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技術系サラリーマンの生活実験

【レースレポート】IRC TIRE 90th Anniversary Cup:C4A

2週間続く長雨でまともに練習できないまま、その日はやってきました。東海シクロクロス第1戦、IRC TIRE 90th Annivesary Cupに参戦してきました。

www.irctire90thanniversarycup.com

昨シーズンの東海シクロクロスの最終戦から使い始めたIRCのチューブレスCXタイヤ。練習中のリム打ちでも今までパンクせず、しっかり足下を支えてくれていて、クリンチャーの時にたくさんやらかしていたパンクの不安が減りました。乗るのが下手な分機材は大事ですね。そんなIRC主催のイベント。ましてやシクロクロスとなれば参戦しない訳には行きません。

 

事前情報から平坦コースというのはわかっていましたが、前日までの雨で芝区間が完全に泥区間になってしまうという、乗車テクニックの差がはっきりするレースとなりました。

 

昨シーズンの最終戦のC4で3位だった私は、C4AのゼッケンNo.1!シクロクロスでのスタートは重要なので、フロントローには並びたいわけですが、それにしてもNo.1て。恥ずかしいレースは出来ない。凄い緊張感です。

スタートリストが発表された時点で今回の第1目標は決まりました。

「ホールショット」

です。

 

■第1目標:ホールショット

ホールショットをキメるにはどうしたらよいか。フロントローですので、前を気にぜずいかにスムーズにスタートして、スピードを乗せるかにかかっています。スムーズなスタートのため、練習したのがスタート時の「姿勢」です。

 

昨シーズンの関西シクロクロスのマキノ(UCI)の前から来日したChrisKing のワークスライダー、Josh Kelleyに教えてもらった事を思い出しました。各種実験してみた結果、私の場合はクランク位置を2時、尻を少し後ろに引き気味の前傾でスタートすると、トラクションをかけてスタートし、左足のクリートキャッチも比較的スムーズである事がわかりました。

 スタート時のギア比は路面に合わせて変える必要がありますが、姿勢はほぼこれで問題なさそうでした。

 

そして本番です。スターティンググリッドに入ると、いつもと視界が違います。前に誰もいない!すでに何レースか行われているため、グリッドは泥でぬかるんでいます。グリッド内に残っている僅かな芝の上に後輪を乗せ、スタート時のスリップを防ぎました。ギア比は36/19に合わせて待機。号砲に注意してスタート。猛然とクランクを回しました。

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Photo by Kikuzo

前に出れてる...!

 

MCの声でいいスタートが切れた事が分かりました。第1コーナーまでぬかるみが2箇所程ありましたが、あまりタイヤも取られずに進めました。写真が無いのと振り返る余裕が無かったので、正直ホールショットだったかはわからないのですが、視界に誰もいない状態で第1コーナーに進入することができました。ですが、少しオーバースピードでした。ブレーキが遅れてしまい、脱出速度を稼げずに曲がることになりました。ホールショットを狙うなら、その後の脱出速度まで考えた組み立てが必要でした。

 

■第2目標:上手い人の走りを参考にする

シクロクロスで上手い人、と言えば何と言ってもC1ライダーの皆さんです。

今回は朝イチのレースがC1という、自分が走る前にC1ライダーの走りが観察できるまたとないチャンスでした。一般であっても申請すればコースを横断して写真とビデオを取っても良いとのことでしたので、迷わず申請しました。

息子と一緒なので長時間ビデオ撮影にかまけているわけには行かず、要所にカメラを設置して録画、回収して移動を繰り返しました。

特に参考になったのがこの2箇所。

1箇所目がキャンバーセクションの進入から脱出です。

試走のときに下りは怖いと感じていたので、コース右端を下っているのを参考に走りました。段差が潜んでいたのでパンクが怖かったですが、IRCチューブレスタイヤはパンクせず、スピードを乗せて下ることができました。

 

2箇所目が泥区間のコーナーです。

しっかりとインベタで走っています。

自分で走るとこのライン取りは難しいのがわかりましたが、この泥ではアウトでもインでもスピードが変わらないので、インベタで走ると走行距離が短くなり、速いということがよくわかりました。また、フロントタイヤがしっかり向きを変えています。私はバランスを崩すのが怖くてハンドルを上手く切れませんでした。でも、何回かはトレースできたので、大いに参考になりました。

 

反省としては、自分が走る時にビデオをセットできなかった事です。これで比較をしていたら、もっと得るものは大きかったでしょう。次回は比較検証をしてみたいと思います。

 

■第3目標:ペースを保つ

All-Cityライダー腰山氏のコラムで、気になっていたエントリがあります。

www.cycloch.net

 「なるべく出力を平均化させて走る」というのは、個人的にはピンと来るものがありました。今までは離されるとがむしゃらに追いつこうとしてしまい、足が売り切れる場合が多かった印象です。今回は自分の中で85%〜90%位の出力を保ち、最後で使い切るイメージで走る事にしました。

実際にはどうだったのでしょうか。

Stravaの記録では、2周目が7:25、4週目が7:27でほぼ同じタイムです。速くはありませんが、へばってきている最終周でタイムが落ちず、ゴール後は出し切った感があったので、狙いは悪くなかったのではないかと感じています。

レース中は常に苦悶の表情の私ですが、今回頭の中は意外と冷静でした。

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Photo by Kikuzo 

こんな表情ですが今までより頭が回るようになってきました。後ろにいる方には最後に抜かされ追いつけなかった...        

 ペースを保つためにコース内に自分でセクションを決めて、その間のタイムを考えながら走りました。泥区間で周回ごとにペースが落ちるのは目に見えていたので、それ以外の区間で少しでもペースを上げられるように配分しました。抜かされ追いつけず、心理的には苦しかったのですが、今はこれが実力なんだと自分に言い聞かせて走りました。今後の課題は、まず30分で使い切る出力で、走れる距離を伸ばして行くことだと感じました。

 

■まとめ

リザルト

出走:C4A

順位:6/31位(19%)

タイム:29:36(+1:37) ←初めて30分切りました!

 

・ホールショットを狙うなら、それを想定した試走が必要。

・上手い人の走りはいつでも参考になる。よく観察する。

・自分のペース配分を考える。焦りすぎない。

 

開催が待ち遠しかった東海シクロクロス。運営に感謝して今年もめいいっぱい楽しみたいと思います!

【レジャースポット】川湯温泉に行ってきた

妻の実家のある和歌山市から車で2時間程度、和歌山県田辺市にある川湯温泉に日帰りで行ってきました。楽しかったのですが、妻が幼少期に一度行ったきりで、ほぼ初めての場所で何かと準備不足。来年もまた来たくなったので、忘備録を残したいと思います。

 

■アクセス

和歌山駅からだと、阪和道和歌山ICから南下、上富田ICで降りて国道42号を経由し、後は国道311号をひた走るのみです。迷う要素はゼロでした。

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阪和道は途中から1車線になるので、渋滞の可能性があります。9/19(金)の朝9時頃の南向きは渋滞無し、17:30頃の北向きは御坊の付近で5kmの渋滞でした。

 

■どんな所?

大き目の石が転がる川原を掘ると、お湯が出てくるという珍しい温泉です。公式によると源泉は73℃で、川の水と混ぜて調整せよ、との事です。12月〜2月は「仙人風呂」と言って、川を大幅に堰き止め、大人数で入れるスペシャルな温泉になるようです。

 

川湯温泉|熊野本宮観光協会

 

■実際に行ってみた

川の下流にスロープがあり、約50台分の無料駐車場になっています。

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馴らされてはいますが、大き目の石を敷き詰めただけなので慎重な運転が必要です。

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見ての通りゴツゴツの川原です。歩くときは踵にストラップがあるタイプのサンダルが良いでしょう。裸足で歩いてみましたが、熱すぎる&痛すぎるでとても歩けません。

川原に穴を掘ると、明らかに水温が上がるスポットがあります。ただ、どこでもいいわけでは無く、ポイントがあるようです。私は3箇所目で掘り当てました。なお、掘るのには畑仕事に使う大型の剣先シャベルがベストだと思います。この日は義父の畑仕事用のシャベルを借りて行ったので問題無しでした。

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こんな感じで川原に湯船を作ります。モロに川なので、川遊びをして身体が冷えたらすぐにあったまれるのが良いです。

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川幅も広く、十分川遊びが堪能できます。大き目の浮輪でも余裕です。ただ、水深は浅めなので飛び込みは避けた方が賢明です。この日は盆過ぎの平日のためか人も少なく快適でした。なお、バーベキューは禁止となっていました。

 

川遊びが終わったあと、1kmしか離れていない「わたらせ温泉」に行きました。

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川湯温泉にも公衆浴場はありますが、食事処も完備のこちらにしました。脱衣所のロッカーは¥100の払い戻し無しです。ここはとにかく露天風呂がデカかった。どうやら近くにキャンプ場があるらしく、レトルトカレーとかがやたらと売ってました。キャンププランも良さそうです。

 

■今回失敗した点

・日除けを忘れた

川原には日を避ける場所が全くありませんでした。自立式のタープかポップアップテントのような日除けが無いと日差しがキツ過ぎます。長袖のラッシュガードもフード付きが良さそうです。今回は傘で凌ぎました。

 

・座布団を忘れた

川原はゴツゴツです。ゴザをひいても尻が痛いです。座布団必須。椅子は安定して置きづらいです。

 

・売店が無い

弁当をしっかり持って行ったので食事は問題なかったですが、自販機まで随分歩く必要があります。また、行ってから浮輪を忘れている事に気付きましたが、これも売ってない。川辺にホテルも民宿もあるのですが、全然商売っ気がありませんでした。

 

■次回の持ち物

□:簡易タープもしくはポップアップテント

□:大型剣先シャベル

□:水着

□:フード付き長袖ラッシュガード

□:座布団、ゴザ

□:踵にストラップのあるサンダル

□:浮輪やゴムボート

□:弁当、水筒、オヤツ

□:携帯電話を入れる防水ケース

□:雨具(雨宿りできる場所が無いので)

 

海もいいのですが、塩気にやられないという点では川遊びも良いものだと実感しました。キャンププランであればより楽しめそうです。近畿地方の夏のレジャーとして十分選択肢に入ると思います。また来年!

 

【ライドルート】六甲山を走る

夏季休暇を利用して、実家のある兵庫県西宮市に帰省してきました。帰省の間に2日間走る機会があったので、その事について記したいと思います。

 

■六甲山の登り口

六甲山の登り口は、私が知る限りでは

逆瀬川駅からの東ルート

神戸大学横から六甲山ケーブル下駅を経由し、表六甲ドライブウェイを走る南ルート

・JR神戸駅付近から国道428号線を北上し、西六甲ドライブウェイを走る西ルート

神戸電鉄有馬線側から裏六甲ドライブウェイを走る北ルート

の4ルートがあります。東ルートは、JRさくら夙川駅から北上する事も出来ますが、交通量が多いのであまりおすすめできません。

 

今回は逆瀬川駅から東ルートを起点に走ってみました。

 

■1日目

逆瀬川駅→一軒茶屋→西ルートを下る→表六甲

 

 家を出てから阪急今津線沿いに北上し、逆瀬川駅を目指します。

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久しぶりに走って気づいたのですが、阪神競馬場から小林までの短い区間ですが、自転車専用レーンが設定されていました。それ以外の区間も路肩が広く、早朝ということもあり逆瀬川駅までは快適にアプローチできました。

 

体重が重たく登りが苦手な私には、途中写真を撮る余裕は全くありません。必死の思いで「一軒茶屋」にたどり着きました。

逆瀬川駅から一軒茶屋までは11.2km、843m up、平均斜度7.5%、恥を忍んで晒しますが、私のこの日のタイムは1:05:51でした。

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AM6時台のこの日はずっと濃霧で視界は悪かったのですが、山頂の気温は21°C。涼しくて走りやすかったです。

 

ここから、西六甲ドライブウェイを下ってJR神戸駅付近に下りました。ふと思い立ち、そのまま神戸南京町へ。

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さすがにAM6:54ではコンビニしか開いていませんでした。ちょっと補給して再び走り出します。

 

今度は、神戸大学の横を走って六甲山ケーブル下駅を目指します。

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実はここまでの登りがそれなりにキツいのです。日差しを遮るものが無く、平均斜度も7.8%がほぼ一定で続くので休みどころが無い。正直ここへたどり着いた時点でヘロヘロです。

 

ここからが丁字ケ辻の交差点まで、4.7km、414m up、平均斜度8.8%の表六甲ドライブウェイの登りです。正直かなりキツいです。斜度だけではなく日差しを浴びるので暑い。容赦なくスタミナが削られます。なお、私の足で30:19でした。

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登りきってフラフラの状態で地図を確認しながら自販機へ歩いていたら、新聞配達のお兄さんに「ポケモンGoですか?」と声をかけられました。そんな余裕ありません。

 

この後逆瀬川駅に戻って帰宅。Total86.3km走って、1922m upでした。

 

 

逆瀬川駅から一軒茶屋までの登りは人気のルートのようで、盆休みの時期とはいえ早朝にも関わらず結構な数のライダーを見かけました。

 

■2日目

逆瀬川駅→一軒茶屋→六甲山最高地点→下ってから有馬へ→シュラインロード→裏六甲

 

中1日空けて、再び逆瀬川駅から一軒茶屋まで走り出しました。足に若干ダメージが残っている割には、1:03:39で少しタイムが縮みました。

 

実は、一軒茶屋から道路を挟んで反対側に六甲山最高地点への道があり、自転車で上ることが可能です。距離は300m程度ですが、平均斜度は14.4%です。

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ここから、大阪湾が一望できます。この日は晴れていたので、清々しい景色で心に響きました。こんな短時間でこんなに登りがこなせるなんて、なんて恵まれた環境なんだ。

 

山頂からの景色を堪能して、来た道を下りました。東ルートの途中にある県道82号線の分岐まで戻って、そこから有馬温泉を目指すためです。途中、通称「ハニー坂」と呼ばれる斜度15%を超えて、県道51号線に合流し、そこから西を目指します。県道51号線沿いに西に向かうと有馬温泉に到着します。

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有馬温泉の名物といえば「金の湯」で、錆びた鉄による濁った泉質が特徴です。建物の外に足湯があり、この日も数名地元の方がいらっしゃいました。軽く談笑して出発です。

 

県道51号をさらに西に進むと、県道15号に合流する手前神戸電鉄有馬線有馬口駅があります。写真を撮っていませんでしたが、有馬口駅の西側から踏切を超えて進むと、「シュラインロード」と呼ばれる登りに入ります。f:id:tkcx3110:20160819064302j:image

ここが本当に気持ちのいい道で、木陰のため涼しいし、斜度もキツくアドベンチャー感満載です。何箇所か分岐があるので迷う可能性もあります。

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この先は行き止まりでした。

荒れたコンクリートの路面だけではなく、シクロクロッサーには大好物であろうグラベルも多少あり、本当に楽しく走れました。

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テンションが上がってバイクの写真を撮ったグラベルを抜けると、裏六甲ドライブウェイに合流します。3kmほど登ると六甲山サンセットドライブウェイに合流します。ここから東ルート方面に走り、県道82号で南下して帰路につきました。

 

 

この日は68.3km、2013m upで、1日目よりも距離は短いですが登りは多く、ガッツリ走った感で大満足です。

 

■総評

4日間の滞在の間に2日も走れて、普段では出来ない密度でライドを堪能できたのは本当にラッキーでした。改めて走ると、阪神間のライダーは本当に環境に恵まれているなと感じました。

 

私の実家からも、速い人なら2時間あれば40km 900m upをこなして帰宅する事が出来るでしょう。都市部に住みながらそれが出来るのは大きな魅力です。

 

また、ロードバイクに乗りはじめた時にはシュラインロードを走るのは考えられませんでした。シクロクロスを始めて、流行りのグラベルライドを知り、一気にコースの選択肢が増えました。奥の深い六甲山の楽しみ方がより増えて、帰省の楽しみが増えました。

 

しかし、この2日間でTotal154.7km、3935m upです。憧れのRapha Prestigeではコレと同レベルを1日でこなさないといけない事に気付き、私の足ではまだ遠い事を実感しました。まだまだトレーニングが必要ですね。

 

【レースレポート】シマノバイカーズフェスティバル2016 4hエンデューロ

初めてのシマノバイカーズは、悔し涙を流しながらのゴールとなりました。

 

TeamRuedaNAGOYA代表の落合氏にお誘いいただき、シマノバイカーズフェスティバル2016の4hエンデューロに参加してきました。

 

機材は、今年の頭に自分で組み上げたKONA KULA 2010です。ホイールサイズは26インチで今となっては時代遅れですが、コンポは何気にフルXTで組んであり、私には申し分ないバイクです。

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KONA  KULA 2010 Original Set Up

 

肝心のレースですが、今回レーサーは落合氏と私の2名。単純計算なら2hずつ走る事になりますが、シクロクロスでC1ライダーの落合氏とC4ライダーの私では圧倒的な走力の差があります。そこで落合氏が5周、私が3周で交代するプランで走る事になりました。

 

レースは13:00スタート。11:30位からアップのために試乗車用のコースを走っていたのですが、途中でまさかのチェーン切れ!レースまで1h位しかないので焦りましたが、シマノの有償メンテナンスサービスが出展しており事なきを得ました。自分がつないだ場所が切れたわけでは無かったので少し安心しました。レース中に切れていたら、とヒヤヒヤしました。

 

■レーススタート

チェーン切れで私がもたついている間に、落合氏が第一走者として5列目位の位置を確保してくれました。さてスタート前になって選手がスタートラインに並ぶのですが、その人数の多い事!

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一番後ろの人が見えません…何という参加者の多さ!スタートはこんな様子です。おヒマな方だけどうぞ。

 

youtu.be

 

スタート後にしっかり前に出た落合氏は5周回して私にスイッチした時点で、2名組部門先頭で戻ってきました!盛り上がって一生懸命走る私ですが、とにかく登りがツラい!九十九折りかつ芝の登りは、私のような登坂力の低いライダーには猛烈な負荷です。フライオーバーもスピードを乗せて登りにくいコースレイアウトで、容赦なく足が削られて行きます。

 

■落車

変わって下りでは、一気にスピードが乗ります。私は調子に乗って最初の周回でスピードを見誤り、ピット付近のストレートでバイクが宙に浮いた後に前後ブレーキを握ったまま着地してしまい、盛大にスリップダウンしてしまいました。シクロクロスで落車慣れ(汗)しているのですぐに「落車!」と叫び、速やかに立ち上がり走り出しました。

ドライブトレイン側に倒れてしまったのですが、リアメカもハンガーも無事でした。シャドーディレーラ万歳!

 

最初の3周を走って落合氏とスイッチ。猛烈な走りで私の遅れを取り戻して行きます。

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猛然と走る落合氏

 

■ディスパッチャーの存在

次にスイッチして3周回走り、ピットに戻ってきたら、子供の面倒を見ていた妻がピットに来ていました。妻は落合氏から伝言を受け取っており、「無理に追い込まず、一定のペースで周回を重ねる事」。2人組ではレース中パートナーとの会話が出来ません。家族が伝言してくれると話が変わってきます。チームエンデューロではディスパッチャーの存在が重要である事がよくわかりました。

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ピットから見えるこの登り返しがツラかった…写真ではなだらかなのですが。

 

伝言を受け取ったことで私の仕事がはっきりしました。考えてみると、そもそも2人の間には大きな走力の開きがあります。レースをプロジェクトとして捉えると、能力の違うチーム員に適切な仕事を分配して、最大価値を狙うのがマネジメントですから、私はバイクを壊さず、追い込みすぎて後で大幅にペースを落とさないように自分の周回を重ねる事が必要です。

 

以降は下りは飛ばさず確実に処理して、登りはペース一定で走る事を心がけました。ただ、何も改善しなかったわけではなく、ラインの選択でコーナリングスピードを上げることはできるようになって行きました。レベルが低いライダーでも、レース中には常に発見があります。シングルトラックも幾つかラインの選択肢があり、上手く行くと普段の自分にはできない走りになっていました。

 

■ピットクローズから後半戦

レースは4hと2hの混走です。ここに誤算がありました。本来なら落合氏から私にスイッチするタイミングに、2hの終了が重なってしまい、しばらくピットクローズで余計に周回を重ねさせる事になりました。このダメージが大きかった。余計に2周回した落合氏とスイッチして後半線がスタート。ですがこれでもまだ3位!

 

私も発奮して走る訳ですが、流石に疲労が溜まってきています。普段シクロクロスではC4の私にとってはレース時間は30分程度。私は1周8分近くかかっていましたから、いくら一定速で走っているとは言え、流石にレーシングスピード。1日にクロスのレースを何回もやるような状態で、ダメージがハンパ無い。3周回終わると倒れこむ勢いで、かといって座り込むと足が動かなくなります。途中でボトルを落としていた事にも気付きませんでした。

 

■ゴール

レースも残り1h弱となり、順位は4位。3位とのタイム差は1分45秒。そしてタイミング的に私が最終走者になりました。落合氏はピットクローズ時のダメージで足が攣った状態で追い上げ、タイム差22秒に縮めて戻ってきました。私の目にも3位の姿が見える状態です。見知らぬ方に背中を押されてピットを飛び出し、猛然と漕ぐのですが、タイム差を縮めるだけの足は私にはありませんでした。まさに全力を出し切ったと言い切れるのですが、どんどん差が開いていくのです。残り2周で、本当に涙が出てきました。足は重く、背筋はちぎれそうな痛み。そしてチームメイトの走りに応えられない悔しさがありました。

 

後はとにかく5位に詰められないように必死で走り、4位のままゴール。4h05m、39周回に及んだ戦いが終わりました。

 

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■まとめ

悔しさが残る結果となりましたが、本当に参加してよかったと思えるレースでした。

・ 自分に出来る範囲でチームに貢献できる。

・無理に追い込まず一定で走る。

・機材を壊したり、怪我をしないためにも焦らない。

・レーサーだけではなくディスパッチャーの存在も重要。

・どんなレベルでも、レース中には発見と成長がある。

・タイムを縮めたければ登坂力が大事。

 

 これは来年も参戦したいですね。この様な経験を得られるきっかけを頂いた落合氏に感謝します。シマノバイカーズフェスティバルのチームエンデューロは、レースに出た事がない人にもオススメできる充実したイベントでした。MTBをお持ちの方は、一度参加を検討してみてはいかがでしょうか?

 

 

 

【書評】アンドロイドの夢の羊 著:ジョン・スコルジー

この前読んだ「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」をオマージュとしたタイトルの本書。著者のジョン・スコルジーの本は以前に「レッドスーツ」を読んでおり、大いに笑ったのを覚えています。「スタートレック」シリーズなどが楽しめる人であれば大いに「笑える」と思います。

 

 アンドロイドの夢の羊 Amazon.co.jp

 

SF小説、特に日本の作品の印象としては、ハードで真面目な物が多いように感じます。ニヤリ、というものはもちろん多いのですが、「爆笑」はあんまり無いと思います。

 

SF小説に「爆笑」を持ち込める作家、ジョン・スコルジーの本書の第1章は、強烈な物でした。ちょっとこのアイデアは思いつかんと言うか、SF史上では無いネタでは無いでしょうか。ビジュアルを想像すると本当にシュールで、もう何というか表現しづらい。

 

強烈な個性の宇宙人と地球の交流がある時代の設定で、タイトル通り羊を巡る冒険が繰り広げられます。旧約聖書の時代から、西洋人は羊を巡る物語が好きなんですね。牛でも豚でも鳥でもなく羊。これは今の私にとっては謎です。

 

本書はハードSFという訳ではなく、SFの体をなした娯楽作品です。笑いあり悲劇あり戦いありグロあり、色恋は無し。決して為にはならず、只々面白いと思える作品です。主人公がスーパーマン過ぎる気もするけど、テーマである羊の正体はなかなか驚きましたし、お話の落とし所も私には満足がいくものでした。

 

それにしても、出てくる宇宙人のディテールは、妙に描写が細かく変質的な印象を受けます。著者はちょっと頭がおかしい(褒め言葉)んでは無いか、と思っていましたが、元々はノンフィクションライターとのこと。ひょっとしたら、物語の体をとったノンフィクションのつもりで書いているのかもしれません。

 

Amazonkindle版では試し読みが可能です。試し読みの範囲が面白ければ、きっと楽しめると思います。子供には薦められませんが、分別のついた大人への娯楽として、本書はオススメします。

 

今は第1巻がスコルジーの最初のSF小説出版物である、「老人と宇宙」シリーズを読んでいます。こちらはメインストーリーは3部作で、入隊資格が75歳以上の老人(!)であるという宇宙軍の戦いを舞台にした物語です。こちらも娯楽作品として大変楽しんでいます。気になる方は是非。

【自転車実験室】オーバーホールの実施 〜2016-17シーズンのシクロクロスに向けて

そろそろシクロクロスの2016-2017シーズンの日程が見えてきて、具体的に準備を進める時期がやってきました。2016-2017シーズンでC3への昇格を目指す私の準備第一弾は、バイクをオーバーホールする事からです。

 

オーバーホールは、ショップにお願いする方法と、自分で実施する2通りがあります。願わくばショップに依頼するのがベストだと思いますが、自分の機材の状態を自分でしっかり見ておくのも重要だと考え、今回は自力でのオーバーホールです。NIPPO ヴィーニ・ファンティーニのジュリアーニ監督も落車の原因の一つに、ライダーがバイクコンディションの最終チェックが出来ていない事を上げ、「自転車のメカニックトラブルは言い訳でしかないからです──。」と言っていますし。

cyclist.sanspo.com

 

さて、実際にオーバーホールを実施してみて気づいたことを整理して、来シーズン以降に活かすためにもここに記録したいと思います。結論として今回は、「自宅でできるところまで分解し、大掛かりな作業はレンタルピットを利用する」という方法を取りました。

 

■作業場所

分解の大半は自宅で実施できますが、完全にバラすのと組み付けはレンタルピットを利用しました。名古屋にはCultureClubという自転車整備のレンタルピットがあります。

cc-ngy.com

こちらは利用料が¥5,000/dayです。これを高いと取るか安いと取るかですが、私は十分な価値があると考えています。理由としては、

・高価な特殊工具が使える

ChrisKingのBBツールやエアーツール、トルクレンチなど、個人で買うには高価だし、普段は頻度が低い工具を使うことができます。

 

・部材がすぐ調達できる

ワイヤ類やワイヤエンドなど、細かい部材の買い忘れがあった時にその場ですぐ調達できるメリットがあります。自宅で組み付けしている時に部品が足りなくて作業が進まなくなるイライラから開放されます。

 

・ケミカルが安心して使える

自宅が狭いので、普段はケミカル類の使用は気を使います。スプレー類の匂いは家族から文句が出ますしね。

 

不燃ゴミの処理が楽

廃棄するチェーンやワイヤ類を処分してもらえます。何気に自宅だと面倒な部分です。

 

・カフェ併設

これはCultureClubならではのメリットですが、お腹が空いたらすぐ併設のカフェ、「Pine Fields Market」で食事ができます。コッペパンはもちろん美味しいですが、個人的にはラムレーズンチーズケーキがヤバい。美味し過ぎて語彙力が下がるくらいヤバい。

instagram.com

■分解

今回、自宅では

STI

・前後ブレーキ

・前後ディレーラ

・ペダル

まで分解し、それぞれ洗浄と注油を実施しました。作業時間がかかる物を先に片付けるようにしています。

本当はクランクセットとスプロケットまで実施したかったのですが、時間が足りなかった事、比較的作業時間が短い項目なのでレンタルピットに回す事にしました。

 

■組み付け

洗浄の工程は省きます。私が実施した組み付け手順は以下の通りです。

1.サドル、シートポスト

 メンテスタンドで作業がしやすくなるためです。

 

2.フロントフォーク、ステム、ハンドル(仮組)

3.前後ホイール

 クランク周辺の組み付けや、フロントフォークの本組みで安定して作業できるように前後のホイールが付いていると作業がしやすかったです。

 

4.STIレバー

5.フロントブレーキ、ワイヤ

 フロントフォークのガタを取って本組みするのに、フロントブレーキが組み付いていると作業がしやすいため、まずフロントブレーキを組み付けています。

 

6. フロントフォーク(本組み)

 フロントブレーキを握って、フォークのガタを確認しながらヘッドキャップとステムのコラム側のボルトを閉めて本組です。クロスシーズンはカーボンフォークを使用しているので、トルクレンチを使用しています。

 

7.リアブレーキ、ワイヤ

8.BB

 今回、BB組み付け後にChrisKingのBBグリースインジェクタツールを使用しました。

instagram.com

これ本当にイイです。レースになると毎回バイクをジャブジャブ水洗いするので、ベアリングにグリスが注入しやすいのは利点が高い。今シーズンは頻度を上げたいと思います。

 

9.クランクセット

10.フロントディレーラ

11.フロントディレーラワイヤ

 チェーンを掛ける前にワイヤを組み付けて、ディレーラをアウタに引けるようにしておきます。チェーンの長さを決めるためです。リアはトップに掛けておけばよいので、まだワイヤリングしなくてもいけます。

 

12.リアディレーラ

13.チェーン

14.リアディレーラワイヤ

15.前後変速調整

16.バーテープ

 合間に細々した作業は入っていますが、変速機調整までで実働およそ6時間弱でした。今回は後に予定があったので切り上げ、バーテープは帰宅してから巻きました。サドル、バーテープはfi'zi:kに統一しています。本当はシューズもfi'zi:kにしたいけど予算の都合でまだ...

 

 完成したバイクがこちら。

組み上がるとテンションもアガりますね!

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オンロードライド用に今はロードタイヤですが、これにクロスタイヤを履かせれば完成です。今シーズンは大幅な機材の変更点として、フロントディレーラを上引きにして、ワイヤのトップルーティン故の滑車を外し、チェーンリングを46t-36tに、クランクアーム長を170mm⇒175mmにしました。思うところあってのセッティングで、実験結果は別途報告したいと思います。

 

後はどうやってトレーニングの時間を確保するかが一番の問題点ですね!

 

- Bike spec -

Frame : Sycip Designs custom CX

Fork : Enve Composite carbon CX fork

STI & RD : Shimano 105-5700

FD : Shimano FD-CX70-B-T

Crank set : Shimano FC-CX50 175mm

Pedal : Shimano XTR PD-M970

Brake : Paul Component Mini-moto&Touring Canti

BB : ChrisKing

HeadSet : ChrisKing NTS – Mango –

Rims : Velocity A23/A23OC 28H

Hubs : Shimano DULA-ACE HB-9000/FH-9000

Spokes : Philwood straight #14

Handle : SimWorks Misirlou Bar 430mm

Stem : Thomson X4 80mm 0°

Saddle : fi'zi:k GOBI M3 k:ium

SeatPost : SimWorks Beatnik

 

 

【書評】アンドロイドは電気羊の夢を見るか? 著:フィリップ・K・ディック

 書店のポップに「映画より面白い」と書いてあったので、読んでみることにしました。

 

アンドロイドは電気羊の夢を見るか?(ハヤカワ文庫 SF) Amazon.co.jp

 

本書は、SF映画のファンであればほとんどの人が見た事があるであろう、「ブレードランナー」の原作に当たります。有名なのでタイトルは知っているが、読んだことが無い方も多いのではないでしょうか。実は私もその口で、ディックの作品の中では何故か読んでいませんでした。ディックの作品では「ユービック」が特に好きです。

 

私が感じた本書のテーマは「生きる動機は?」です。主役デッカードの生きる動機は生きた動物。生きた動物が簡単に手に入らなくなった世界で、バウンティハンターという危険な仕事の賞金で稼げば、生きた動物を買うことができる。命懸けの戦いの最中にペットショップで高額のローンを組んでしまう姿は滑稽です。

 

彼は、ステータスシンボルのために生きている。必死で。はたから見ると滑稽なのですが、気持ちが分からなくはない所が面白い。心理描写にも頷かされる部分があり、SFの世界での人物像にリアリティがあります。ですが、本書では生物としての「人間」には心情描写があるのですが、「アンドロイド」には心情描写がありません。その行動は丁寧に描かれ、表情豊かな行動、台詞回しを見せるアンドロイドですが、彼らの内面の描写は読後の記憶の範囲では全然ありません。

本書の設定ではアンドロイドには感情が無い、正確には「感情移入の能力が無い」という事になっています。感情が無いから心情描写が無い、ということなのでしょうか。では犯罪を犯してまで生き延びようとする彼らの動機は?それもプログラムされた物なのか?感情が無いものに生きる動機はあるのか?という普遍のテーマが描かれていると思います。要はネタとしてはありふれているのです。

しかし、本書の刊行は1968年です。今から50年近く前にそのテーマでSFが描かれているのです。結局人類はサッパリ精神的に進化していないんですね。正直、唸る内容でした。

 

読み終わってみて、「ブレードランナー」の内容を全然覚えていない事に気付き、ディレクターカット版を見直してみました。

 

ブレードランナー クロニクル[Blue-ray] Amazon.co.jp

 

改めて見て、押井守の「攻殻機動隊」が引き継いでいるビジュアルは、「ブレードランナー」で完成されていたのを実感しました。つくづく完成度の高さに唸ります。

 

そして、劇中のビジュアルや、アンドロイドの感情の起伏の豊かさからすると、リドリー・スコットは原作をベースに全然別物の世界を描いています。でも、感じられるテーマは同じ。特にレプリカントのリーダーのバッティが見せる狂気と悲しみは未だに心打つものがあります。

未だに作品の解釈にアレコレ思い描く事ができる、書籍、映画とも本当に名作だと感じました。大満足です。