【書評】星を継ぐもの 著:ジェイムズ・P・ホーガン
小学校の時の読書感想文の宿題が好きだった人は、かなり少ないと思います。
大人になってから読書感想文を考えた時、「この本のこういう所が面白かった。君も読んでみなよ!オススメ!」という、観点で書けたらきっと楽しく書けたんだろうな、と気付きました。
昨日友人に表題の本を貸したのですが、読んだ時の興奮がよみがえってきたので「読書感想文」を書きたいと思います。
あらすじは、WikiPediaにしっかり書かれているのでわざわざ書きません。
本書の面白さは、「謎を解き明かすプロセス」に尽きると言えます。想像を絶する謎にぶつかって、それに挑む時必要なのは仮説→検証のプロセスであると私は確信しているのですが、まさに全編に渡ってそれが繰り返されます。
仮説を立てて、「コレでイケるやろ」と思った結果、全然違う結果となり考えが打ち砕かれる事は、人生のあるあるです。大概こういう時は凹んでしまうものですが、捉え方を変えると「上手くいかない方法がわかった」と言えます。失敗の結果を材料として使うことができるかが「科学の子」に必要な素養であり、それを表現できるかが面白さにつながってくると思います。
世間では理系の人間は「変人」のイメージが定着しているように感じますが、失敗を結果として認める楽観主義者の集団でもあるのです。
ちょっと人生に悩んでいる時に私を救ってくれた物事の1つに、ノーベル生理学・医学賞を受賞した山中伸弥教授の講演があります。私は講演に参加できたわけでは無いですが、テキストに起こされたものを読んで深い感動を覚えました。
この講演の中で、学生時代の実験で仮説が外れた事が研究者に向いているのではと思ったという下りがあります。
まさにこの事が本書の面白さの要点です。
仮説が外れる「面白さ」をこの本で感じてみて欲しい。読書は好きだけどSFには食指が動かない方は、そこに注目して読んでいただけると「SFもなかなか面白いな」と思ってもらえるのでは無いでしょうか。