【書評】スタンフォードのストレスを力に変える授業 著:ケリー・マクゴニガル
自転車に乗る事を趣味にしている私ですが、そもそもスポーツをすること、そしてスポーツとして自転車に乗るという行為は、冷静に考えるとかなりの「ストレス」を伴う行為です。
全体的に「しんどい」遊びである自転車になぜこうも惹かれるのかというと、まさにその「しんどい」ことそのものを楽しんでいるフシがあると思います。
本書は、著者のスタンフォード大学での講座「ストレスの新しい科学」に基づいており、
「ストレスは役に立つから、なるべく受け入れて利用し、うまく付き合っていく必要がある」
という考えが基本になっています。この「科学」という部分が重要で、これは著者の一人称による印象や思い込みでまとまった内容ではなく、他の研究者の研究結果を分析した内容であるということです。
「科学」とは体系化された知識や経験のことであり、それが正しい、というものではなく常に批判や新しい考え方にひっくり返される可能性を含んだものです。なので、「ストレスは役に立つ」というのは旧来の「ストレスは体に悪い」という考えをひっくり返していますが、なるほど納得させる内容です。
生きている限り何らかのストレスは避けられないわけですから、無理して避ける事にエネルギーを使うのではなく、それをどうやって受け入れて、次に活かすかが人生を面白くすると思います。
本書のキーワードとしては、
・マインドセット介入
・ストーリー
という最近のビジネス書等ではよく見かける言葉がありますが、それを深堀りしていることに価値があります。
自分が過去に乗り越えて、結果的に上手くいった「ストレス」の事について思い返すと膝を打つ内容です。気になる方は、本書を読む前に著者の「TED」での公演をチェックしてみてはいかがでしょうか?