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技術系サラリーマンの生活実験

【レースレポート】2018-2019東海シクロクロス最終戦 ワイルドネイチャープラザC3

いろんな意味で、私の今シーズンを象徴するレースでした。走力、スキル、機材、すべてがかみ合わず最も満足のいかない結果に。しかしありがたいことにシクロクロスは逃げていかないのです。挑もうとするライダー全てを受け入れる何かがそこにあります。

振るわなかった今回のレースも現実。興味がなければ心底どうでもいい話なのですが、それでも、シクロクロッサーにはそれぞれの小さなドラマがあるのです。

 

 

■事前の準備〜トレーニン

ペダリングに対する意識を意図的に変えた

去る2/11(月/祝)に「sfiDARE CRIT3.5」という練習会に参加した時の事です。日本ではマイナーなピストクリテリウムですが、104サイクルの児玉夫妻のお陰で東海圏では練習会があります。

練習会でタイムトライアルをした時に、もがいてもスピードが乗らない事について、NAGARA BICYCLE GARAGEのHASEさんから「踏み抜くペダリングのせいで脚が綺麗に回っておらず、それがブレーキになっている。」と指摘を受けました。自分のペダリングを改めてよく考えると確かにその通りでした。前から薄々気づいていたのですが、ペダリングの得手不得手が直接出るピストクリテでそれを実感し、意識改革を試みることにしました。その後すぐの56Cycleで56さんにその話をしてみると、「踏み下ろすペダリングになっているのはその通りで、自覚の領域に来たなら回すペダリングに切り替えていこう」と言われました。果たして意識的にペダリングを「回す」ように変えてみると、

「メッッッチャ辛い。」

今まで心拍175bpmで270W/20分でこなせていたところが心拍185bpmで250Wにまで低下。脚に対する疲労もこれまで外側広筋に一番疲労が残っていたのが、大腿直筋から内転筋、そして大臀筋疲労が広がるようになりました。特に3セット目は尻の表面に寒気が走るくらいです。これまではローラー台でパワーをしっかり出す意識は絶やさず頑張ってきましたが、ペダリングの質を考えるところまで至っていませんでした。そこから2週間。自転車通勤と56Cycleでのローラーで回すことを意識するようにしました。こんな短期間で成果が出るわけないのですが、来シーズンに向けて意識する項目になりました。

 

・Simworksのシクロクロスクリニックに参加した

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我が家にとってお馴染みの自転車店Circlesの商社部門であるSimworks主催の練習会です。これは前回の大野極楽寺公園の前に参加した時の写真ですが、今回もレース前日に開催してくれました。ハードなパワー系トレーニングはしませんが、地味にテクニックに効いてくる練習ができます。シクロクロスの乗車テクニックは一人でやるより人の意見を聞きながらのほうが確実に効果が出ると感じています。

 

 

■事前の準備~メンテナンス

・後輪を壊してしまった

今回のハイライトがまさにここです。メンテナンスなのに壊してしまうとは・・・

しばらくメンテナンスに時間を避けず、2/22(金)の夜にやっとタイヤをSERAC CX EDGEに交換しようとしたときのことです。私のレース用ホイールは自分で組んだ手組ホイールの初号機。下手なままあちこちいじったせいで、レースごとに振れてくるのを誤魔化し々で使ってきていました。タイヤ交換のついでに振れ取りしようとしたところ、途中でニップルをナメてしまいました。

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ニップルが歪んでしまっているのがお分かりいただけるでしょうか。

かなりのスポークテンションで張っている状態で不用意に回してしまったようで、ニップルレンチのかかりしろがゆがんでしまいました。もはやまともにニップルレンチをかけることができません。幸い自宅にはニップルの予備があるので、外して締めなおすことに。

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KNIPEXの名作ウォーターポンププライヤコブラ」でつかみニップルを外すことを試みました。

結果、

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オワタ\(^o^)/

ニップルがメゲました。

こうなったらもうどうしようもありません。翌日は前日試走に行く予定なのに、レース用の後輪を壊してしまうとは…ホイール組み愛好家としては、破壊用のスポーク切りと予備のスポークを用意しておきたいと考えるに至りました。

自宅には10年前に買ったロードバイクに最初からついていたキシリウムエキップの後輪が残っていました。私のドライブトレインは10速なのでホイールとしてはまだ使えます。チューブドでタイヤを組みつけました。

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もともと使っていたリムはVelocityのA23OC。リム幅23mmです。それに対してこのホイールはリム幅19mmと狭い。そこでブレーキワイヤは長さを調整したのですが、焦っていたせいでブレーキシュー角度を調節するのを忘れてしまいました。これが後にレースでトラブルを招くことになります。

本当は土曜日のうちにホイールを修理すべく、壊したニップルの部分だけスポークとニップルを買いなおしたのですが、時間が足りず振れを取り切れませんでした。結局諦めてこのままキシリウムエキップとSERAC CX EDGEの組み合わせで走ることに。

誰かが言っていた気がします。「大事なものは、予備を用意しておくんだ」私にとってはスペアのホイールセットですね。

 

■レース当日

AM4:00にアラームで目が覚めました。一瞬で「シクロクロス行くぞー!」とテンションが上がります。着替えて前日に車に積みきれていなかった荷物を積み、妻と息子を起こし、AM5:00に出発しました。途中のトイレ休憩込みで6:15頃に会場に到着。スタートに近い場所に車を止められました。

 

・息子のレース(CK2)

今回は今シーズン初めて息子が「シクロクロス出てみる」と言い出したので息子も出走することに。そのまま走り出すのは不安なので朝一の講習会に参加しました。

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東海シクロクロスでは、朝一の試走時間に、C1ライダーによる子供や初心者向けの講習会を実施しています。コースを試走してポイントを教えてくれるので、初心者にお勧めです。

いざレースが始まってみると、今シーズン初のレースにも関わらずしっかり走っている息子に感動しました。

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周りはジャージを着た子供たちの中一人だけ長袖Tシャツにジーンズ。コーナリングや砂地での走行は他の子についていけないのですが、シケインでの乗降車だけ異常なうまさを見せました。

 

・ウォーミングアップ

ウォーミングアップ用のローラー台を更新しました。

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MINOURAのフロントフォーク固定型ローラー台「FG220」です。とある方から適正価格で譲っていただきました。

今まで使っていたGROWTACと比べて断然軽く、セッティングが楽です。負荷装置はついていますがこれは正直間に合わせです。センターヤスリ目のタイヤでは負荷が軽すぎる印象でした。家でローラートレーニングができる環境の方はレースでのアップ専用と割り切って、自宅では高負荷のローラーを別に用意したほうが良いと感じました。築古の集合住宅に住む私は今自宅用にミノウラの新作である「LSD9200」が欲しくなっております。まだ我慢。「FG220」はいずれきっちりレビューしたいと思います。

www.minoura.jp

 

 

■実際のレース

今回のレースにはテーマがありました。それは

「前走者にぶつからない」

というもの。

前回のワイルドネイチャープラザでは前走者にぶつかりまくってしまい大変ご迷惑をおかけしました。タイムも落ちるしいいことは何もありません。後列からスタートならスタートで遅れても落ち着いて後ろから通れそうなところを探して進もうと考えました。

 

エントリーリストが確定してから確認すると、順位は低いながらも地道に参戦し続けてきたせいで、今回ボディNo.はなんと「8」。しかもDNSの方がいたためフロントローに並べました。うまくスタートすれば前の人にぶつかる可能性が低くなります。並べたのは右から2番目。最終コーナーの砂が掘れており、下手にスタートすると過去にやらかした通り前転の恐れがあります。

tkcx3110.hatenablog.com

気温も上がってきて全く寒くなかったので、比較的リラックスしてホイッスルを待てました。

ホイッスルと同時にスタート。少し出遅れましたがそこまで悪くないスタートでした。第1コーナーに向けてスピードを乗せて行き、なんとか7番手で第1コーナーに侵入しそうという時に、前走者の集団がインに切り込んできました。ふつうに考えたら当然なのですが、その時思ったよりスピードが出てしまっていた私はブレーキも間に合わず前走者のOTAKUHOUSEにぶつかってしまいました。早速テーマを破ってしまう体たらく、後ろは大渋滞です。本当に申し訳ない。フロントローで熱くなりすぎてしまったのでした。速やかに降車して走りだそうとしたら自転車が持ち上がらない。なんとOTAKUHOUSEの後輪のスポークの間に私の左側の下ハンが潜り込んでいます。焦っているせいでうまく取れない。周りはランに切り替えた人々が巻き起こす砂埃。

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Photo by Kikuzo まさに困惑する瞬間

やっとの事でハンドルを抜き取り、走り出したOTAKUHOUSEを見届けて自分も自転車を押して走り出しましたが、何か異常に自転車が重い。余裕がなくて人物を確認できませんでしたが後方からどなたかの「齋藤さん後輪ロックしてる!」の声が。 

後輪を確認すると左側のブレーキシューがリムのブレーキ面の下に潜り込んでいました。

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こんな感じでブレーキ面の下にシューが潜り込んでいました。

再現すると上の写真のような状態でした。今回急遽後輪を変えた時にワイヤ長は調整していたのですが、ブレーキシューの角度まで細かく調整できていませんでした。恐らく第1コーナーで落車した際に一瞬ホイールが歪みその時にシューが潜り込んだのでしょう。

見た瞬間は「???」でした。恐らく放心というやつ。やっとの事で状態が理解できた私はブレーキのアームを掴み力技で元に戻しました。シューの角度がさらに変わってしまったけど致し方なし。集団はすでにはるか先に。「また最下位スタートか…」数年前のスタート直後の前転落車を思い出します。あの時は諦めもついて気を取直しましたが、今回は気持ちがポッキリ折れる音が聞こえました。しかしまだレースは始まったばかり。自転車を押して走り出しました。

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Photo by Kikuzo 孤独な再スタート。前には誰もいない。

第4コーナーでやっと集団の最後尾に追いつきました。この時点で心臓がはっきり苦しい。集団から離されないようになんとか走ります。当然なのですが、集団になると試走のように思った通りに走れない。今度はぶつからないように慎重に走ります。苦しい上に気持ちが盛り上がらない状態でさらに苦しくなってきます。コーナーも失敗しまくり。走りはガタガタです。

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Photo by Kikuzo やっと集団に追いつく。この時点で心拍はガタガタ。

途中で関西から遠征してきているHARIMAXを発見。「追い抜かそう」やっと火がつきました。「捕まえたぞー」と声を掛けてパス。やっと気持ちが元気になってきました。途中で先日の大野極楽寺公園公園のC4を1位で上がってきたオーニシさんも追い抜きます。

 

2周目の第4コーナーの手前です。前走者がバランスを崩したのか降車しそうな気配、今度こそぶつかりたくなかった私はブレーキングして降車を試みましたが、集中力が切れてきたのかブレーキを失敗、ハンドルを右に切る形でバランスを崩した私。

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Photo by Kikuzo 「うぉっ、ヤッベ」

そのまま前輪が砂に突き刺さりました。

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Photo by Kikuzo 意図してジャックナイフを決めているワケではない。

この瞬間を捉えていたKikuzo氏には見事としか言いようがありません。このまま前転してコースアウトしたくなかったので必死でバランスを取り、なんとか着地。再び降車して自転車を押します。

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Photo by Youkan_0045 乗れるはずの下りも乗れない

もう走りはガタガタ、心拍は限界、どんどん集中力が落ちます。しかし少しでも来シーズンに活かすために残りの時間も限界ながら手は抜きたくない。必死の形相で自転車を押していると「ブログ読んでるよ!」の声援も。有難い事です。が、返事をする余裕全く無し。申し訳ありません。

 

最終のゾンビ坂でFAT Bikeで駆け上がってきたM2のHASEさんに捉えられます。

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Photo by つっつん HASEさんが迫る

砂の上を走るのはFATの方が有利と言えども、登りの押しはFATの方が不利なはず。しかし追い抜かされるしかないくらいヘバっていました。体重が重くランのダメージが大きすぎです。下りに入るとあっという間に差を開けられました。HASEさんが残した轍を頼りに最後の砂を走りますが、また砂に沈んでしまい押すしかない状態に。もう足も腰も限界。ワイルドネイチャープラザで好成績を出したいなら、ランの走力向上も課題ですね。

 

最後のシケインを越えたあとは後ろを振り返る余裕もありませんでした。

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Photo by Kikuzo

ゴールめがけてモガくしかなかった。第3戦と違うのはビブの肩紐でゼッケンが隠れていない事だけ。孤独なゴールでした。テーマは達成できず、パッとしない順位でかなり凹んでしまいました。

 

■レース後

すぐに妻の走るCL2が始まるのでジャケットだけ着て応援に行きます。

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 Photo by kinu 自転車と同じブランドのTシャツなんだぜ

今回妻はCL2で一人だけTシャツにジーンズのスタイル。担ぎ方はなんか変なのですが、砂の上の乗車率は異常に高く、「こんなとこ乗って行けるのか…」と驚きました。逆にランは異常に遅いので順位には繋がりませんでしたが、砂を走れたのは相当楽しかったようです。凹んでいる私とは対照的でした。

 

妻が走り終わった後にBUCYO COFFEEで食事です。

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今シーズン最後のクロス会場でのランチは無念の味でした。

 

■リザルト

カテゴリ:C3

順位:37/57位(64%)

タイム:32:50.1(+3:36)

Lap1:11:02.1

Lap2:10:53.0 

Lap3:10:55.0

 

ラップタイムを確認すると、あれほど派手にトラブって永遠とも言える虚無感を味わった1周目と2周目で11秒しか差がありません。1周目で追いつくために出し切ってしまい、2周目以降はヘバってペース一定になったという事でしょうか。それにしてもC3の1周目の最速タイムは9:38.0、私の最速タイムと1:15も差があります。もともと全く勝ち目が無いという事ですね…

 

■まとめ

・前走者にぶつからないように降車する判断が遅い。

・大切なもの(特にホイールセット)は予備を用意する。 

・まだC2に上がる走力はバイク、ラン共に無い。トレーニングする。

 

さて、今私の手元には当日出店していたSimworksブースで破格で売っていた「A.Dugast Small Bird Neoplane」があります。

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私はチューブラーホイールを持っていません。これから来シーズンに向けてリムの選定から機材の準備を始めていきます。私の中では色々あって準備不足だった2018-2019シーズンに対して、2019-2020シーズンは身体、機材共にアップグレードして挑みたいです。

満足いかない結果だったとしても、1シーズンを走れた幸福を喜びたいです。また8カ月もしたら次のシーズンがやってくるのですから。

" #2019-2020シーズンはすでに始まっている "

See you next season!