【自転車実験室】スポークを1本だけ交換する
大変楽しんだ「白州の森バイクロア3」で、前輪のスポークをキャンプ用の椅子にぶつけてしまい、曲げてしまいました。
見ての通りバッチリ曲がっています。このため、ホイールは振れてしまい、さらに一度テンションをかけたスポークを曲げてしまったので、ここからニップルを回して振れ取りしたらスポークかリムを破壊してしまいます。
という訳で修理です。
◼︎スポークは1本なら安い
計算したスポーク長は全て記録を残してあるので、それを元にスポークを買いに行きます。よく行く自転車店CirclesとCulture Clubはどちらも1本から売ってくれるのでこういう時に大変助かります。
Philwoodの#14ストレートスポーク1本と真鍮ニップル1個で¥90でした。
◼︎スポークの交換
今回、スポークの交換にあたり1つ試したい事がありました。
「チューブレスリムテープを交換しないで出来ないか?」という事です。現実的には無理なので、対象のスポーク穴のみリムテープに穴を開けて、パッチを当てる様に出来ないか?という事です。完全に推奨外でケチ臭い作戦ですが、とりあえずやってみます。
タイヤを外して対象のスポーク穴のリムテープをカッターでくり抜きます。
穴が空きました。
実はすでにこの時点で思惑に対しては失敗の予感です。以前に後輪の交換の際、タイヤのビードが乗っかる丘の部分(ハンプと言うそうです)にスポーク穴が被って、そこで変形したリムテープからエアが漏れることに確信を抱いたのですが、前輪もわずかに穴がハンプに被っています。
OC(オフセンター)ではない前輪も、スポークが可能な限りハブに直線的に伸びる様に、角度がつけてあります。これを「穴振り」と呼ぶそうです。
この影響でリムの外周側の穴が中心からズレて、ハンプに被ってしまう事になります。
しかし被っている量はわずか。淡い期待を抱きながら作業を進めます。
取り外したスポーク(右)と新品のスポーク(左)を比べると、「これでもか」というぐらい曲がっているのがわかります。テンションを抜いて初めてこれくらい変形していた事がわかりました。
ホイールを組む時、良くニップルをリムの中に落として取り出すのに難儀したので、余ったスポークでニップルの呼び込み工具を作りました。
以下の写真のように使います。
新しいスポークをハブ穴に通して、うまいこと目的の穴まで持ってきて、ニップルを軽く回して仮組みです。ラジアル組みならスポークを通すのに悩む必要はありませんが、いわゆるタンジェント組ではスポークを通すのに若干難儀します。
仮組みできました。
組み直す度に感じるのですが、シマノのDULA-ACE9000系のハブはハブ穴が小さく、#14のスポークを通すのがギリギリです。スポークのネジ山が引っかかって本当に通しづらい。本来は#15を通す前提の設計なのかもしれません。果たして現在77kgある私の体重で、#15のスポークがシクロクロスで耐えうるのかは別途計算してみたいところです。
スポークが通せたので、振れ取り台にセットして本締め、振れ取りです。
我が家の振れ取り台はミノウラのFT-1なのですが、安価故に支柱を閉じる機構がなく、振れ取り中にグラグラします。なので、クイックレバーで締めて作業をしています。
これが微妙に面倒で、ParkToolsの振れ取り台のような剛性の高い振れ取り台が欲しい...
交換するスポークが1本だから1本だけ締め上げれば良い、というわけではなく、経年劣化したスポークの中に1本だけ新品のスポークを混ぜるので、全体のバランスが狂います。全体を少しずつ締めて振れを取り、ホイールをしごいてまた振れを取り、これを繰り返してセンターを出します。
振れも取れ、センターもバッチリ出ました。
以前はミノウラのFT-1についていたセンターゲージを使用していましたが、今はCulture Clubで取り扱っているUNIORのセンターゲージを使っています。
メリットとしては、
・タイヤが付いた状態でセンターが確認できる
チューブレスレディリムはタイヤの付け外しが面倒ですし、未だ使ったことが無いチューブラーなら言わずもがなです。
・私の作業方法である「クイックレバーをつけたまま振れ取りする」場合に使いやすい
ホイールセンターを確認するために、ハブ軸に当てる金具に切り欠きがあり、クイックレバーをつけたままでもしっかりハブ軸に当てる事ができます。
という以上2点から結構気に入って使っています。
◼タイヤを嵌め直す
タイヤを嵌め直す際に面倒なのが、固まったシーラントを取り除く作業です。
私はまず水洗いしてヌメリを取り、その後手のひらで擦って落としています。もっと楽な作業方法が無いものか、今後研究の価値がありそうな作業です。
さて、今回のケチ臭い作戦です。リムテープを、穴が隠せる程度に小さく切りました。
チューブのパッチ当てのイメージです。
周辺をきれいに拭き取り、テープをしっかり張ります。
ちゃんと穴が塞げているように見えます。
で、この後タイヤを嵌め直して、シーラントを入れてエアを入れます。
・・・失敗です。エアを入れるのはGIANTのCONTROL TANKを使用しています。
何回か試して、リムテープのパッチ当ての箇所以外からエアが漏れている音がします。
当初の予想通り変形したリムテープからエアが漏れていると考えられます。リムにもよると思うのですが、やはりA23でチューブレス運用の場合、リムテープはタイヤ交換のたびに張り替えるのが理想のようです。
古いリムテープを剥がして、新しいリムテープを1周張って、再びエアを入れます。
今度はパチパチとビードが上がる音がします。ピューという高い音はバルブの組み付けけが甘かったせいでバルブの根本からエアが漏れていた音でした。後からバルブの根本を締め直して、追加でエアを入れ直して完了です。新品のタイヤの様に気持ちよくビードが上がってはくれませんでしたが、すでに2シーズン使っている上に5、6回付け外ししたチューブレスタイヤのビードが上がってくれるのはタイヤの耐久性設計が良いからだと思います。
というわけで、修理した箇所はきれいにまっすぐなスポークになりました。
が、この後のブレーキ調整の途中にもう1本曲がっているスポークを発見してしまうのでした・・・
1本目の曲がり方が分かりやすかったせいで見落としていました・・・これだってよく見ていたらすぐに気付けたはず。「あっスポーク曲がってる修理しなきゃ」で短絡的に1本だけだと思い込んだマヌケっぷりです。
1本曲げたら他にも曲がっている可能性があるのは当然なのに、チェックが甘かったです。作業前の丁寧な点検は仕事も趣味も一緒ですね。恥ずかしい。
とりあえず振れは取れているし、センターも出ているから直近の使用では大した問題では無いのですが、このままでは気持ち悪いので近いうちにこれも修理します。
◼まとめ
最後に私のマヌケっぷりが露呈したのですが、自作の手組みホイールの利点として、スポーク1本だけの修理が自分でできる事が上げられると思います。面倒な作業の部類に入ると思うのですが、私は大好きです。ただ、それなりの時間が必要なので失敗すると更に時間がかかってしまうので、それが一番面倒です。
・チューブレスレディリムのリムテープは毎度交換したほうが良い
・スポークを曲げてしまったら、他にも曲げていると考えよ
・趣味でも(趣味こそ?)作業前点検は大事
まあ面倒なのは私だけなので、また作業ができて練度が上がる、と前向きに捉えてしまうことにします。 今度はミスなく作業を進めたいな。