内なら許容範囲。ニップル穴にハトメ付きでこれは軽い印象です。

 

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引用:wtb.com

WTBのWebサイトを確認すると、いかにも頑丈そうな断面です。

更に注目したいのが赤丸で囲ったココ!

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この、チューブレスタイヤビードが乗っかる部分に、外れ止めの盛り上がりがあるのが好感度が高いのです。これまでシクロクロスでVelocityのチューブレスレディリムを愛用してきましたが、 この外れ止めが無いせいか、低圧でビードが落ちてしまう現象に何回か出くわしました。このリムではその不安は解消されそうです。

 

■スポーク長計算

今回は、前から気になっていたスポークを使うことにしました。日本のスポークメーカである星工業の新作スポーク「Wing Star」です。

www.hoshispoke.com

今どきURLがだいぶイケていませんが、ツッコミたい所をグッと抑えて無視します。

私が屋内で写真を取ると色味がよくわからなかったのですが、明るいところで見ると星スポークのノーマル品シルバーと比較して鈍い真鍮のような色合いです。何やらスポークに特殊加工をして破断強度や経年でのヘタリを軽減しているとのこと。何らか皮膜ができる処理のようですが、どの手法でコーティングしているのか気になります。色味でいうとFOXのフォークのようにカシマコートのような色合いに見えます。

 
スポーク長次第で、ホイールを組み終わった時にニップルからスポークが飛び出す量が決まります。

私の理想は

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このくらい。スポークの先端がニップルのドライバー溝の面にくるくらいです。いざ解体するとなった時に工具を掛けやすいためです。スポーク長がこれぐらいになるように計算を試みます。

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自分で実測してみると、ERDは544mmでした。これに基づいてハブの寸法からスポーク長を計算すると、

ブレーキロータ側4本組: 257mm

反ブレーキロータ側6本組:266mm

となりました。いわゆる「ロクヨン組み」です。さらにこれまでの経験から補正値として-2mmした値をスポーク長とします。星スポークは組み上げた時の延びがDT Swissのスポークと比べると長い印象です。この件についてはまた別の機会に論じたいと思います。

さて、-2mmしたスポーク長が決定したところでWTBのWebサイトを確認するとERDは540mmとあります。

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引用:wtb.com

これを基に補正値抜きで計算すると、先程の補正値ありの計算結果と同じになります。

WTBは補正値まで考慮したERDを記載しているのでしょうか。悩ましいところですがものは試しで結論、

ブレーキロータ側4本組: 255mm

反ブレーキロータ側6本組:264mm

としました。早速Circlesに注文です。

 

■組み立て

今回ハブは自身初の15mmスルー、グレードはXT "HB-M8010"としました。

さて、私は15mmスルーのハブでホイールを組んだことがありません。QR用の振れ取り台でどうやってハブを支持するかというと、振れ取り台にアダプタが付いていました。

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私が使っている振れ取り台は、台湾PWTの物で、パークツールのパクリ構造のものです。安いがまともな作りです。

PWT 振れ取り台

PWT 振れ取り台

 

 

取り付けるとこうなります。

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先端の皿状の部分がスルーアクスル ハブの軸にピッタリ。行けそうです。

 

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組めました。ロクヨンJIS組、WingStar#14、青アルミニップルです。

 

さて、組み上がってからのニップルからのスポーク突き出しを確認します。

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理想より1mmは長い感じです。実測ERDに基づいた計算結果からは-3mm、WTBのデータに基づいた結果からは-1mm位、と言うことでしょうか。まだ補正値については検討が必要そうです。

 

さて、組み上がったのでリムテープを巻きます。

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巻いたらはんだこてで穴を開けてバルブを通します。

 

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これまでの反省からバルブ固定ナットに外れ止めとして「ロックタイト222」を塗布。

 

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塗布できました。ちょっと塗りすぎな気がしますが、いずれ拭き取るのでこれくらいにします。

 

■CultureClubで組み付け

15mmスルーのハブのブレーキディスクローターの固定は、センターロックには間違いないのですが、QR版のハブと違いロックリングはBB用でした。

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私はBB用工具を持っていません。フォークの交換もすることですし、馴染みのCultureClubに持ち込んで作業することにしました。

 

今回の作業工程は、

1.旧フォーク取り外し

2.旧フォークから新フォークへ下玉押し移植

3.新フォーク組み付け

4.旧ホイールから新ホイールへタイヤとディスクロータ移植

5.微調整

の5工程。1.5hと見積もりました。

 

もらったフォークは、コラム長が前に使っていたフォークより短く、そのままでは使えないため薄いヘッドクラウンを注文しました。

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コラムが短い。

 

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左がもともとついていたヘッドクラウン、右が新しく買ったヘッドクラウン、どちらもFSAです。厚みが全然違いますが、これしか在庫がなかったんや…¥1,500です。よく見ると元々付いていた分厚い方は、ヘッドの上玉押しにツライチになる作りです。このままでは使えないのでスペーサーを間に入れます。

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 薄いコラムキャップに5mmのスペーサを入れ、ステムを天地返ししてハンドル高さを稼ぎます。今までより少しハンドルポジションが下がりましたが、乗ってみると違和感無い印象です。

 

作業時間ピッタリ1.5hで無事組み上がりました。組み上がってみると、印象がずいぶん変わりました。

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ビフォー

 

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アフター

 

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ステム周り拡大ビフォー

 

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ステム周り拡大アフター

この通りハンドルポジションが下がりましたが、思ったより違和感がなかったです。

 

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もともとハンドルまわりは白ステムに青ハンドルだったのですが、フォーククラウンとステムが白、フォークのキャップ類が青でハンドル、ニップルも青、カシマコートに鈍い真鍮色のスポークで思った以上にかっちょいい感じになりました。私の撮影能力の低さが腹立たしい。完全に自己満足の世界なのですが。

 

こんなに雰囲気が変わるとなると、後輪も組み立てたいところです。「多分後輪も組みたくなるやろ」と思ってリムはもう一本抑えてあるので、後はハブとスポークとニップルです。来月のお小遣いで購入したいところです。

しばらくいろいろあってホイールが組めていなかったのですが、久しぶりに楽しい自転車イジリになりました。しかし星の「WingStar」カッコエエなぁ。これ以降のホイール組でも使いたくなりました。自身初の15mmスルーの前輪。早くトレイルで試してみたいです!