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技術系サラリーマンの生活実験

【レースレポート】東海シクロクロス第6戦 愛知牧場Day1 C4A

東海シクロクロス第5戦大野極楽寺公園が終わった後、私の元にアメリカから荷物が届きました。

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私のシクロクロスフレームを作ってくれたフレームビルダーJeremy Sycipのオリジナルステムです。

100mm 、0° 。

自転車が完成してから丸4年経った今、私の中でポジションに解が見出され、ENVEのカーボンフォークをツライチでコラムカットするに至ったのです。フレームと同色でペイントしてもらったステムは、4年間乗り込んで退色したフレームと微妙に色が合わず、それがまた自分とこの自転車の歴史を感じて感慨深くなりました。

 

ニューステムで挑む初めてのレースは東海シクロクロス第6戦愛知牧場Day1。その日息子は小学校であるイベントへの参加を希望したため、久々の単独参戦。私のボディNo.はC4Aの2。

出かける時の妻の言葉は、「キッズレースの後すぐC4Aだから、このままだとDay2の段取り忙しくなるから昇格してね」でした。

 

前日の突発の残業で帰宅が24時付近になってしまい、普段しっかり眠らないとしっくりこない私としては、かなり重たい身体と頭を引きずって会場に向かいました。

 

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Photo by kikuzo

 この上ない快晴。今シーズンの第1戦は台風のためあいにく中止となりましたが、東海シクロクロスは全体的に天候が良い印象です。関西シクロクロスへ遠征していた時代は雨も多かったので、随分と印象が違います。

 

会場である愛知牧場までは我が家の最寄駅から乗り換えなしで行けるほど近く、自走、輪行で参戦が可能なほど。車でも早朝なら信号の繋がりが良く、一般道で30分弱で到着しました。

 

会場入りしてからの段取りは流石に慣れたもので、受付から準備を段取り良く進めます。試走して感じたのは「路面が重い」。愛知牧場は東海シクロクロス随一の高低差を誇るコースで、受付やBUCYO COFFEEブースがある位置から下側のコースはちょうど午前中太陽が当たらない区間です。水曜日に降った雨が柔らかい土壌にしっかり染み込み、適度な泥の登りが出来上がっていました。

 

招集直前の尿意でトイレからスタートラインに戻るともう招集は始まっており、ボディNo.2にも関わらずギリギリフロントロー右端に位置取りました。危ないところでしたがツイている。太陽が背中に当たり、C4Aとしては気温が高い。グローブは着用しましたがアームカバーはせず、インナーは夏用メッシュ。

 

いつの頃からか、スタート前は右のペダルに脚を乗せた後、貧乏ゆすりをするようになりました。スタート時のクランクの角度は私の中ではほぼ決まっており、角度を合わせてからはスタートを待つ間の貧乏ゆすりは何ともいえない気持ちになります。

 

ホイッスルと同時にスタート。

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Photo by Kikuzo

スタート直後は緩やかな砂利の登り。スムーズにクリートキャッチできて、第1コーナー付近までは先頭で進みます。

 

ぶっちゃけ路面がルーズなコーナーは苦手です。ビビリが入って大幅に減速し、4番手で第1コーナーに進入、4番手のままバームとパンプセクションをクリア、下って鉄塔下のターンで登り返します。朽ちたトラクター脇を越え、コース最高地点まで4番手のまま離されず着いて行けました。

 

「行けるかもしれない」

体重が重く、登りが苦手な私にとっては登りで離される距離を減らすのは重要な課題。

でもわずかに距離が縮まり、離されませんでした。脚が回っている"脚ごたえ"を感じました。木曜日に行った56Cycleのローラー教室で過去最高の仕上がりを感じたのですが、果たして今まで以上に脚が回っていました。

 

下りも、朝イチのレースで路面が乾ききっていないことが幸いしました。表面が乾いて砂が浮いた状態と違いタイヤが滑りにくく、むしろ離されるでもなく距離が詰められる。通称「ゴルゴダの丘」を越えて下側のセクションに入ったところで1〜3位パックでの争いになってきました。

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photo by Kikuzo 2位にいる・・・

 

後続から追い上げてきた選手が3番手、私が2番手で少し離れたところに先頭の選手がいます。ここから、3人での抜きつ抜かれつの戦いになりました。

 

2周めで私が先頭に。前に誰もいない状態でレースを運ぶのは初めての経験です。不思議な感覚でした。しかし体重の重たい私。「ゴルゴダの丘」の階段での消耗が激しく、一気に詰められてしまいます。またもコース下側で抜きつ抜かれつの展開に。

 

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Photo by Chiho Imai

苦しい「モーモー坂」の登り。シクロクロスで背中に相手の熱気を感じたのはこれが初めてでした。

 

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Photo by Chiho Imai

相手の呼吸を感じる本当に僅差の駆け合い。後ろを振り向いている余裕は全くありません。ブラケット上部を握る鬼ハン状態で姿勢を低く、トラクションが抜けないように必死にペダルを回しました。yko氏のMCでこれほど自分の名前が呼ばれた瞬間はないでしょう。自分にこんな戦いができる時が来ようとは…

 

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Photo by KIkuzo まさかのAJOCCリザルト入りの写真

東海シクロクロスは、本当に声援がスゴイのです。友人達の声援が響きます。私には、正直答えている余裕はありません。でも、本当に響くのです。

 

しかし最終周回、私にはもう脚は残っていませんでした。「ゴルゴダの丘」手前で抜かれ、その後追いつきそうにもなりましたが、泥状態に近かった登りで離されてしまいました。

 

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photo by Kikuzo

必死の形相で漕ぐ最後のホームストレート。そのまま2位でゴール。後ろを振り向いている余裕は無かったのでその時はわかりませんでしたが、結果として3位とは25秒離れていました。

 

出走38名 。2位5% 。念願だったC3への昇格が決まった瞬間でした。

ゴールしてから表彰台へ向かう途中、友人たちから祝福を受けました。

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Photo by Yuki Nishihara

すでにロードーレースやMTBで実績のある選手ならまだしも、一般のシクロクロッサーなら誰もが、自分が今いるカテゴリーで表彰台に登ることが、どれだけ難しいか知っています。

私の場合は4年かかりましたが、この4年間で得たものが噛み合ってきて、やっと形になったレースでした。思うにシクロクロスは、やはり運良く昇格できるものではなく、昇格できる時が来た時に昇格できるものだと感じました。

トレーニングがまともにできないシーズンもありましたが、辞めずに続けていて本当に良かった。これからもずっとシクロクロスを続ける事になるんだろうな、と思っています。

 

一つ悔いが残るとしたら、妻子にこの姿を見てもらえなかったこと。C3のレースでそれを見せるという課題が残りました。

 

◼Bike Spec

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フレーム:Sycip Bikes "ALL around CX"

フロントフォーク:Enve Composite CX

ステム:Sycip Bikes Original Stem 100m , 0deg

ヘッドセット:Chris King NTS 1-1/8"

ハンドルバー:SimWorks Misirlou Bar 430mm

デュアルコントロールレバーShimano ST-5700(105)

ブレーキ:Paul Component MINIMOTO & Touring Cantilever

千鳥(リアのみ):Tomii cycles Cable Hanger "Magic Beans"

サドル:Fizik Gobi

シートポスト:SimWorks Beatnik

ハブ:HB-9100/FH-9100(DuraAce) 共に28h

リム:Velocity A23/A23OC

スポーク:PhilWood Straight Gage #14

ニップル:PhilWood Brass

※ホイールは自作の手組み

フロントタイヤ:IRC SERAC CX Tubeless MUDセンターノブ磨り減り過ぎ

リアタイヤIRC SERAC CX Tubeless X-Guard

ボトムブラケット:Chris King ThreadFit 24

クランク:Shimano FC-5700(105)

ペダル:Shimano PD-M970(XTR)

チェーンリング:Wickwerks Z-RING 38t フロントシングル仕様

カセットスプロケットShimano CS-HG81-10(SLX) 11t-32t

リアディレーラー:Shimano RD-M670(SLX) with Wolftooth Tanpan 10s

 

4年掛けて、自分の試行錯誤の塊が詰まった自転車になりました。

はっきり申し上げて、全く最新のスペックとは言い難い自転車ですが、本当に自分のために作られた、自分の自転車になってきました。いまだ全く飽きることはなく、ずっと乗り続けていたい気持ちになる大事な自転車です。いつかC2に昇格して、C2上位に食い込むようなことがあったらシリアスCXレーサーを組む気がしますが、それでも私はこの自転車にずっと乗り続けるでしょう。

決して最新ではないが、自分が「好きだ」と思える自転車に乗って得られたシクロクロスでの表彰台は格別なもので、これがあるから辞められない、辞めたくないのです。さらに今回昇格までできたのは得難い経験でした。しかしある意味で悔しかった。次は、表彰台の真ん中でC2に昇格したい。今シーズンは最終戦を残すのみとなりましたが、来シーズンへ向けて更に工夫を続けたいと思います。

 

See you next stage!!