【書評】あなたの人生の物語 著:テッド・チャン
正月休みの間に読んだ小説で、特別感動を覚えたのが本書です。
SFがメインの短編小説集で、どれも面白く読めたのですが、特に表題作の「あなたの人生の物語」が素晴らしかった。エイリアンとのファーストコンタクトが設定の作品で、1回読んだだけでも十分楽しめたのですが、どうにも理解が追いつかない部分があり、結局2日間で3回も読み直してしまいました。
3回読み直してやっと話の全貌が理解でき、唸ってしまいました。
私なりの解釈として、本作のキーワードは「ものの見方」です。
何かの事象に対して、観測者が違う、または観測者が同じでも観測する方法が違う場合、その事象の「意味」は変わってきます。だから私は「真実はいつも1つ」とのたまう名探偵が嫌いです。
人類もエイリアンも同じ宇宙に住んでいるわけですが、進化した過程が違うので、宇宙に対するものの見方が違います。その違いを描いているだけで十分に面白かったのですが、物語の仕掛けには目立つのになかなか気づけませんでした。私の視野が狭い証拠ですね。
なお、本作を原作とした映画が2017年5月に日本でも公開されるそうです。
本作は映画化できそうな気がしますが、原作の良さを活かして映像化できるのか?期待はずれに終わらないことを願いたいです。これは見に行きます。
・・・ソニー・ピクチャーズのサイトの「メッセージ」という表記、「セ」だけフォントがリュウミンですね。何か意味を込めたのでしょうか。気になります。
「メッセージ」を見に行く予定の方、ぜひ原作である本書を読まれる事をオススメします。
ちなみに、ファーストコンタクト物の映画では、私は「コンタクト」が一番好きです。
冒頭のセリフ「大きな望遠鏡が欲しいわ」からのシーンの切り替えが大好きなんです。
「ものの見方」の違いを楽しませてくれるのがファーストコンタクト物の良さだと思います。探せばいろいろあるファーストコンタクト物、今年はもっと読んでみたいと思います。