【書評】阪急電車 著:有川 浩
有川さん、「ニシキタ」やない、「キタグチ」や。
先日、以下の記事を読みました。
内容は全く同意で、楽しみを作ってくれる人にお金を払う事はいい事だと常日頃考えています。
有川浩さんの著書は実はまだ読んだ事がなかったのですが、妻から誕生日に図書カードを貰ったので、早速「新刊書店」で買って読んでみました。
阪急電車 (幻冬舎文庫) | 有川 浩 | 本 | Amazon.co.jp
理由があって、タイトルだけで選びました。映画化されているので存在は知っていましたが、私がこそばゆくなりそうな恋愛ものっぽかったので避けておりました。
読み始めて4ページ目で私をイラッとさせる文面が!その時の気持ちがこのエントリ先頭の1行です。
私は兵庫県西宮市の出身で、実家の最寄り駅が「西宮北口」、母方の実家の最寄り駅が「阪神国道」というバリバリの阪急今津線少年でありました。データが無いのが大変申し訳ないのですが、私の周りの阪急今津線人の8割は、「西宮北口」の事を「キタグチ」と略すのであります。宮っ子(西宮市民:地域情報誌のタイトルでもある)にとっては、ただの「キタグチ」であり、周辺地域の人にとっては「西宮の」「西宮北口駅」なので「西北(ニシキタ)」となるのです。
恐ろしく偏見に満ちた思想なのですが、そのせいで読み進めて「西北」という単語が出てくるたびにイライラしながら読みました。
西宮市は議員の問題とか、最近何かと社会問題を発生させているし、私のエントリから西宮市民がいかに偏見に満ちた存在であるかがバレてしまうし、何か起きてテレビでニュースになる度に「また西宮市か」と私自身も思ってしまう位ですが、北に六甲山、南は海に近く、山と海どちらのレジャーも楽しめる上、大阪、神戸ともに電車20分程度で出られる大変便利な街です。住みやすいです。
物語は端的に申しますと、いわゆる「エエ話」です。群像劇となっており、チェーンが動力を伝えるように、人間関係が物語を作っていきます。ちょっと登場人物が眩しすぎる気もしますが、甘酸っぱいストーリーが楽しみたい方には持って来いでしょう。阪急今津線沿線を知る私には情景が浮かびやすく、それにしてもよく取材されているなと関心しました。
私は映画は見ないことにしました。映像化されると体がこそばゆくなりそうなことは間違いなさそうです。
あとがきまで読んで、著者の有川さんが文庫版出版時に今津線沿線在住であることがわかり、「ニシキタ」と「キタグチ」の呼び方があることに言及されていて溜飲が下がりました。情景の細かさにも納得です。著者の顔は知りませんが、ひょっとすると帰省の際にどこかですれ違っていたかもしれませんね。
有川浩さん、今後も著書を読んでみようと思います。