【雑記】特定小電力トランシーバーを導入した
夫婦揃ってシクロクロッサーとなってしまった我が家の場合、親の我々は全カテゴリ観戦したいのですが、8歳の息子は観戦以外にも友達と遊んだり好きに過ごしています。この年頃の男の子は、ちょっと目を離すとすぐ行方不明になってしまうもの(息子からしたら私もですね)。ついつい観戦に夢中になって息子の姿が見えなくなり、焦ってしまう事があります。すぐに連絡が取れるように携帯電話を持たせるのも、月々の基本使用料や壊した場合を考えるとまだ早い気がする。
考えたあげく、スマホ全盛のこの時代に、「トランシーバー」を導入しました。4級アマチュア無線技士の免許を持つ私が中学生以来超久々に触れるリグ(無線機の事)は、Amazonで2個¥4,000強の超格安「特定小電力トランシーバー(以下特小)」となりました。
◼特定小電力トランシーバーとは
超ざっくり言うと、「パワーが弱いから無許可で電波を使っていいトランシーバー」です。定義としては空中線電力(アンテナから出る電波の強さ)が10mW以下の製品の事です。最近1番生活で身近な特小は「無線LANルーター」でしょうか。「無線LANルーター」はアンテナのパワーが十分に弱いので、個人が買ってきて無許可で設置できるのです。
なお、一般的なスマホの空中線電力は0.25W(250mW)以下。特小のパワーはスマホと比べると1/25のパワー、比較するとゴミみたいなものです。ここに、弱いパワー故のメリットがあります。
http://www.tele.soumu.go.jp/resource/j/equ/mra/pdf/n02.pdf
◼買ったもの
BLUE CENTURY ブルーセンチュリー 特定小電力トランシーバー BC-20 2台セット&イヤホンマイク/ベルトクリップ付属【1年保証あり】
- 出版社/メーカー: BLUE CENTURY
- メディア: エレクトロニクス
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私が買った時でAmazonで¥4,190。付属品としてイヤホンマイクとベルトクリップがありますが、電池は付属しておらず、単4アルカリ電池が4本/1台必要です。なお、製品仕様によると電池の持ちは22時間。1回の交換でレース丸1日問題なく使えそうです。
本当は国産メーカーのものが欲しくて、テストのためにレンタルしようと思ったのですが、レンタル費も¥4,000くらいするので格安機を買うことにしました。
単4アルカリを入れて1台の重さはこんなもの。
手に持つと思ったより軽く感じます。
iPhone6s(ケース有り)と比較するとサイズはこのくらいです。
◼メリットとデメリット
そもそも通話オンリーの「トランシーバー」を使った事がある人が少ない時代なのでざっくりメリットとデメリットを上げると、
●メリット
・端末が無線機の中では安い
・基本使用料とかがない
・チャンネルが合っていれば無線機のメーカーは問わない
●デメリット
・長距離通信は出来ない
・メールやショートメッセージは送れない
・チャンネルが合っていたら知らない人に通話を聞かれる
デメリットの3つ目は問題かも知れませんが、今時特小を使っている人がほとんどいないので、シクロクロス会場程度では問題ないと考えています。
むしろ大きなメリットは「電波が届けばボタンを押したらすぐ音声を送れる」ことと、「チャンネルを合わせている相手に一斉に送信」にあります。
通話時のアクションを考えると、私が使っているiPhone6sの場合、
電話をかける:ロックを解除して電話アプリを立ち上げ、連絡先から相手を選んで発信、相手が呼び出しに気づくのを待つ
電話を受ける:電話がかかってきているのに気がついたら画面の「通話」ボタンを押して、電話を耳に当てて話す
という感じでしょうか。
これが無線機になると、
話す:PTT(Push To Talk)ボタンを押して、一呼吸置いて話す
受ける:無線機から出てくる音声を聞くだけ
というだけで至ってシンプルです。
無線機を使ったことが有る方のほうが少ない現代、このメリットは使ってみないとわからないと思われますが、フェス会場の警備員さんなどが無線を使っている事を考えると、電話では得られないメリットがあることも想像できるかと思います。
◼実際に使ってみる
今回の目的はトランシーバーを買うことではなく、シクロクロス会場で息子と連絡が取れるかどうかということ。
というわけで、シクロクロス会場でどれほど通信が可能か確認してみました。
テスト会場は2017-2018シーズンの東海シクロクロス第6戦、第7戦の「愛知牧場」。
昨シーズンの私の願いが通じたのか、今シーズンは何と1月20日と1月21日の2day開催です!
名古屋近郊の愛知県民なら誰もが知っている観光牧場で、東海シクロクロス随一のアップダウンと階段がある楽しいコースです。何とレース開催までの期間にコースの一部を開放している期間があり、試走がてらテストに行ってきました。
テストの方針としては、受付とBUCYO COFFEEブースが設置されるであろう東屋付近(下図中央の"受付"部です)から、コース内の応援しやすいポイントと思われる箇所と通信を試みました。コース図は東海シクロクロスホームページより引用しました。
引用元:東海シクロクロス
結果は以下の通りです。
・・・なんの問題も無いやないか。
表の「CALLボタン」は無線機についている呼び出しボタンで、少しでも電波が通じると相手側の無線機に呼び出し音を鳴らすことができるボタンです。通話がろくにできない電波の届き方でも、「CALLボタン」に反応があれば相手側になんらか意思を伝えることができます。
特筆すべきはポイントEの「ジェラートが売っている建屋」です。レース会場の受付からはパターゴルフ場に隠れて直線的に見通すことができません。ですが、問題なく通話できました。無線機の常として、「問題なく通話」は「たまにぷつっと切れるときもある」ですが。
これなら、レース会場での息子と連絡に全く問題なく使えます。実際に使う時はイヤホンマイクをして、息子からの呼び出しがあった時にすぐに気付ける状態にする予定です。
今回購入したのは2台セットなので、もう1台購入して家族3名で運用を考えています。
追加の1台は子供の頃憧れだったicom製にしたい。
まだ携帯電話を持たせるには早い、と思われるお子様をお持ちのシクロクロッサーの皆様、お子様との連絡手段に「特定小電力無線機」はいかがでしょうか。
チャンネルさえ合っていれば機種問わず通話ができるので、子ども達同士の遊びにも使えるのではと思います。シクロクロス会場でコミッセールでも無いのに無線機をぶら下げていたら恐らく私ですので、質問があれば気軽にお声掛け下さい。
◼余談
ここからは完全に余談で、最近のアマチュア無線局免許なしで使える無線機について久々に調べて、いろいろ変わってきている事を知った事についてです。興味の無い方には全く役に立たない話です。
最近は局免許なしで使える無線機として、前述の「特定小電力無線機」以外に、「デジタル簡易無線機」と「IP無線機」の2種類が主流になってきているようです。
●デジタル簡易無線機
空中線電力(出力)5Wまでの無線機で、総務省へ届け出と、年間600円程度の電波利用料を支払えば使える無線機です。出力5Wと言うと携帯電話の約20倍の出力。高地など携帯電話の電波が通じない地域での通信にもってこいです。登山を趣味にする方は、パーティ内の連絡手段として有効なのではないでしょうか。
問題は無線機が高いこと。Amazonで確認しただけでも1台¥30,000近くします。
無線機は1台では運用できないので、まともに使おうと思ったら最低でも¥60,000は覚悟しないといけなくなります。ガチユーザー向けですね。
しかし出力5Wになってくると、複雑な建屋の中でも通信が可能になってきます。
以下のような記事を読むと機材好きには欲しくなってきてしまう・・・
●IP無線機
携帯電話キャリアの通信網を利用した無線機です。
IP網を利用することになるので、携帯電話の電波が通じる地域であれば、チャンネルを合わせていたら全国(!)で通話ができることになります。問題は月額利用料がかかること。これもガチユーザー向けですね。
無線機の特徴は同報性、即時性ですので、オリンピックなど複数会場が分散するイベントなどで、主催者が使うのにベストな選択肢のような気がします。
これは買うより期間限定でレンタルするのが良さそうですね。
アマチュア無線を知っている身としては、国民の殆どが「携帯電話」という無線機を持ち歩く時代になったのは、普段から感慨深いのです。そしてこんな時代に、一方通行な通話に特化した無線機が無くならない理由を考えてみるのも、ガジェット好きには一興ではないでしょうか。