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技術系サラリーマンの生活実験

【自転車実験室】15mmスルーのハブで26インチのMTB用前輪を組みました

さて、私の手元に1つのサスペンションフォークがあります。

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チームメイトでありライバルのS君から「26インチのFOXのフォークだよ」と提供されたものなのですが、黒いフォークレッグに白いクラウン。そして1-1/8のコラム。こんな仕様はFOX純正には存在しません。これはS君によって何個イチにされたかよくわからん(後程本人より3個イチにした、と申告あり)魔改造されたサスペンションフォークで、オーバーホール(魔改造?)済みであります。彼の腕ならまぁ問題なく使えるでしょう。しかしこのフォーク、15mmスルーなのです。私のMTBは確かに26インチなのですが、15mmスルーの前輪を持っていません。悩みましたが、ちょうど元々着けていたRockShoksのフォークのリモートの部品がどこかへ飛んで行ってしまい困っていたところですし、私はこれを受け止め15mmスルーのハブで26インチホイールを組む事にしました。

フォークからホイールが生えるこの感覚、帰ってこれない所にたどり着いてしまった気がします。

 

■リムはWTB

世のMTBの潮流は29erか650b。今時都合のいい26インチのリムはなかなかありません。しかし馴染みの自転車店Circlesに、WTBの26インチリムが残ってました。

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WTB のST i23です。

お値段¥6,700(税抜き)。チューブレスレディリムとしては超お手ごろ価格。ほぼほぼ消去法でこれに決定。現在は廃盤のようです。

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リムの重量を測ると493g、公称526gの-6.3%です。私の中ではリムの重量公差は±10%以内なら許容範囲。ニップル穴にハトメ付きでこれは軽い印象です。

 

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引用:wtb.com

WTBのWebサイトを確認すると、いかにも頑丈そうな断面です。

更に注目したいのが赤丸で囲ったココ!

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この、チューブレスタイヤビードが乗っかる部分に、外れ止めの盛り上がりがあるのが好感度が高いのです。これまでシクロクロスでVelocityのチューブレスレディリムを愛用してきましたが、 この外れ止めが無いせいか、低圧でビードが落ちてしまう現象に何回か出くわしました。このリムではその不安は解消されそうです。

 

■スポーク長計算

今回は、前から気になっていたスポークを使うことにしました。日本のスポークメーカである星工業の新作スポーク「Wing Star」です。

www.hoshispoke.com

今どきURLがだいぶイケていませんが、ツッコミたい所をグッと抑えて無視します。

私が屋内で写真を取ると色味がよくわからなかったのですが、明るいところで見ると星スポークのノーマル品シルバーと比較して鈍い真鍮のような色合いです。何やらスポークに特殊加工をして破断強度や経年でのヘタリを軽減しているとのこと。何らか皮膜ができる処理のようですが、どの手法でコーティングしているのか気になります。色味でいうとFOXのフォークのようにカシマコートのような色合いに見えます。

 
スポーク長次第で、ホイールを組み終わった時にニップルからスポークが飛び出す量が決まります。

私の理想は

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このくらい。スポークの先端がニップルのドライバー溝の面にくるくらいです。いざ解体するとなった時に工具を掛けやすいためです。スポーク長がこれぐらいになるように計算を試みます。

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自分で実測してみると、ERDは544mmでした。これに基づいてハブの寸法からスポーク長を計算すると、

ブレーキロータ側4本組: 257mm

反ブレーキロータ側6本組:266mm

となりました。いわゆる「ロクヨン組み」です。さらにこれまでの経験から補正値として-2mmした値をスポーク長とします。星スポークは組み上げた時の延びがDT Swissのスポークと比べると長い印象です。この件についてはまた別の機会に論じたいと思います。

さて、-2mmしたスポーク長が決定したところでWTBのWebサイトを確認するとERDは540mmとあります。

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引用:wtb.com

これを基に補正値抜きで計算すると、先程の補正値ありの計算結果と同じになります。

WTBは補正値まで考慮したERDを記載しているのでしょうか。悩ましいところですがものは試しで結論、

ブレーキロータ側4本組: 255mm

反ブレーキロータ側6本組:264mm

としました。早速Circlesに注文です。

 

■組み立て

今回ハブは自身初の15mmスルー、グレードはXT "HB-M8010"としました。

さて、私は15mmスルーのハブでホイールを組んだことがありません。QR用の振れ取り台でどうやってハブを支持するかというと、振れ取り台にアダプタが付いていました。

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私が使っている振れ取り台は、台湾PWTの物で、パークツールのパクリ構造のものです。安いがまともな作りです。

PWT 振れ取り台

PWT 振れ取り台

 

 

取り付けるとこうなります。

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先端の皿状の部分がスルーアクスル ハブの軸にピッタリ。行けそうです。

 

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組めました。ロクヨンJIS組、WingStar#14、青アルミニップルです。

 

さて、組み上がってからのニップルからのスポーク突き出しを確認します。

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理想より1mmは長い感じです。実測ERDに基づいた計算結果からは-3mm、WTBのデータに基づいた結果からは-1mm位、と言うことでしょうか。まだ補正値については検討が必要そうです。

 

さて、組み上がったのでリムテープを巻きます。

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巻いたらはんだこてで穴を開けてバルブを通します。

 

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これまでの反省からバルブ固定ナットに外れ止めとして「ロックタイト222」を塗布。

 

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塗布できました。ちょっと塗りすぎな気がしますが、いずれ拭き取るのでこれくらいにします。

 

■CultureClubで組み付け

15mmスルーのハブのブレーキディスクローターの固定は、センターロックには間違いないのですが、QR版のハブと違いロックリングはBB用でした。

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私はBB用工具を持っていません。フォークの交換もすることですし、馴染みのCultureClubに持ち込んで作業することにしました。

 

今回の作業工程は、

1.旧フォーク取り外し

2.旧フォークから新フォークへ下玉押し移植

3.新フォーク組み付け

4.旧ホイールから新ホイールへタイヤとディスクロータ移植

5.微調整

の5工程。1.5hと見積もりました。

 

もらったフォークは、コラム長が前に使っていたフォークより短く、そのままでは使えないため薄いヘッドクラウンを注文しました。

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コラムが短い。

 

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左がもともとついていたヘッドクラウン、右が新しく買ったヘッドクラウン、どちらもFSAです。厚みが全然違いますが、これしか在庫がなかったんや…¥1,500です。よく見ると元々付いていた分厚い方は、ヘッドの上玉押しにツライチになる作りです。このままでは使えないのでスペーサーを間に入れます。

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 薄いコラムキャップに5mmのスペーサを入れ、ステムを天地返ししてハンドル高さを稼ぎます。今までより少しハンドルポジションが下がりましたが、乗ってみると違和感無い印象です。

 

作業時間ピッタリ1.5hで無事組み上がりました。組み上がってみると、印象がずいぶん変わりました。

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ビフォー

 

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アフター

 

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ステム周り拡大ビフォー

 

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ステム周り拡大アフター

この通りハンドルポジションが下がりましたが、思ったより違和感がなかったです。

 

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もともとハンドルまわりは白ステムに青ハンドルだったのですが、フォーククラウンとステムが白、フォークのキャップ類が青でハンドル、ニップルも青、カシマコートに鈍い真鍮色のスポークで思った以上にかっちょいい感じになりました。私の撮影能力の低さが腹立たしい。完全に自己満足の世界なのですが。

 

こんなに雰囲気が変わるとなると、後輪も組み立てたいところです。「多分後輪も組みたくなるやろ」と思ってリムはもう一本抑えてあるので、後はハブとスポークとニップルです。来月のお小遣いで購入したいところです。

しばらくいろいろあってホイールが組めていなかったのですが、久しぶりに楽しい自転車イジリになりました。しかし星の「WingStar」カッコエエなぁ。これ以降のホイール組でも使いたくなりました。自身初の15mmスルーの前輪。早くトレイルで試してみたいです!