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技術系サラリーマンの生活実験

【自転車実験室】超ハイローフランジのハブはスポークテンション左右差是正の夢を見るのか

ホイール組みたし資金なしで悶々としている時、TNIのハブのラインナップが増えている事に気がつきました。

 

STAR (スター)ハブ | TRISPORTS

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一撃で心を撃ち抜かれてしまいました。

ナニこのドライブ側のフランジ。ひと目でドライブ側のフランジ径を大きくして、反ドライブ側のスポークとのテンションを近づけようという目的なのがわかりますが、それにしても強烈なデザインです。これは組んでみたい。

 

取扱商社のトライスポーツのWebサイトにはこのハブの図面が公開されているので、これを元にホイールを設計するとどうなるのか計算してみることにしました。

 

 

■スポークパターンを考える

図面は以下の通りです。

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図面から側面図だけ切り取って、実際にスポークをレイアウトするとこんなイメージでしょうか。

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またもExcelでレイアウトです。フランジが特殊な形状なので、スポークの通し間違いは発生しにくそうです。反ドライブ側はテンションを少しでも上げられるように6本組としました。 イケそうな気配です。

 

■スポーク長とスポークテンションを計算する

反ドライブ側は通常の24hハブと計算は同じですが、ドライブ側フランジの形状が特殊なため、一般的な24hハブと同じ計算ではスポーク長とテンションの計算ができません。

考えたスポークレイアウトから、ドライブ側の1本だけ抜き出して、側面図に補助線を引いて、ドライブ側のスポーク長計算に必要な角度を計算します。

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24hのリムを使用しますので、中心線の延長線上にある上側の穴から数えて4個目まの角度が 360 / 24 × 3 = 45° となります。フランジの穴は中心線から6°振られているので、

 θ = 39°

となります。

 

これを元に、以前に作ったExcelシートを少し修正して計算してみました。
リムは愛用しているオフセットリム、VelocityのA23 OCを、スポークはストレートの#14を使用する前提です。このシートは穴数と何本組とするかでERD・PCD間の角θが計算できるように組んでいるのですが、今回ドライブ側は角度を直接入力しています。反ドライブ側は6本組の計算です。

 

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ドライブ側の目標スポークテンションを107kgfと設定した時、反ドライブ側のスポークテンションは75.4kgfとなり、ドライブ側の70.47%になりました。

以前に同じリムで、ハブをシマノ FH-9000(11速DURA-ACE)で組んだときの反ドライブ側スポークテンションは70.68kgfで、ドライブ側比66.06%でした。単純計算でドライブ側比で4%以上テンションを上げられる見込みとなりました。うーんこれは組みやすそう。

 

■オフセットリムを使わなかったらどうなるの

・・・ここでふと考えました。オフセットリムを使わなかったらどうなるんだろう。

リムのオフセットを0にして再計算してみました。

 

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・・・ドライブ側の目標スポークテンションを107kgfと設定した時、反ドライブ側のスポークテンションが55.69kgfとなってしまい、ドライブ側の52.05%になってしまいました。PCDの差が60mmもある超ハイローフランジのハブでも、オフセットリムを使用しないと反ドライブ側のテンションはダルダルになってしまいます。

つまり、リア11速化でドライブ側のフランジがよりセンターに寄ってしまった現実を改善するには、超ハイローフランジのハブよりもオフセットリムのほうが効果が高い事になります。

 

チューブレスレディのオフセットリムは、私が知る限りではVelocityのA23 OCDT SWISSのRR440 asymmetricのみ。選択肢が少ないです。もうちょっとリムハイトが高いチューブレスレディのオフセットリムが増えてくれたらいいのに、と思いますが、手組みホイールはニッチな趣味ですので、簡単には増えないでしょう。

 

 

いずれロードバイクチューブレスタイヤにしたい私は、もちろんホイールを自分で組みたいと考えています。その時のリアハブの選択肢にビシっと食い込んできたTNIのスターハブ、設計だけで随分楽しめました。早く組んでみたいけど資金が貯まるまでしばらく我慢です。

 

こんな事を考えていると、自分の理想のハブとリムを作りたくなってきます。そうするとホイールが組みたいからパーツを作りたいという話になって、どんどん現実から思考が飛躍していきます。実に悩ましい。