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技術系サラリーマンの生活実験

【資格試験】基本情報技術者と応用情報技術者

ブログのサブタイトルに「技術系サラリーマン」と謳ってありますが、私の専門分野は電子工学で、その中でも「組み込み系ハードウェア」に分類されると考えています。
 
では、「組み込み系ハードウェア」の世界で、「技術があるエンジニアって何だ?」という設問に対し、数値化した答えを提示するのが中々難しい。
 

そこで私が考えた短期的な対策が、

専門外の国家試験に合格する

というものでした。
 
ソフトウェアエンジニアであれば誰もが知っている「情報処理技術者試験」に合格すれば、「ソフトウェアへの理解があるハードウェアエンジニア」として少しは会社での認知度が上がるのではないかと考えた訳です。
 
結果として2015年秋の「基本情報技術者」に合格、本日4/17に「応用情報技術者」を受験して、私の考えがどうなったかをまとめたいと思います。
 

◾️結論

組み込み系ハードウェアエンジニアは、情報処理試験を受験した方が良い。

 
むしろ「何故今まで受けなかった」というツッコミに対しては、言い訳のしようがありませんが(汗)。
 

◾️理由
・ソフトウェアエンジニアの業務内容への理解が進む

どんなに小規模でも、コンピュータにはハードとソフトの両方が必要です。組み込み系ではハード、ソフトとも制約が多く、ソフトは専門のエンジニアに作ってもらう事が殆どです。ここで、ハードウェアとソフトウェアの開発のズレによる調整が難航する場合が多いのです。ここで、ソフトウェア開発の考え方を知る事で、調整の糸口が少しでも発見できる可能性が高くなります。
 
 

・プロジェクトマネジメントの基礎が学べる

「プロジェクトマネジメント」という「学問」が存在します。その導入部が試験の設問に採用されています。末端のエンジニアが仕事でハマる要因に、「プロジェクトマネジメント」の知識が足りない事があると感じています。仕事は知識が全てではないですが、あった方がより良い仕事が出来るということもまた事実だと考えています。
 
 

・専門外の知識も、必ず自分の専門知識とつながる

情報処理技術者試験は、主にソフトウェアエンジニアを対象にしていますが、試験問題をよく読むと、工業の仕事であれば応用が利く内容が殆どです。つまり、専門外の知識を得ることで自分の知識を別の側面から見る事ができ、より知識の深度を深める事になると考えています。
 
 

◾️試験の内容について
応用情報技術者に必要な知識は、実務を動かすためのもの

基本情報技術者試験では、実際にプログラミングをするための知識を求められる問題が多かったのですが、応用情報技術者試験では、プログラミングに関する具体的な知識よりも、組織だった業務運営に重きを置いた問題でした。
「エンジニアにはこんな風に仕事を進めてほしい」という設問設計の意図が汲み取れる印象でした。
 

・記憶力も考える力も必要

基本情報技術者応用情報技術者試験ともに午前問題と午後問題があり、午前は知識を問われる問題である事は共通していますが、午後は考えないと解けません。会社の先輩からは「午後は考えれば解けるから、午前の方が難しい」と言われていました。記憶力と考える力、両方が求められます。
 

・仕様書を読む力が試される

午後問題の制限時間は2時間半もありますが、できる人でないと時間が足りない位の難易度です。特に問題文が長く、早く確実に問題文を読む必要があります。仕様書というものは状況に応じて読む場所が違うので、必要な情報を検索する能力が必要です。
 
 
 
長々と書きましたが、エンジニアであれば専門問わず受験する価値のある試験だと感じました。今後、応用情報技術者に合格したら、高度情報処理試験のひとつである「プロジェクトマネジメント」に挑みたいと思います。

 

 
 

【映画評・ネタバレあり】オデッセイ 監督:リドリー・スコット

公開が終わるまでにどうしても見に行っておきたかった「オデッセイ」、大満足でした。猛烈に密度が高い原作のどこを削り、どこを映像化するのか、流石リドリー・スコット。ハズす時もあるけど、SF映画でハマると本当に見事な仕上がりでした。もうリドリーはSFだけ撮ってたほうがエエんちゃうかな。

 
映画を見た方はわかっていただけると思いますが、本当に笑えるシーンの多いハードSFだと思います。映画化された事で原作とは違う笑いどころがあり、飽きさせない。特にエンディングのイントロが流れたとき思わず吹き出したのですが、劇場で私以外笑ってなかったのでこらえました。

 

でも、この映画の元となった原作、「火星の人(現題:The Martian)」も大変素晴らしい小説なのです。
 
 
 
 
映画をすでに見ていて、面白かったと思った人に是非原作を読んで欲しくて、
・映画化にあたって削られたところ
・劇中映像化されているが解説が無いところ
・原作から変更された事
をピックアップしたいと思います。未だ気持ちが高ぶっていて、申し訳ありませんがまとまりがありません。
 
これ以降映画のネタバレありです。
 
 
 
◾️ワトニーとNASAのチャットで、「中継されているから不適切な言葉を使うな」と言われたワトニーが、「よーし」と送り返した文面は一体何だったのか。NASAのスタッフが「oh...」となったその文面は、私も原作で「こう来たか!」と思いました。
 
◾️アレス4のMAVに向かうローバーの天井に穴を開けて、上にバルーンを取り付けた理由は、明確な根拠があります。正確には「蓋をした」のです。劇中では解説されませんでした。
 
◾️「リッチ・パーネル・マヌーバ」の実行を決定した後のクルーの葛藤、特にヨハンセンの葛藤が劇中では描かれていませんでした。「リッチ・パーネル・マヌーバ」実行が失敗した時のためにクルーがNASAに秘密で用意したプラン、流石に映画でやると観客もどっと疲れてしまうと思います。削ったのは賢明だったと思います。
 
◾️MAVの燃料の確保の方法とは?地球から持っていくには重たすぎるそれをどうやっているのか。実際に検討されている方法で、本当によく考えられていると思います。アレスミッションはMAV無しでは考えられない。NASAの頭脳ヤバい。
 
◾️レクリエーションルームでのクルーの足取りが安定し過ぎている。描写が難しいのと、描いても観客には理解できないと判断して削ったと思われます。安定しない理由はヘルメスのサイズによります。
 
◾️セリフの再現度が高いです。あのユーモアあふれるやりとりは、原作だともっと密度高く楽しめます。
 
◾️火星探査機「パスファインダー」が壊れる描写がない。原作では、電気の知識があると納得できる、「パスファインダー」が壊れる描写があるのですが、どう考えても楽しいビジュアルになりませんでした。削ったのは賢明だったと思います。
 
◾️「アイアンマン」の採用。
 
 
 
...まだまだ書き足りないですが、いくらでも増えそうなので堪えます。未だ再び原作を読み返していますが、やっぱり本当に面白い。これはBlu-ray版も購入決定ですね!
 
原作は内容が専門的になりすぎている部分もありますが、パートが細かく分かれているので読みやすいと思います。是非に!
 
 
 
 
 
 
 
 
 

【DIY】SPF材を使った木箱の製作

以前に紹介した我が家の木箱、妻から追加生産の要請がありましたので、休日を利用して作業に取り掛かります。

 
やって来たのはカインズホーム名古屋堀田店です。
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ホームセンターは各種ありますが、ここにしている理由は工作室を借りれる事です。SPF材を切ってヤスリ掛けする作業では木屑が猛烈に出るので家ではやりづらく、その点指定の長さで切ってもらった後、工作室でヤスリ掛けしてしまえば家では組み立てるだけです。
 
まず、材料を選びます。SPF材は建築用の構造材として使われるので、仕上げが雑です。
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こういう割れた物や、
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汚れがひどい物、歪みがひどい物があります。使えないわけでは無いですが、作業を楽にするため出来るだけ綺麗なものを選びます。
 
今回木箱を2つ作るので、材料は以下の通り。
・1×4 12F(3658mm) 2本 ¥1,096
・1×6 6F(1829mm) 2本 ¥1,496
・1×8 6F 2本                   ¥1,960
計¥4,552でした。同じ材料ならカーマで買ったほうが安いです。自宅でヤスリがけできる環境があるならカーマをおすすめします。
 
そして、以上を以下のカット指示で切ってもらいます。

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 あまりを捨てるのはもったいないように感じるかも知れませんが、もともとそんなに高い材料では無いですし、他に予定が無いのであれば家で捨てるのも手間なので、お店で処分してもらいます。
 
今回13回カットで¥390(¥30@1カット)でした。
切り終わった材料のバリや表面のでこぼこを取るためヤスリ掛けします。
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本当はカインズホームの電動サンダーを借りたかったのですが、今回まさかの故障中で手作業となってしまいました。数が少なくて良かった...
使用するヤスリですが、私は#180のサンドペーパーのみで仕上げています。柔らかいSPF材には切れ味十分で、仕上がりの手触りもサラサラして悪く無いのです。
 
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ヤスリ掛けが終わりました。他の買い物も含めて2時間以内で完了させ、駐車料金無料の範囲に収まりました。
 
材料を家に持ち帰って組み立てです。
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接着面に木工用ボンドを塗り、
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下穴を開けてからコーススレッドで留めていきます。
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まず側面の1×8 356mmと、背面の1×6 324mmを組み付け、
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背面の1×8 324mmを組み付けます。
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接着面に木工用ボンドを塗布して
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残りの側面用1×6 356mmを組み付けます。
続いて天板です。
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私は木箱の開口部側がら組み付けています。天地とも4枚ずつ1×4 362mmを組み付けて完成です。

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材料のカットとヤスリ掛けさえ終わってしまえば、後はボンド塗布→下穴開け→ネジ締めの繰り返しです。
 
私は電動ドリルは1丁しか持っていないので、下穴を開けるときとネジ締めの時ではビットを差し替える必要があります。その時に便利なのがコレです。
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アダプタにあらかじめ下穴用ドリルビットを取り付けておき、ドライバビットに簡単に付け外しが出来る優れものです。
アダプタを使用しないで作業をするとこんな感じになります。

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ビットの差し替えが微妙に面倒なのです。
それがアダプタを使うと、
この通り作業が早くなります。コーススレッドを取るタイミングを間違えていますが、それでも早いのです。
 
この後塗装をして完成なのですが、今回塗装までやっている時間がありませんでした。
そこはまたの機会に。
 
 

【書評】ふわふわの泉 著:野尻抱介

先日読み終えた「バビロニア・ウェーブ」が受賞している星雲賞つながりで、Amazonでおすすめに上がってきた本書を読みました。短めでテンポが良すぎてあっという間に読んでしまいました。


予備知識なしで読み始めたのですが、途中でハードSFの大家、アーサー・C・クラークの「楽園の泉」のオマージュなのだと気付きました。


作中で主人公が発明し、実現する可能性がゼロではない夢の素材「ふわふわ」による世界の変貌を描きます。この技術を採用した結果こうなった、こんな問題が出た、対策したら次の問題が出た、とテンポ良く、悪くいえば雑なストーリーでお話が進んで行くのですが、途中で出てくる登場人物がまさに「クラーク的」で、微笑ましい気持ちで読むことができました。

クラークの代表作として「2001年宇宙の旅」が上げられると思いますが、大雑把に言うと「未知との遭遇」です。本書「ふわふわの泉」もまさに「未知との遭遇」で、「ふわふわ」という新素材との遭遇から生まれる新世界だけでなく、「生命体とは何か」というSF普遍のテーマも扱われます。

本書は最初はファミ通文庫として出版され、ただでさえ注目されにくいハードSFの中でさらに注目されない状況だったようですが、Kindle本だと割引があるし、ハードSFの入門書としておすすめできる物でした。

この本が面白いと思ったらぜひアーサー・C・クラークの著書をおすすめします。

【書評】バビロニア・ウェーブ 著:堀晃

 「光」は「側面」から「見る」ことができない。それがたとえ強力なエネルギーを持っていたとしても。

 

Amazon.co.jp: バビロニア・ウェーブ (創元SF文庫) 電子書籍: 堀 晃: Kindleストア

 

AmazonKindleポイント還元セール対象となっていたのもあり、前から気になっていた本書、「バビロニア・ウェーブ」を読みました。まさに「ハードSF」と呼ぶにふさわしい内容だし、そのスケールのデカさが私の琴線にグイグイくる内容でした。

 

あらすじはAmazonの紹介文に書かれている通りなので、それ以上の内容が知りたい場合はぜひ本書を読んでいただきたいのですが、「2001年宇宙の旅」のアーサー・C・クラークの著書などに面白さを感じる方であれば間違いなく楽しめる内容だと思います。

 

ハードSFを読むと毎回著者の想像力の広がりに驚かされ、自分の世界の狭さを思い知るのですが、今回も猛烈にその感覚を覚えました。特に、主人公である宇宙飛行士の「マキタ」は、その生い立ちから作中の物事について他の登場人物と違う感覚、違和感を感じるのですが、そのマキタが感じている違和感が、かえって読者である私にリアリティを感じさせるのです。マキタの感じる違和感は、「地球人」であれば感じられないもののはずですが、不思議と自然に納得できて、この感覚は何なのだろうと私が違和感を感じるのでした。

 

私は、これが「ハードSF」の面白さだと考えています。「ハードSF」は、私の解釈だと科学的に正しいと考えられるアプローチで、今あり得ない未来を想像するものです。今の世界と地続きであると思われるのに、驚きと違和感を与えてくれる面白さ。

 

大切なことは目に見えないものなのに、「観測できないものは無いのと同じ」と人間は考えてしまいがち。でも、その目に見えない物も向きを変えたり何かを投げ込んでみると、その反応から存在が観測でき、「有る」ということが認識できる。「あり得ない」と切り捨てる前に、自分の観測方法を変えてみるという思想を常に持ちたいと思っている私としては、それを示唆する内容であるとも感じました。

 

著者はあとがきで作中の「未解決問題」は収集がつかなくなるのでそのままとした、とありますが、この「未解決問題」は読者それぞれの想像力で補われるべき問題だと思います。ハードSFが好きで、まだ未読の方にはぜひおすすめしたい傑作でありました。是非どうぞ。

 

 

【DIY】我が家の木箱収納

リビングに置いている自作の本棚が、来客に意外と好評なので、その本棚の製作について書きます。

 
リビングには、子供がすぐに本や漫画を手にとって読めるように、という思いから「開架」を設けてあります。まだ読ませたくない本や個人的な趣味の本や漫画は「閉架(押入れの奥)」にしまうか、Kindle本で購入するようにしています。
 
開架を設定する上で使用する本棚は悩みました。
・好みの風合い、サイズが無い。
・オーダーする程コストがかけられない。
・借家のため引越しの際、大型家具は不便。
そんな折、名古屋駅無印良品で様々なサイズの木箱を使用したディスプレーを見て「これだ!」と思いました。
 
こういうやつですね。
 
 
で、木箱収納について検索すると青森のリンゴ箱等もろもろ出てきます。イメージはどんどん膨らみますが、「イメージに合うサイズが無い」。
 
そこで自作であります。材料は、ホームセンターで入手し易く安価な「SPF材」を使います。
木箱を作る上で大事にしたのが、「ある程度規格化する」事でした。
SPF材は、
・1×4等、幅が決まっている。
・ツーバイフォー住宅の構造材なので、表面の仕上げが雑。
・比較的軽くて加工し易く安い。
という特徴があります。
 
この特徴を反映して、製作条件を以下の通りとしました。
・ホームセンターで切断してもらえる寸法で設計する。
・ホームセンターの加工室を借りて表面研磨をする。
・組み立て、塗装は自宅でする。
・木工用ボンドとコーススレッドだけで組み立てられる簡単な構造とする。
 
で、簡単に展開図を書いてみました。

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これを「基本のサイズ」としています。
可能な限り立方体に近くなるような設計です。
開口部を前面として使用した時、
・高さ:1×6材、1×8材の組み合わせで作れる寸法
・奥行き:1×4材 × n個で作れる寸法
とすると都合がいいという判断です。
 
ホームセンターで切断してもらう時は、作る台数に合わせて購入する量を調整しています。図面の通り組み立てて、塗装をすると以下の写真のようになります。
1×6材と1×8材の接合面は木工用ボンドで止める簡易な作りですが、木工用ボンドは完全に硬化すると意外としっかりしているので、木箱を置いて使う分には、よほどの重量物を入れないかぎり問題ありませんでした。
電球の下なので写真が赤いですが、もうちょっと淡い色です。

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側面の板は、奥側はネジ止めされていますが、開口部側の木口は留めていません。重量物を入れる予定の時だけプレートで留めています。
 
これを基準に奥行きが浅いもの、横幅が広いものを作り、組み合わせて本棚としました。
同様の手法でテレビ台も自作しています。
 
妻から追加生産の要求があり、4月頭にまた作る予定です。その際は実際の製造工程を記したいと思います。
 
 
 

【書評】旅のラゴス 著:筒井康隆

SF小説好きを名乗っておきながら、お恥ずかしい事に筒井康隆の著書は読んだ事がありませんでした。

 

旅のラゴス (新潮文庫) | 筒井 康隆 | 本 | Amazon.co.jp


読んでいなくても名前は知っている大家ですし、故今敏監督のアニメ映画「パプリカ」の原作である事でも存在は知っています。「パプリカ」は今敏の病的なまでの夢の演出で恐ろしいビジュアルでしたが、それを表現させる著者の表現力は、凄まじいのだろうと期待しての読書です。
 
きっかけは書店で見た帯に「口コミで話題」と書かれていた事です。古い作品のはず。何が話題となるきっかけだったのか、と思っていたら、どうやら「スタジオジブリでアニメ化」というデマが流れた事がきっかけのようです。
 
お話は本当に主人公ラゴスの旅を描いただけのものですが、なるほどスタジオジブリでアニメ化しやすそうなファンタジックな内容です。若干SF要素もあると言えばありますが、正直言うとそれが重要という訳では無いと感じました。
 
このお話の面白さは、空想の世界なのに情景を思い浮かべやすい描写です。決して詳細ではないが、よく「見える」のです。文体は時代を感じさせますが読みにくい事はなく、情景を感じさせる。
 
著者の他の作品を読んだ事はありませんが、簡潔な文章で情景を感じさせる巧みな表現するのが、筒井康隆の魅力なのではないでしょうか。

前述した「パプリカ」も、公開当時は「映像化不可能と言われていた...」とあおり文が付いていましたが、読書が想像力を発揮できる文体だからこそ、人それぞれのビジュアルが生まれ、映像化不可能な作品となっていたのでは、と感じました。次の筒井康隆作品は「パプリカ」を読む事にします。

ところで、ラゴスの旅の終着点はどこだったのでしょうか?エンディングの感じ方で、旅に対する自分の捉え方、立ち位置がわかると思います。あなたの旅の位置付けは、いかがでしょうか?