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技術系サラリーマンの生活実験

【レースレポート】2022年9月SDA王滝42kmグラベル

7月に新しくグラベルロードを組んでから,毎週バンバン走りたかったのに思ったように時間がとれず,少しモヤモヤを抱えていました。そんな折に浜松の盟友がSDA王滝42kmグラベル部門に出走すると知り,私も走るしかないと決めてエントリーしました。私自身はSDA王滝の経験は全くなく,経験のある方と一緒にグラベルを走りながら話すと「あれは修行」「特に楽しいわけではない」「出なくても別に大丈夫」とかネガティブな意見しか聞かないのですが,そういう人に限って過去10回以上参戦していたりと,ある意味言動不一致な状況がずっと気になっていました。シクロクロスのようなハードだけど楽しみを見出してしまうとやめられない何かがあるはず。それを見つけに私は王滝村に向かうことにしました。各種の事象を鑑み3年ぶりに開催されたSDA王滝は,結構無理してスケジュール調整して参加したのですが,その価値のあるレースでした。すでに来年の参戦をイメージしています。

 

■装備品

初のレースですので悩みました。直近の天気予報は雨だったため,レインコートは上下運びたい。王滝参戦記録のブログを読み漁ると,バックパックを使用される方が多いようです。

結果,以下の出で立ちになりました。

Photo by テンチョー

①自転車の装備

(1)ボトル2本

(2)フロントライト,リアライト

(3)タイヤはグラベルキングSK 43c

 チューブレス状態,タイヤインサートなし,空気圧前後とも2.3bar

(4)大き目のサドルバッグ

 チューブ2本,Co2ボンベ3本,Co2インフレータ,チューブレス用プラグ,

タイヤブート,工具,タイヤレバー,小型のはさみ,タイラップ

 

バックパックの装備

正直自転車に乗る時にバックパックを背負うのはあまり好きではないのですが,レインコートをフレームバッグに詰めるのもイマイチと感じ,Salomonのトレイルラン用を購入しました。

(1)バックパックはSalomonの「Active Skin 8L」

 付属のソフトフラスクに水を充填

(2)レインコート上下

(3)大き目の携帯ポンプ

 Topeakのロードモーフ

(3)補給食

 アミノバイタルショット赤×2本,スポーツようかんチョコ×2本,かし原塩ようかん×4本

(4)貴重品

 

結果,このActive Skin 8Lは大正解でした。後述しますがレース中の泥はねであっという間にボトルケージのボトルは泥だらけになり,飲み口も泥汚れで飲む気になりませんでした。バックパックに付属していたソフトフラスコから水を補充すれば持ったので,王滝のような長時間のオフロードではバックパックで水を運ぶのがベストと感じました。次回参戦時にはボトルケージは外します。

 

■レース前日

前日に受付と車検を済ませるため,前日入りしました。平日に準備が全くできなかったので9/17朝起きてから準備開始,出発してから中津川のルビットタウンで食料品やらを購入し,到着したのは15:00頃でした。受付を済ませ,車検です。

車検はあっさり終わりました。「きれいな自転車ですね」とお褒めの言葉をいただきましたが,「新車です!!」と答えると「新車で王滝!?」と驚かれました。アドベンチャーするために組んだ自転車ですので走って泥だらけ,傷だらけになるのは本望です。

 

受付と車検を終わらせたら風呂です。風呂に入らないと気が済まない。しかし王滝村から入浴施設はまぁまぁ離れています。正直詳しくないので,教えてもらった「せせらぎの四季」に行きました。

kiso-spa.com

行ってみるとキャンプに行く途中に何度も通りかかっているけど結局行ったことがなかった日帰り温泉でした。入ってみると「金泉」です。酸性の源泉に錆びた鉄分が溶け出し赤茶色に濁ったそのお湯は,有馬温泉を有する兵庫県南部出身の私には安心感が湧く温泉です。時間は早かったのですが,同行していた友人の勧めで併設のお食事処で夕食を取ることにしました。彼はもともと参加予定ではなかったのですが,私の誘いで参加を決めた犠牲者です。

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山賊焼き定食¥1,000(税込み)です。衣にしっかり味がついていて,食べ応えがありました。「あんまりお腹空いてないな」と思ったのですが結局ペロリでした。

 

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風呂も夕食も終えて駐車場に戻りました。キャンプ可能な大型用駐車場に陣取っていた浜松のグリーンコグのサイトにお邪魔して,適当にビールを飲みカードゲームを楽しみました。

車中泊が可能になったことで前夜祭感があり,充実した前日になりました。地域の旅館を利用することも必要だと思うのですが,レース前日にキャンプで前夜祭感があるのもよいと思います。来年もキャンプインの選択肢があればよいな,と思いました。カードゲームを楽しんだ21:30には就寝。普段はこんなに早く眠りに付けないので気分良かったです。

 

■レース

雨予報だったのですが綺麗に晴れました。

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私は42km部門に参戦なので8:00出走ですが,100km部門に出走の方々は4:30整列開始,6:00出走です。思ったより気温が高かったので暑さで3:00過ぎに目が覚めたのですが,すでに準備を始めている方々のライトがチラチラしていました。王滝の朝は忙しい。

 

6:00スタートの100km組を見送ります。まずは神主の祝詞から始まり,御嶽山に向かって二礼二拍手一拝で締めます。お祈りで始まるスタートが私には新鮮ですが,「お山」に入らせていただいてレースをするからには必須と感じました。シクロクロッサーの私はカウベルを持ってスタート地点に観戦に行っていたのですが,厳かな雰囲気からカウベルはまばらにしか鳴らせませんでした。さて100km組を見送ってから42km組のスタート8:00まで2時間あります。お湯だけ沸かしてインスタントの天ぷらそばとコーヒーをいただきます。本当はコーヒーはミルを持ってきて挽くところから始めたかったのですが,準備の時間がなかったのでドリップパックです。

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朝食を食べてから,昨日お世話になったグリーンコグの方々と7:00に集合して連れ立ってスタート地点まで自走です。
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駐車場の松原スポーツ公園からスタート地点の滝越地区まで約10kmあります。これが思ったより登らせるのでしっかりアップになりました。ここまではサイクリング感覚。7:45くらいにスタート地点に到着すると,すでに42km部門に参加の方々はしっかり集合していました。どおりで7:00の駐車場が静かなはずです。出遅れたので最後尾スタートになりました。

 

MTB42kmのエントリーは286名,グラベル42kmのエントリーは36名。都合300人近くがスタートラインに集合していることになります。

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シクロクロスが基本の私にとってはこの人数でコースインは初めてです。

 

8:00になったらホーンの音が鳴り響き,一斉に出走開始です。普段林道を走る時はこんな人数で走らないので,林道で隙間なくMTBが密集している状態が新鮮でした。写真を撮る余裕はありません。最後尾スタートだったので少しずつ隙間を見つけて前に進みますが,ひたすら登りですのでそんなにペース上がりません。

 

www.powersports.co.jp

上記にコースのリンクを貼りましたが,コースは2周回で半分は登り,半分は下りです。登りの途中で下りが一服あるのですが,ここで前後リジッドのグラベルロードの不利を味わいます。登りで抜いたフルサスのMTBがすいすい下っていく中で,濡れた落ち葉と石の路面に恐れをなし,歩くようなスピードでしか下れません。グラベルロードでダートを下る場合,腰を浮かせて足と腕のすべてを使って振動をいなす必要があり,フルサスバイクと比較すると足と腕への負担が激しいのです。命からがら下って登り返し。普段は苦手な登りがありがたく感じます。

 

レース中1周目の下りで,「ここは」というスポットを見つけたので写真を撮りました。撮影中に何人も抜かれたけど気にしない。写真を撮る体力が残っていたのはここだけでした。f:id:tkcx3110:20220919191045j:image

ボトルの水が全然減っていないのがお分かりいただけるでしょうか。バックパックに付属していたフラスコが使いやすく,またガレた登りではボトルに手が伸ばせず飲めませんでした。

2周目に突入すると登りが本当にきつく,どんどんペースが落ちます。体力もそうなのですが,何より手のひらが痛いのです。下りの振動で上半身が飛ばないようにブラケットをしっかり握っていたのですが,そのせいで親指の付け根にダメージが残り,グローブ越しに擦りむいたような痛みが走ります。ブレーキレバーを握るたびに痛みが走る。下ハンを握ると握りこむポイントが違うせいで痛みが少し緩和されました。ここからは下ハンを握って登り,首が痛くなってきたらブラケット,下りは常時下ハンの流れになりました。まだポジションが決まり切っていない私のグラベルロード,しゃくりすぎたブラケットのせいで下ハンを握るとブレーキレバーが遠い。足腰の痛みもありますが,なにより手のひらの痛みとの戦いです。同じくグラベルロードで出走している方と会話しながら登りましたが,「下りがキツい」が共通の意見でした。前後2.3barで走りましたが,衝撃をいなす意味でも空気圧はもう少し下げてもよかった気がしています。

何とか登っていくと1周目よりも登りで押して歩いている方を多く見かけます。路肩でパンク修理中の方も多く見かけるようになりました。100km組との合流地点で,明らかに私より走れるシュッとした雰囲気の方がマーシャルにリタイアを告げていたりします。バイクをよく見るとハンドルバーにタイヤインサートがグルグル巻きにしてあり,心中お察しというところですが距離が短いと言ってもこちらもそんなに余裕はありません。私もかなりラインを選んだつもりですが,パンクしなかったのは運が良かったと思います。でもコース後半の半分の下りは路面が安定していて舗装路区間もあり,スピードが乗せられて本当に楽しかったです。出し切ったのかゆっくり下っている方を発見したので,しっかり踏んで追い越しました。表彰に絡めないといってもレースですから。しかし手の親指の付け根は激しい痛みを訴えていました。上半身が吹き飛ばないようにブラケット下側に小指と薬指をしっかりかけて,人差し指と中指でブレーキレバーを握り,親指は添えるだけ。走りながら乗り方が進化しました。

 

レースが終わってゴール時点の自転車。ダウンチューブとボトルにびっしり泥がついています。
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チェーンリング側。
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泥のシクロクロスほどではないですがまぁまぁしっかり泥がついています。

 

ボトルケージに装備したボトルには,このとおり飲み口にも泥が付着するので正直飲む気にはなれませんでした。泥を一緒に飲むことでお腹を下すわけにもいかず,次回以降はボトルを外す決意ができました。
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ゴール地点となったエイドステーションでは,ゴールした友人どうしで労う姿があちこちで見受けられました。チャリダーの取材が入っていたこともありにぎやかです。グリーンコグの仲間たちが全員ゴールするのを待って,昼食に向かいました。スタート/ゴール地点のとなった滝越地区には「水交園」という飲食店があります。着の身着のまま向かいました。腹ペコだったので。

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二八蕎麦¥1,200と味噌串焼き¥600,どちらも税込みです。空腹感とレースで消費したミネラル分を補う上で最高でした。

 

水交園で食事後,いざ駐車場に戻るかといったところで激しい雨が降ってきました。
f:id:tkcx3110:20220919191032j:imageレース中にこの雨だと心が折れていた可能性が高いし,何より下りが怖くて完走できなかった可能性が高いです。本当にレース中快晴で助かりました。ツイてる!

 

レースの結果は9位。タイムは3h04m22sでした。速報では20名の記録しかなかったため,DNSもしくはDNFが16名だったことになります。レースでシングルリザルトは久しぶりです。しかし1位の方のタイムは2h20m台。1周で20分以上も差がある。レベルが全然違いました・・・

 

■帰宅前の風呂

私は自転車に乗ったらすぐに風呂に入りたいタイプです。レース後もすぐに風呂に入りたい。帰りに寄ったのはこちらです。

www.kiso.ne.jp

 

旅館自体はなんというか,「実家感」というんでしょうか。旅館のロケーションは最強と言える場所なんですがなんというか「実家感」。これは実際に行って確かめていただきたいと思います。日帰り入浴用の駐車場が狭いのは難点ですが。

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ロケーション最強の理由。

旅館の一番奥に内湯の温泉があります。こちらも前日に行った「せせらぎの四季」と同じく「金泉」です。木曽福島周辺の天然温泉には「金泉」が多いのでしょうか。「棧温泉」の源泉は冷泉で,浴室にはボイラーで加熱した「金泉」と源泉そのままの水風呂があります。これを交互に入ると適切なサウナ感があって調子いい。初めて訪れた「棧温泉」はレース後にバッチリでした。たまたま入浴者が友人たちだけだったため,レース談義に花が咲き,大変充実した入浴になりました。

 

■次回の王滝に備えて

初参加のSDA王滝は,風呂から始まり風呂に終わって大変充実した結果になりました。浜松のグリーンコグとその仲間たちのおかげで大変楽しい時間が過ごせましたし,久しぶりのシングルリザルトでなかなかの満足感があります。限界まで出し切った感がありますが,100kmでしか見れない景色があると思われるので,次回は100kmに参戦してみたいと考えています。次回までの教訓としては,

(1)ボトルケージは使わず,ハイドレーションバッグで水分を賄う。

(2)トレイルランニングバックパックで工具以外の自分に必要な装備はすべて運べる。

(3)宿を取らない場合はレース前後の温泉のリサーチが必要。

といったところでしょうか。

 

今回初参戦で感じたことは,普段は走れない特別なコースだということです。自宅近郊の荒れた県道とはわけが違う路面が長く続くのは,ここでしか味わえない体験だと思います。結局何回も参戦している人たちは,その特別な何かを求めて王滝を目指していたのでしょう。私もそういう何かを見つけた気がします。走り終わった直後は私もお腹いっぱいでしたが,今は「もう一回くらい走っておきたいな」の気持ちが出てきているので。来年無事開催されることを祈りつつ,そろそろシクロクロスのシーズンインです。自転車含めて何も準備できていないので,王滝の余韻に浸りつつ準備を進めたいと思います。